化物
中学のときに書いた小説です
ずっと心にひっかかっていたので書き直すことにしました
色々と突っ込みどころはあると思いますが、あたたかい目で見ていただけると幸いです
タイトルですが、デイルの父がパールという名前にしたからこんなタイトルでした
今回出てくるかは分かりません
昔書いたときは、母が私のことを多分嫌いで、怪獣と罵ったことに傷ついて言葉にすることで自分を癒そうとしていました
(まぁなので、冒頭の罵りはほぼ真実ですw 私は追い出されてないですがw)
物語の中だけでも、有能な主人公でいたかったんですよね
再考したので、少しはマシな話になってるといいなと思います
自分への供養として書きますが、面白がっていただけたら幸いです
母は僕を化物と罵って追い出した
「デイルに成り代わって何がしたかったか知らないけど、もうダメよ」と、泣きながら言うと塩を撒いて扉を閉めた
僕はどうしたらいいか分からなかった
どうしてこうなったのか、分かるけど分からなくて困惑していた
それから向かえるところが一つしか思い至らず、のろのろと歩き出した
彼女に会ったのは奉納のときだった
僕の住む農村部では、毎年交代で神官様のところへ奉納に行く
神官さまは神官街にいらっしゃって、こちらも毎年交代で奉納を受けることになる
神官さまはヒーラーとも呼ばれていて、年に一度の奉納を受けた神官さまは、その一年は奉納した家人をどんな大怪我でも助けてくれるのだと言う
その年は僕の家の番で、母と僕は地図を頼りに神官街へと足を踏み入れた
神官街の建物は石畳や壁も含め、全て白い
農村部からは、ほど近く僕もその白い街並みを遠目から見ていたし、市場もそこにある
母は、毎日市場に作物を売りに行っていた
その日も農村部から伸びる広い緩やかな坂の入り口に荷車が止まって、たくさんの人が取引をしている
奥には、こまごまとした店がいくつも並んでいる
そこを過ぎると右に左に白い神殿が幾つも並ぶ
僕たちは一番最初にある右方向の道へと入り、そのままずっと奥まで進んでいった
本当にここかな? と不安になりながらも進むと、一番端に奉納の目印である赤い飾りのついた神殿が見えた
行き止まりのすぐ脇にある、こじんまりとした神殿だった
三角の屋根が少し張り出して、円柱で支えられている
その向こうはアーチ型の開口になっており、人が2人ほど寝られそうな真四角の台と、その向こうに祭壇があった
右に窓があるらしい、明るい光が差し込んでいる
僕たちは、張り出した屋根についている鐘を目印と同じ赤色の紐を揺すって鳴らした
すると、祭壇奥の扉が開いて十三くらいの女の子がこちらにやってきた
母は驚いた顔をした
彼女は神官というには幼なすぎるが、神官の白いローブを着ていた
髪は長く、腰ほどまであり、前髪も第三の目を避けて流してあった
にこやかに軽やかに駆けてくるような彼女に、母は緊張して生唾を飲み込んだ
「ご奉納ありがとうございます」
彼女は僕たちの前に来ると、頭を下げた
「あのこちら神官さまに…」と母は、手に持った籠を差し出す
見習いか何かだと思ったのだと思う
彼女は意に介さず、少し背伸びをして母の頭の上に手をかざした
母は慌てて膝をついた。僕も真似をして膝をつく
彼女は笑って背伸びをやめると、僕の頭上にも手をかざした
「神の祝福を授けます」