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天誅!!

作者: ゲーカー

プロローグ


 西暦2020年、少年犯罪は年々減少傾向にあった。しかし、罪種別構成では凶悪犯罪は増加の一途を辿っていた。


 特に増加傾向にある犯罪、『強盗・放火・強姦』である。

 少年非行の原因や背景には多様な要因が関連していると言われている。


 その一つに挙げられるもの。

SQ(Social Intelligence Quotient)

「社会的指数、生き方の知能指数」とも言われ、人と人をつなぐコミニュニケーション能力(社会性)を指す。このSQの基礎は乳幼児の親子関係にある。親から受ける言葉にならない感情のやり取りを通じて培う同調や共感する能力は社会性の形成に大きな影響を与える。SQが低いと怒りやすい人間や共感のできない人間、友達関係や信頼関係の結べない人間になってしまう。さらにそれが過ぎると、少年犯罪を引き起こす恐れがある。


不況で喘ぐ日本は、持つ者、持たざる者の完全なる二極化が進行していた。持たざる者は子供を産む事さえままならず、仮に産んでも一人までが限度。

母親が専業主婦になれる期間は限られていて、子供は両親とのコミニュケーションを殆ど取れずに成長して行く。

その親たちも親族は少なく、交流はない。


後先、損得、大人は考えて行動する。それが子供にはない。そして恐れもなかった。

その子供たちが集まり徒党を組み、次第に組織化していった。

大人たちが恐れるもの、それは暴力団よりも組織化した子供たちであった。


第一章 


 東京都品川区にある、私立品革女子学院。JR品川駅から徒歩十分、京浜急行北品川駅から徒歩二分、近くには昔ながらの商店街があり、住宅も多い。そこそこの進学校であるため、生徒の服装は自由であるが、至って真面目な学校であった。


「ねぇねぇ、今日転入生くるんでしょ?」

「らしいね、どんな子かしら?」


 夏休みが終わりしばらく経った二年A組、そんな会話が教室の至る所で繰り広げられていた。そんな時に、始業のチャイムが鳴り響く。横開きの扉から顔を出した担任教師の男性と、一人の小柄な少女。

 教室内は静寂に包まれた。


 誰がどう見ても、薄目でぼやかして見ても、その少女は小学校低学年にしか見えない。

 服装は、ジーンズに白のTシャツと簡素なもので髪型はショートボブ、色は黒。肌は白く、咲いたばかりの花びらのように瑞々しさが窺える。二重でパッチリとした瞳にすっと通った鼻筋、小さな唇にしゅっとした顎。誰の目にも幼さが窺える容姿なのに、凛然とした姿勢。そのアンバランスさが、静寂の理由なのかも知れない。


「えぇ、みんなに転入性を紹介する」

 担任教師は少女の背に軽く手を添え、促した。

(ひめ)百合(ゆり)桜子(さくらこ)と申します。宜しくお願い致します」

 と、その少女は浅くお辞儀をした。


 と、その時。


 背負われていたリュックが逆さになり、弾みで止め具が外れある物体が飛び出した。

 床に落下した物体が出す金属音、瞬きの音さえも聞こえてしまうほどの静寂に木霊する。


異常なまでに瞬きを繰り返す者、口を半開きにしたまま固まる者、何度も目を擦る者、この異常な光景に誰もが目を奪われていた。

表を向いたフライパン。


「あぁあああああああああああああ!」


 と、その静寂を破ったのは、この静寂を作り上げた張本人、桜子であった。

 さっとフライパンを手に取ると瞬く間にリュックにしまい込み、何事もなかったかのような、そんな可憐な微笑みを浮かべた。


「ち、父の形見なんです。驚かせてすみませんでした……」

「そ、そうなのか! お父さんの形見か。まぁ、校則違反ではないしな」

 と、担任教師は平静を装い言った。しかし、室内のざわつきは収まる所か勢いを増している。


「ほら、うるさいぞ! では、姫百合君はあそこの空いてる席を使いなさい」

 と、窓際の一番後ろの席を指差した。


 全ての授業が終わった放課後、桜子の周りには人だかりができていた。それまでの休み時間にあらかたの質問に答えていた桜子であったが、やはりフライパンを持つ少女に対する興味は尽きないのであろう。


