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Distant eyes  作者: 山田サンタ(hideaway)
24/29

24話It Was Only Yesterday

挿絵(By みてみん) 

「いったいどうしたんだ?・・」何も言わずにうつむいている、香に向かって質問した。

高木は少しおどおどしながらこちらを見ていた。

「神田さん・・・・・・・すまない。まさかこんな事をするなんて・・・」

「それは、無理矢理と言うことか?」私の言葉を香が遮った。

「違うの・・私が悪かったの。高木さんを許してあげて」その言葉を聞いて何も言えなくなってしまった。今、自分の中に怒りの感情は無い。あるのは脱力感とその場所に

居たくないという気持ちだけだった。私が出て行こうとすると高木が話を始めた。

「私の香さんへの感情は君も知っていると思う。彼女を愛してしまった事によって

嫉妬心が芽生え私に絵筆を握らせてくれた。私は神田さん、君を尊敬し信頼している・・

少ししか話してはいないが、私の心の中を見透かされている様な感覚がいつもあった。

だからこそ君が愛する香さんを描きたかった・・・・」

「高木さん、僕もわかってました。だから何も言わなかった。だからと言って今日の

この状況は理解できませんね」

「神田さん、私は彼女を描いてる間ずっと、あなたが彼女と交わっているところを

想像し、嫉妬に燃える手で筆を握っていた。胸が裂けそうになる思いをキャンバスに

ぶつけてきた。香さんは私が不能である事を知っている・・・・だが今日は違った

もう何十年ぶりかに身体が変化したんだ。私は嬉しかった・・・・」

そこまで言うと涙を流してうずくまってしまった。

「晋一郎さんごめんなさい・・私が誘ったんです。そうなった彼を受け入れたかった」

二人の話を聞いているうちに、自分の中に不思議な感覚が生まれてきているのがわかった。

嫉妬心とはまた違う性的な感覚であった。

その後、暫らくそこに居たが二人を残してその場を後にした。が、リビングに入ると

大変な光景がそこにあった。弘子が大量の薬を飲み床に倒れていたのである。

アトリエの2人を呼びつけ、すぐに救急車の手配をさせた。まだ呼吸はあるようだが

意識はまったく無い。脈もかなり弱っているようだった。

高木は弘子に縋り付くように泣きながら謝っていた。それが私には何故か滑稽に

見えていた。

弘子はすぐに軽井沢病院に搬送された。睡眠導入剤を50錠ほど飲んでいたが

命に別状は無いとの事だった。一応念のため2~3日入院して様子を見るという。

高木が病室に付いていると言っている。香と私は別荘に戻って着替えなどを

持ってくる、と言って病院を出た。沈黙が続いていた。

高木には7時ごろ行くと言ってあったので、まだ2時間近くある。

リビングに座って何を話せばいいのか考えていた。長い沈黙の後最初に口を開いたのは

香のほうだった。

「私って、バカな女でしょ?貴方の事が好きなのに他の男に抱かれるなんて・・・・」

涙が白い太ももに落ち、その弾力のある肌を伝いながらソファーに消えていった。

「自分でも不思議なんだが、あの状況を見ても君への怒りや憎しみは、まったくと

言っていいほど無いんだ。勿論、君を侮辱する言葉はいくらでも思いつきそうだけど

君が僕を愛しているのがわかるから・・・・・君を失いたくないんだ」

私がそう言うと香は泣きながら抱きついてきた。

「ごめんなさい・・・・」

私はこの時自分の中に、ある奇妙な感情がある事に気づいた。それは、さっきまで高木に

抱かれていた香の身体が、どんな風に高木を受け入れ喘いでいたのか。

それを香の口から聞きたいという。自分でも理解できない感情だった。

それを口にすることは無かったが香を抱きながら感じ取っていた。


It Was Only Yesterday

   Larry Carlton & Steve Lukather

   http://www.youtube.com/watch?v=2kXNQNXSwY8

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