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Distant eyes  作者: 山田サンタ(hideaway)
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8話 Breathless

 神田がシャワーしている間に香はぼんやりと部屋の様子を見ていた。

「一人住まいの男性って皆こうなのかしら?」そう思いながら本棚の本を眺めると

読んだ事ががある本があった。ゲーテの詩集である。中学生の頃背伸びして買っては

みたものの回りくどい表現に音を上げてしまった本だった。元々読書は嫌いではないが

さすがに中学生には難しかったのかもしれない。それにしても凄い量の本である。

参考文献や仕事関係も結構あるようだが文庫本の数が半端ではない。

これをすべて読むのにいったいどれぐらいの時間がかかるのだろうか?

そう思うとどんな内容なのか少し気になり、その中の何冊かを本棚から抜いて

あらすじを探した。

几帳面なのか作家ごとに分けて並べてあったので一番量の多い作家から見たのだが

その中でもこの黒岩重吾という作家のはいったい何冊あるのか?この人だけで

数十冊が並んでいる。「さらば星座・・・・」香はこの本が義母裕子の部屋にも

あったことを思い出した。全13巻で多分4000ページを超えている。あらすじは

背表紙に書いてあった。戦災孤児の話のようであるがページをめくって読み始めると

止まらなくなるほど読みやすい。リズムがあるのではないかというほどスピードが

安定して読めた。神田がシャワーから出てきたなら借りようと思い本棚に戻した。

「ドストエフスキーかぁー、昔読んだな・・・」読んだといっても内容はすっかり

忘れていた。彼の作品では「罪と罰」が有名であるが何故か香りが読んだのは

「地下室の手記」であった。罪と罰を抜いてぱらぱらとページをめくった。

やっぱり難しそうである。特に登場人物の名前が頭に入らない。そっと本棚に

戻した時バスルームのドアが開く音がした。香はあわててダイニングテーブルの

椅子に座った。神田の部屋は3LDKのようである。ダークオークのフローリングは

すべての部屋がバリアフリーで繋がっていた。LDKは広く20帖近くあるのでは

ないだろうか?対面キッチンには真っ白な鏡面仕上げのカウンターが付いていた。

壁一面壁面収納がセットされており本棚はその中にあった。ダイニングテーブルは

4人掛けで少しアンティークな感じがし、かなり大きい3人掛けのソファーと

色を合わせてあるようだった。廊下には2部屋の扉があっりベッドルームと

物置部屋のようである。香が入ってきた時すべての扉が開いていたので分かった。

「お待たせ。」ジーンズにTシャツで現れた神田は昨夜よりかなり若く見える。

「神田さん、なんか全然イメージが違う」昨夜はジャケットに薄手のシャツ

髪もムースか何かでセットされていたが、風呂上りの神田はサラサラと自然に

6:4ぐらいで分けているだけだった。白いTシャツを着た彼はとても40代には

見えなかった。

「さあ、行こうか?」麻のジャケットを手に持った神田が香を呼んだ。

近づくとボディソープのいい匂いがした。

神田の車はマンションのすぐ下に停めてあるワゴンタイプの国産車だった。

シルバーのボディはワックスがかかっていて綺麗である。

「すぐに高速に上がるけど眠かったら寝てもいいからね」神田が優しく言った。

料金所を過ぎ暫くすると香はすっかり眠っていた。昨夜はあまり眠っては

いなかったのである。



Breathless

  Camel←キャメル

  http://www.youtube.com/watch?v=QVJKEH8hA0Y

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