「ねぇねぇ、前の学校ではなんて呼ばれてたの?」

「え……? ひ、姫ちゃんとか? ですかね……」

 周りで歓声が上がる。どうやら順番制になっているようで、質問役が入れ替わる。

「じゃ、姫ちゃんの好きなタイプは?」

「タイプですか……そうですね。一本筋の通った人ですかね」

 またも歓声が上がった。次に入れ替わった質問役は薄ら笑いを浮かべて言った。

「それって、男性の股間の袋裏にある筋の事?」

「そうそう、あれの裏筋が綺麗にピーンと通っている人って素敵だなぁ……って! なわけないでしょ! わたしゃ変態か!」

 と、若手芸人並みに声を張る桜子。またも訪れた静寂、張り詰めた空気。


「あ、いや、その……わたしお笑いが大好きで、乗り突っ込みの練習してみたの!」

 と、やや無理のある理由ではあったが、周りはどうやら納得した様子。

「姫ちゃん、超ウケる!」

 と、そこからお笑いの話にシフトチェンジして大いに盛り上がった。次第に予定が有る者、塾へ行く者と人だかりが減っていき、数人の輪になった時に一人の生徒が言った。

「姫ちゃん、霞が関だよね? 途中まで一緒に帰ろうよ!」

「あ、あの、ごめんね。今日はちょっと寄る所があって……」

 と口を濁した桜子に、その理由を聞く者はいなかった。


第二章


 渋谷の外れにその廃ビルはあった。建設途中に殺人事件があり工事が中断、開始間際にまたも起きた殺人事件。延期による延期で負債が膨れ企業が倒産した。そんないわく付きのビルをこの不況のご時世買う者はいない。


