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Distant eyes  作者: 山田サンタ(hideaway)
17/29

17話BELIEVING IN DREAMS

挿絵(By みてみん)


6月に入り気分的にはだいぶ落ち着いてきていた。高木の亡霊からも少しは解放されており

逆に香が冗談で不満を漏らすこともあった。誕生日が近づき旅行のプランのことを話すと

早速着て行く洋服の事や現地の観光の事などをあれこれ話し出した。楽しそうな香を

目を細めて見ていると、急にまじめな顔をして言った。

「ねえ・・・人の話、聞いて無いでしょ?私がせっかく白樺湖周辺の事を話してるのに・・

二日しかないんだからちゃんと予習しとかなくちゃ。早く来週来ないかなあ」

予習も何も香はプロである。私なんかの知らない事もよく知っているだろう。今回の

旅行の話をしたときも、自分の会社で申し込むのはやはり気が引けると言っていたが

その気になれば簡単に探せるはずである。

そんな事を考えていると香が何着か服を持ってきて私に選べという。

「その草色のワンピースが可愛いんじゃない?でもきっと寒いから上着は持っていった

ほうがいいね。じゃあ明日の帰りにサンダルと帽子を買いに行こう、そのまま外食だ」

私がそう言うと香はガッツポーズをして胸に飛び込んできた。

危うくワイルドターキーを入れたグラスを落とすところだ。

 

旅行当日は天候に恵まれ、中央高速から見える山々の緑が美しい。途中駒ケ岳の

パーキングに休憩で入ったので二人でフランクフルトを食べた。楽しそうに笑う香を

見るのが一番心休まる時間になっている。最近は香の事を考えてばかりいるように

なっている。恋をしているのだろうか?自分でも不思議な感情だった。

諏訪インターから茅野を廻って白樺湖に向かうバスの中で、香は私の肩にもたれ静かな

寝息を立てていた。

白樺湖はまだ少し肌寒かったが、晴天のおかげで日差しが気持ち良い。

ここからペンションまでは団体客とは別行動になる。1泊とはいえ荷物が結構あるので

ペンションから送迎車に来てもらい、荷物を置いてから遊ぶ事にした。

オーナーに借りた自転車のペダルを漕いでいると、少し汗ばむ位気温も上がってきた。

湖畔のレストランで昼食を摂りペンションには4時ごろ戻ったが、ディナーは6時半から

なので露天風呂に入ってくつろぐ事にした。

それほど大きくは無い鉄平石造りの露天風呂は貸切にすることが出来た。

「今夜は星が見えそうね・・・」香はそう言いながら真っ青に澄み渡る空を眺めている。

「9時過ぎにもう一度入ろうか?きっと星が見える」積み上げた石の間から流れる

お湯の音を二人で静かに聴いていた。

ディナーにはサプライズが用意されていた。HappyBirthdayの曲が流れオーナーが

ケーキを運んでくる。周りの宿泊客達も拍手をし雰囲気を盛り上げてくれた。

香は大喜びだった。ワインを頼み二人で乾杯をした。

フランス料理店で修業したオーナーの料理はとても美味しく、二人とも幸せな時間を

過ごす事が出来た。

香と出会ってからの時間があまりのも素晴らしく、まるで夢の中に居るのでは無いかと

時々思う事がある。この時もキャンドルの向こうで微笑む香が泡のように消えてして

しまいそうで抱きしめたくなった。

挿絵(By みてみん)


BELIEVING IN DREAMS

  YOSHIAKI MASUO

  http://www.youtube.com/watch?v=H1-YY5i6boo&feature=related

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