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プロローグ
※※※
人が嫌い。
言ってみればそれは、自分と愚かである他人とを差別化するだけの陳腐な言葉の武器だ。
いや、武器にすらなっていないのかもしれない。
―――あの人は、人が嫌いみたいだからあんまり仲良くしたくないよね。
―――ちょっと何考えてるか分かんないし、関わんないでおこう。
煙たがられて、他人との関係が薄くなっていって、人との交わりを絶ってしまう。
だから前よりどんどん暗くなっていって、それでまた暗い噂が立つ。
そんな悪夢の無限ループ。
そんなことを繰り返している人間は、探せばどこにでもいることを知っていた。
でも、そんな人間を闇から救い出してくれる。……………
――――――そんな救世主は、どこにもいないことを知っていた。
そんな奇跡を願っていて、そんな奇跡なんて起こらないということを、知っている。