 深夜の廃ビルに響く悲鳴、その声は、うら若き少女のものであろう事は推測できた。


「あれ? まだなにもやってねぇのに気絶しやがった」

「てか、その方が楽じゃね?」

「なに言ってんだよ、鳴き叫ぶ声が良いんじゃねぇかよ!」

「しらねぇし。てか、変態だろ、一哉!」

「あ? いま、なんつったんだてめぇ?」

「聞こえなかったのか? じゃ、アイドルっぽく言ってやんよ。この、へ・ん・た・い!」


「……死ねよ」


 足元にあった鉄パイプを拾い上げた男は、何の躊躇いもなく振り下ろした。ぐしゃりと嫌な音がして、辺りを血の海に変えた。


「おい、汚すんじゃねぇよ」

 数十人がいるであろうビルのワンフロアの一角に、その声の主はいた。座っているのは豪華なソファー、だが辺りにはそれ以外の物はなにもない。

 死んだ魚のような目をしているのだが、異様な光を宿しているようにも見える。顎をしゃくった時に金色の髪が無造作に揺れた。


「一哉、かたずけろ」

「あ? 俺に命令すんなよ」

 一哉と呼ばれた男は、血にまみれた鉄パイプを肩にかけ睨みを利かす。


「俺に、もう一度言わすのか?」

 その声は平たんで抑揚がない。周りにいる男たちの息を飲む音が聞こえた。

「……わかったよ」

 床に落とされた鉄パイプの音が、コンクリート剥き出しのフロアに木霊した。


 時を同じくして、場所は渋谷センター街。街灯に群がる蟲のように、平日の夜だと言うのに若者で溢れ返っている。

 そんな渋谷のビルの隙間、薄らとしか光が届かない場所に数人の人影が浮かんでいた。


「なぁ、おとなしくしてたらすぐ帰してやるからよ、ちょっと付き合えよ」

「は、離して下さい!」

 腕を掴まれているのは、いかにも真面目そうな眼鏡をかけた少女。右手には学校指定のバッグを持っている。塾の帰りに、少し寄り道をして遅くなったのではないだろうか。


 男は二人、十代半ばと言った所だろうか、まだ幼さが残る顔付きではあったが、瞳から漏れる光には残酷な色が滲んでいた。


「そんなに嫌がんなよ、良いクスリもあるからよ。楽しもうぜ!」

 もう一人の男がそう言うと、ポケットから透明の小袋を取り出した。その中には、数粒の白い錠剤が入っている。

「おい、口を開かせろ!」

 小柄な痩躯の男がそう言うと、もう一人の男が少女を羽交い締めにし口を無理やり開かせた。


「ひひひ、楽しい夜になりそうだぜ」

 指に摘まんだ錠剤を口に近付けた瞬間、その声は聞こえてきた。


「……一つ人より力持ち~、二つ故郷あとにして~、は~な~の東京で腕試し~」


「ん? なんだこの歌は?」

「これ、相当昔のアニメで、いなかっぺ大将じゃね?」


 正解である。


「こらクソガキ、なにいちびっとんねん! はよ、その手を離したらんかい!」

 その声の方向に、二人の男の視線が同時に移った。背後から照らされた光によって浮かび上がる一つの影。突如、その人影は空中を舞った。


「キャット空中三回転!」

 男たちの目前で見事着地した右手には、きらりと輝くフライパンの裏面。そこに刻まれた紋章は桜の大門。


「そこに悪がある限り、うちは任務を遂行する。水辺に咲く一輪の花、なにわの鬼百合ここに見参!」


 ――ふふ、決まった。

 そう思っていたのは、彼女だけであろう事は疑うまでもない。

 猫の口元が描かれたマスクを付けてはいるが、その背丈にフライパン。黒髪のボブ、漆黒のローブを身に纏い、発する言葉は関西弁なれど、紛れもなくその姿は姫百合桜子であった。


 説明しよう。

 増加の一途を辿る少年凶悪犯罪を撲滅する為に、国家機密局から指令を受けた特殊部隊所属の隠密女子高生、それが姫百合桜子の真の姿なのである。


「はぁ? てか、なにそのフライパン、手料理でも作ってくれるのか?」

「そうそう、今日はオムレツよ~、って! アホか! なんで、うちがおまら悪党に手料理振る舞わなあかんねん!」

「ぎゃはははははは! こいつ超ウケる!」

 二人の男は腹を抱えて大笑いしている。掴まれていた腕が自由になった少女は、一目散に駆け出し渋谷の街並みに紛れて行った。


「あ! 逃げられた……」

 その事実に気付いた痩躯の男が、ポケットからナイフを取り出す。その刃先が鈍い光を放った。そして、顔に近付けた刃先をゆっくりと舌で舐める。


「おじょうちゃんには、たっぷりとお仕置きをしなきゃいけないな。まずは、そのマスクを切り刻んでお顔を拝見して……その続きはウェブでってか! ひゃっはぁ!」

 その後を、横にいる男が続けた。

「ふざけるには相手が悪かったな、こいつ相当なロリだからよ。今日は、お医者さんごっこでちゅよ~、ひひひ」

「きしょくわるっ! どの面下げて言うとんねん、口から手突っ込んで頭蓋骨ガタガタいわしたろか!」

「口の減らねぇガキだな。おい、動けねぇようにしろ!」

 ナイフを持った痩躯の男が吠えた。

「ひひひ、お遊戯の時間でちゅよ~!」

 前から迫って来た男が、桜子を捕まえたと思った瞬間。


「キャット空中三回転!」


 ひらりと影が空中を舞った。男は掴んだと思った少女が突如消え、辺りをきょろきょろと見回していた。

「おい、上だ!」

 と、痩躯の男が叫んだ時。

「天誅!」の声と同時に、『ゴォオオオオオオン!』と鈍い音が響いた。


 桜子が両手に持ったフライパンの裏面は、男の頭部に見事的中していたのだった。ふらついた男は、その場にへたり込んだ。

「おい、大丈夫かよ!」

 と、声をかける痩躯の男。

「ん……? ここはどこだ? 僕は今まで何をやっていたのだろうか……」

「……おい。なに言ってんだ、おまえ?」

「あぁ、君か。ナイフなんか手に持ってどうしたんだい? 鉛筆でも削るのかい?」

「は? どうしちまったんだよ……」

「あ! もうこんな時間だ。早く帰って勉強しなければ!」

 そう叫んだ男は先ほどの少女同様、渋谷の街並みに紛れて行った。


「てめぇ! ツレに何しやがったんだ!」

「アホは死なな治らへん、ゆうけどな。ま、死なんでも治す方法があるちゅうこっちゃ」

 そう言うと、桜子の右手に持ったフライパンがきらりと光った。

 

