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カノジョとカレシ

紅茶と親友とかわいいカレシ

作者: Wana-wana

「あんたのカレシって格好いいわよね」

「は?」


勝手に人の携帯を奪って写真を見ていた親友のその言葉に、私は思わず首をかしげてしまった。

あいつが格好いい?


「どこが?」

「その返しは、予想してなかったわね……。いや、見た目も性格もありとあらゆるところが」

「なるほど……?」


言われてみれば確かに、あいつは容姿が整っている。だてに、ミスターコンテスト(非公式、本人はしらない)を連覇しているわけではない。

けれど、それが格好いいという言葉に結び付かない。


「全然納得してないわね」

「ああ。日頃のあいつをしっていると、格好いいなんて言葉でないと思うぞ?」

「へー、そうなんだ。案外ぬけてるとか?」

「そんなこともないが……」


少しのどが乾いたので、紅茶で喉を湿らした。

しばらく考えて、ピッタリくる言葉が見つかった。


「あいつは、かわいいと言うのが正確だと思う、ぞ?」


そうだ。我ながらしっくりくる。あいつは、かわいいのだ。

しかし、満足している私とは反対に、友人は顔をしかめている。


「ど、どうした?胸焼けか?」

「まあ、ある意味でそうね……」


友人は、手元にあるカフェオレではなく、なぜか私の紅茶を一気に飲み干した。


「それ、私の紅茶だぞ」

「うっさいわね!大量の砂糖をいきなりばらまいたあんたが悪い!」

「何を言ってるんだ?」


突然キレた友人には、むしろ糖分が足りていないと思ったので、追加のケーキを注文してやった。太る!とか言って、またもやぶちギレながらケーキを完食した友人は、素直じゃないと思う。


そんな数日前の親友との会話を思い出して、私の部屋でクッションに座りながらゲームをしている彼の横顔を思わず見つめてしまう。横から見ても顔が整っているのが分かるのに、寝癖なのか髪の毛はピョコンと跳ねている。うん、やっぱりかわいい。


「俺の顔に何かついてる?」


彼はゲームをする手を止めて私にそう問いかけた。


「ご、ごめん。邪魔するつもりはなかったんだが……」

「いや、丁度キリが良いところだったから、大丈夫だよ」


そう言いながら、ゲーム機を横に置いてから、彼はポンポンと膝を叩く。私は素直に膝の上に招かれることにした。

背中から彼の腕が私のお腹にまわされて、彼との密着が高まる。私も、頭を彼の胸に預けた。


「それで、どうしたの?」

「ああ、いや、大したことじゃないんだが……」


私は友人との会話を再現して、彼に伝えた。すると、くしゃりと髪の毛が撫でられる。


「きゅ、急になんだ?」

「うーん?結構複雑なことを言われたから、その仕返し?」

「何で疑問符がついているんだ……」

「そもそも、君の方がかわいいし」


少し拗ねたような口調で、そんなことを言う彼は間違いなくかわいいと思う。

結局それからしばらく私のかわいいカレに、髪の毛をくしゃくしゃされた。

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― 新着の感想 ―
[一言] 自然に甘くていいなぁと思いました。ふたりの距離感が好きです
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