説明しよう。

 桜子が右手に持つ物、一見なんの変哲もないフライパンに見えるのだが、その実は科学技術の粋を集めて作られた、神経回路修復マシーンなのである。


「マジ、うぜぇ……死ねよ」

 痩躯の男は、手に持つナイフを驚くほどの早さで突き出した。躊躇う事なく突き出せると言う事は、本気で殺すつもりなのだと言う事である。


「キャット空中三回転!」

「バカかてめぇわ! 同じ手が通じるかよ!」

 痩躯の男は、空中に視線を向けた。

 が、その姿を捉える事は出来なかった。

「うっそぴょ~ん! アホはおまえじゃ!」

 下から聞こえた声に、驚愕の表情を浮かべた痩躯の男は視線を落とす。


「通天閣アッパー!」


 真下から突き上げられたフライパンが、痩躯の男の顎に鈍い音と共に的中した。

 桜子は、フライパンを持った右手を顔の位置まで上げて、左手をクロスに交え十字を作った。

「……天誅完了!」

 どうやら、決めポーズのようである。

「……ん? ここはどこだ? あ、もうこんな時間だ! 早く帰って予習復習しなきゃ!」

 痩躯の男は立ち上がるとすぐに駆け出して行ったのであった。


第三章  


 次の日、桜子がクラスのドアを開けると、クラス中の視線が一斉に集まった。その異様な光景に驚いた桜子は、後ろを振り向いたが誰もいない。人差し指を自分に向けて、小声で皆に問いかける。


「 わ、わたし……?? 」

 こくりと頷く、クラスの生徒たち。

桜子の背中を伝う、一筋の嫌な汗。

 

説明しよう。

 国家機密局の任務は、言わば麻薬Gメンと同じなのである。市民に、その素性を知られてはならない。猫マスクはそのためであり、方言の使い分けも同じ理由からである。


 席に着いた桜子の周りに、人だかりができるまでに数秒もかからなかった。

 その中には、昨日救った眼鏡の少女がいた。が、驚きを隠して視線を外す桜子。

「ど、ど、どうしたの、みんな?」

「あのね……私、昨日渋谷でヤバい状況になったの」

「そ、そうなんだ。で、大丈夫だったの?」

 平静を装いながら、その子に視線を向ける桜子。

「……うん、その危機を救ってくれた人がいたの」

「よ、良かったね!」

「で、その人はフライパンを持ってて、乗り突っ込みをしたの……」

「ふ、ふ~ん! ユーモアのある人だね!」

「で、猫の口が描かれたマスクを被ってたからはっきりとわからないけど、外見が……姫百合さんそっくりだった……」

「へぇ~! 似てる人っているんだね! でも、そんな立派な人に間違われるなら光栄だね!」

 しらを切り通すしかない、桜子であった。

「……でもその人、関西弁だったんだよね」

「地球には、三人そっくりさんがいるっていうしね! て言うか私、関西弁喋れないし」

「あ! その……フライパンの裏面に警察の紋章みたいな物があったんだけど……」

「じゃあ、その人と私が同一人物じゃない証拠に見せるね!」

 そう言って、桜子は背負っているリュックからフライパンを抜いて裏を向けた。


「……あ、……ない……。」


 説明しょう。

 科学技術の粋を集めて作られたのである。


 納得したクラスメイトたちは、各自の席についた。ふぅ、とため息をつく桜子であった。


 同日、時刻は二十三時、廃ビルでは怒声が飛び交っていた。その中心にいる男は、顎に手を添え沈黙を守っている。


「哲夫と智也はどうしちまったんだよ! 誰にやられたんだよ!」

「だから言ってんじゃん! フライパンを持った小学生だよ!」

「バカじゃねぇのか、てめぇ! なわけねぇだろうが! あれは、よほど恐ろしい事されたんだよ。じゃねぇと、極悪のあいつらが真面目になるわけねぇだろが!」

「確かに、やられるとこは見てねぇけど……」

「ここら一帯は俺らが締めてる事は知られてる。ヤクザだって手出しはしねぇ。だから、相手はよそもんしか考えられねぇ。それも、かなりの極悪人だ……ぜってぇ、見付けだして殺す。だろ、祐樹?」


 一哉は、憎悪を剥き出しにし静かにそう言って、視線を中心にいる男に向けた。

「……あぁ、そうだな」

 そう言うと、男はくつくつと静かに笑った。


 それから一週間ほど、桜子は放課後から任務を遂行し続け不良達を更生させ続け、その数はゆうに五十を超えていた。それほど、東京の繁華街は少年犯罪で溢れている。


 金曜日の放課後、桜子の席に三人の生徒が近寄ってきた。リーダー格であろう、栗色の髪をツインテールにした生徒が口を開く。

「ねぇ、姫ちゃん! 明日ひま?」

「え? うん、別に予定が入ってるって事はないけど。どうして?」

 出動要請は、いつも突然である。

「うん、実は明日合コンなんだよね。で、一人欠員が出ちゃってさ……姫ちゃんどうかなって思って。時間は一七時からだし、そんなに遅くはならないしさ。どう?」

「合コン? て……男女が語り合うあれ?」

「か、語り合う……まぁ、間違ってはいないけどさ。もしかして、姫ちゃんって合コン行った事ないの?」

「う……うん、ないけど」

「じゃあ、絶対経験しといた方が良いよ! 決まりね、明日の一七時に渋谷のハチ公前に集合って事で! じゃあ、明日ね姫ちゃん!」

 笑顔を浮かべた三人は手を振って、桜子に背を向けドアを開け教室を出て行った。


 ――ま、場所が渋谷なら、事件が起こればすぐに行けるし、いっか。

 そんな事を思う桜子であった。


「ちょっと早かったかな……」

 桜子は、ポケットから携帯電話を取り出し確認すると、集合時刻の三十分前だった。土曜日と言う事もあり、渋谷の街は人でごった返している。


 日が落ちるのが遅い夏場の為、目の前にある交番の巡査から声を掛けられる事はないだろうが、あまりきょろきょろしていると迷子ではないのかと思われそうなので、視線は極力動かさずにいた。


仮に声を掛けられても、警察手帳を見せ特殊コードを伝え、無線で照会をかけてもらえば問題ないのではあるが、その時にクラスメイトが来るとやっかいである。


スクランブル交差点を何気に見つめていると、桜子の存在に気付いて手を振る少女が向かって来ていた。リーダー格の少女、坂上つぐみである。

「姫ちゃん、早いね! そんなに楽しみだった?」

 と言って、ニッと口角を上げた。

「ううん! そう言うわけじゃないけど……」

 と言いながらも、初めての体験である合コンに少なからず興味が湧いていたのは事実であった。そこはやはり、うら若き乙女である。


 ものの五分ほどで女子メンバーが揃い、合コン会場に向かったのであった。

 駅前にある大手チェーンのファミレス、その扉をつぐみが開けた。どうやら、合コンはここで行われるようである。いくら駅前とは言え時間的にはアイドルタイム、客の数はまばらであった。桜子が店内に視線を送ると、一番奥の席で手を振る男性が目に入った。人数は四人、どうやら合コン相手のようである。


 緊張の面持ちで、三人の後に続きその席に近付いて行く。


「おう、つぐみ! 久しぶりだよな、中学卒業してからだから一年以上ぶりか」

 と声をかけた男は、どうやらつぐみの幼馴染のようだ。

「そうだね、恭介も元気そうじゃん。あ、みんな座って!」

 つぐみの声に頷き、桜子も席についた。いつでも席を立てるよう、最後に。


「じゃ、自己紹介から始めるか。えっと、俺はつぐみの幼馴染で小泉恭介、共栄高校の二年。趣味は、いまんとこ部活かな」

 坊主頭ではあるが整った顔立ちをしていて、笑うとできるえくぼがチャーミングな好青年である。


「恭介、高校でも野球続けてるんでしょ。もしかして、レベルの高い高校行ったからって、二年で補欠って事はないわよね?」

 と、つぐみは意地悪な表情を浮かべた。すると、恭介の隣に座っていた男が口を開く。


「なに言ってんだよ、恭介はエースで四番だぜ! あ……恋のライバル褒めてちゃ駄目だな。俺は、テニス部のエースで四番、桜木智彦。現在、猛烈に彼女募集中です!」

「テニスに四番はねぇだろ!」

 と軽く突っ込みを入れたのはその隣の男、続けて口を開く。


「俺は、マン研部長の木下光一郎。あ、漫画研究部じゃなくて、漫才研究部の方ね。高校出たら吉本のNSCに入るつもりなんだ。当然、趣味はお笑い! で、隣のこいつが相方!」

 と、最後の一人を親指で指した。

「どうも、こんにちは。裏で世界を動かす男、堀内健太郎です。趣味は牛乳のフタ集めです。って、そのギャップ!! よろしくゲルマニウム!!」


 最後の一人の(くだり)は、全く意味がわからなかった桜子であったが、周りが爆笑しているので愛想笑いだけは浮かべておいた。


 隣に並ぶ三人の自己紹介が終わり、桜子の順番が回ってきた。転入初日に、ついいつもの癖で乗り突っ込みをしてしまい疑いを持たれた事を思い出して、ここは無難に乗り切らねば、そう胸中で呟いた。


「初めまして、姫百合桜子と申します。部活は入っていません。趣味は映画観賞と読書です」

 無難な内容を噛む事なく言えて、満足した桜子は緊張の糸がフッと途切れた。その直後、ボケ担当であろう堀内健太郎が口を開いた。


「普段はどのようなAVをご覧になられるんですか?」

「えぇ、そうですね……やはり熟女コスプレ系でしょうか……。 老婆のナースは注射をミスる。あるとおもいます!って、ばか!」


 まるで時間が止まったかのような、そんな静寂が訪れた。桜子の背中を嫌な汗が伝う。

 ――しまった! 油断した隙を突かれた! 


 前の言葉の流れで標準語でのっかったから良かったものの、ここで関西弁丸出しで言っていたらやっと晴れた疑いが蒸し返されるはずである。


「う、上手い……間といい、ワードセンス、さらにタイミングといい完璧だ……」

 そう呟いた木下と目が点になっている堀内は、目の前に座るあどけない少女に対し驚愕を浮かべた表情で視線を送っている。その視線を受け流し、桜子は口を開いた。


「て、こんな感じですよね! 乗り突っ込みって! 私、お笑い大好きなんですよ!」

 と、破顔一笑した。

「も、もう、姫ちゃんたら、急にやるから驚くじゃん!」

「ごめんね、つぐみちゃん。なんか二人見てたらやってみたくなっちゃって!」


 なんとか危機は脱したようで、それから八人の会話に静寂が訪れる事はなかった。

 軽い食事とドリンクで、一時間ほど会話をした八人は二次会会場であるカラオケボックスに移動する事になった。


 ――今のところ事件は起きていないようね。

 人の波に押し潰されながらも、そう胸中で呟く桜子。


 説明しよう。

 国家機密局では、特殊衛星を使い少年犯罪が起きた場所を特定し、最も近くにいる任務者のスマホに発生場所を送信する仕組みになっている。各主要都市に特殊部隊の精鋭たちが身を潜めているのである。犯罪都市と呼ばれる東京を一手に任されている桜子は、あぁ見えてかなりのやり手なのだ。


 カラオケボックスの前に到着した時、二人組の男がつぐみに声をかけた。桜子の視線は、声をかける前から既にその男たちを捉えていた。


 一人は、スキンヘッドの頭頂部に蛇のタトゥを入れていて、筋骨隆々の体躯。出した舌先は二つに割れていた。もう一人は、ドレッドヘアーの長身の男でタンクトップから覗く両腕にはドクロのタトゥ。


「今から、オケるの? 俺らもまぜてよ!」

「え、ツレがいるから……」

 と、つぐみは救いの視線を四人組の男たちに送る。それを受け取った恭介が、つぐみと二人組の男の間に立った。

「すみません、俺らのツレなんで」

「それが? だから? 死ぬ?」

「え……いや、その……」

「はい、なにか意見のある人は挙手!」

 と、スキンヘッドが右手を上げた。開けた口からは蛇の舌が顔を出し、チロチロと動いている。誰一人として、手を上げる者はいなかった。口角を上げたドレッドが、つぐみの肩を抱き口を開く。


「しょぼい男どもと遊ぶより、俺らみたいなイケメンと遊んだ方が楽しいぜ。カラオケ止めてクラブ行こうぜ、良い店知ってっから連れてってやんよ」


 ――くっ、正体を明かすわけにはいかへんし。どないしょ……どこで勝負を賭けるかやな。

 そう胸中で呟いた時、桜子とつぐみを置いて残りの六名は脱兎の如く逃げ出した。二人組の男は、いかにも愉快そうに笑った。ひとしきり笑ったドレッドが視線を桜子に向ける。

「ん? このチビはおまえの妹か?」

「ち、違います。こ、こんな子知りません……」


 つぐみは震えながらも、桜子を逃がそうとしてくれている。ここで一旦離れて後を追い、しかるべき場所で助けるのも一つの手段ではあったが、つぐみを一人にしてしまいその恐怖心から心に傷を負う事にもなりかねない。記憶操作で消去しても心の傷は完全に消える事がなく、いつか顔を出す恐れがある。

「つぐみちゃん、あいつら逃げちゃったし今日はこのイケメンのお兄さんたちと遊ぼうよ!」

「ひ、姫ちゃん……」

「チビちゃん物分かり良いじゃん! ん? 良く見ると、このチビイケてね?」

「だな、一哉が好きそうなタイプだ。じゃ、行こうぜ!」

 四人は、センター街を道玄坂に向けて歩き出した。


 時を同じくして、廃ビルの中では数人の男たちが雑談にふけっていた。


「なぁ、あいつらが何分後に女連れて帰ってくっか賭けしね? レートは千円、最も近い奴の総取り、俺は三十分後な」

「あいつら、面がやべぇしな。俺は一時間後に気絶させた女を担いで来るに千円!」

「二十分後に、とんでもねぇブスを二匹連れて来るに千円!」

「んじゃ俺は、二時間後に宇宙人クラスを二体に千円な! 一哉は?」

「そうだな……一時間後に根を上げて手ぶらで帰って来るに千円!」

「それだよ、ぜってぇそれだわ! ぎゃははは!」


 ビル全体に響き渡るような、そんな笑い声が木霊した。いつもの席は空席で、祐樹と呼ばれた男の姿はなかったが、誰もそこに座ろうとはしなかった。


 四人は薄暗い路地を歩いていた。渋谷の街はあれだけ人が溢れていたのに、ほんの五分ほど離れたこの路地には一人として存在しない。じめじめとした空気が肌に纏わりつき、なんの匂いなのかわからないが、すえた匂いが鼻についた。


――目的地には仲間がいてるやろし、ここがベストやな。

 桜子がそんな事を思っていると、スキンヘッドが割れた舌先を出しながら口を開いた。

「なぁ、連れていっちまったら、ゆっくりヤレねぇぜ?」

「ん? ……そうだな。ここのラブホでヤルか?」

「いいねぇ~、ぐっちょんぐっちょんのぬっちょぬちょだぁ! てか、おまえどっち?」

 スキンヘッドは、桜子とつぐみを交互に指差した。すると、ドレッド頭は抱いているつぐみの肩を強く握り締め薄らとした微笑みを口許に浮かべた。つぐみは、恐怖から声を出す事さえできず痛みで顔をしかめている。

 その時、あの声が聞こえてきた。


「……一つ人より力持ち~、二つ故郷あとにして~、は~な~の東京で腕試し~」


「ん? どこから聞こえてんだこの歌? あれ? チビはどこだ?」

 スキンヘッドは、辺りをきょきょろと見回している。同じく見回していたドレッドの視線が壁の上で静止した。

「な、なんだてめぇ!」


「キャット空中三回転!」


 ふわりと浮いた桜子の身体が綺麗な弧を描きながら地に舞い降りた。その右手が背負ったリュックに入り、スッと引き抜かれたフライパンの裏面。きらりと光る桜の大門。


「そこに悪がある限り、うちは任務を遂行する。水辺に咲く一輪の花、なにわの鬼百合ここに見参!」


 ――ふふ、決まった。


 やはり今回も、そう思っているのは桜子だけのようである。ドレッドに動きを封じられているつぐみは、小首を傾げている。同じく、スキンヘッドにドレッドも呆気に取られた表情を浮かべていた。スキンヘッドが口を開く。


「なんだこいつ? そのマークは肛門か?」

「そうそう、肛門がうちのトレイドマーク♡! って、なんでやねん! 逆に、そんな女おったらおうてみたいわ!」

「ぐひゃひゃひゃひゃっ! このガキ、妙に乗り突っ込み上手いじゃん!」

「おまえらみたいな腐れ外道に褒められても嬉しないわ!」

「おいおい、調子にのんじゃねぇぞガキ! おままごとなら、場所変えろ!」


 ぬぅと突き出したスキンヘッドの腕をするりとかわし、「キャット空中三回転!」の声と同時に空中に舞った。桜子を見失ったスキンヘッドの頭上から、「天誅!」の声と同時に振り下ろされたフライパン。

『ゴォオオオオオオォン!』

 その場に、バタリと倒れるスキンヘッド。慌てたドレッドはつぐみから手を離し駆け寄った。

「おい、おい! 大丈夫かよ! しっかりし――」

『ゴォオオオオオオォン!』

桜子は、つぐみに背を向けフライパンを持った右手を顔の位置まで上げて、左手をクロスに交え十字を作った。どんな状況でも、決めポーズはするようである。


「……天誅完了! そこの女、とっとと逃げんかい!」

「……ひ、姫ちゃん?」

「は、はぁ? だれじゃそれ? 姫ちゃんて。もしうちが、そんなあだ名付けられたら恥ずかしいて、よう表歩かれへんわ! えぇから、はよかえり――」


「い、いやぁあああああああ!」


 その悲鳴に驚いた桜子は、すぐさま振り向いた。

「はい、お遊戯はそこまでだ」


 左手でつぐみの自由を奪い、右手には拳銃を持ち桜子に照準を合わせている男がいた。金髪の髪が一陣の風に揺れ、怪しい瞳が街灯の明かりに反射した。


「おまえだろ、俺らの仲間を狩ってんのは」

「狩るて、人聞きの悪い言い方するやっちゃな。更生させてるゆうてくれるか?」

「くくく、おまえの事もそうだが、色々と耳に入ってきてたんだよ。人が変わったように真人間になった仲間の話がな。おまえら、いったいなにもんだ?」

「なに偉そうな口きいとんね――」

『パスッ』と音がした瞬間、桜子の身体が九の字に折れた。左の肩口を、フライパンを持った右手で押さえている。隙間からは、滲むように鮮血が流れ出してきていた。


「ぐっ……お、男の……くせに卑怯な……やっちゃな……」

「は? 勝てば良いんだよ、大事なのは結果だろ? 大人も同じじゃねぇか」

「ア、アホか……結果も大事やけど……その過程はもっと大事なんじゃ。う、うちは、どう

なってもえぇから……その子を……離したり……」

「はっ! バカじゃねぇの? この女もおまえも、ぼろぼろにされて死ぬに決まってんじゃん! すぐに仲間がくるからよ、大人しく待ってろよ」


 路地の奥から、大勢の男の喚き声が聞こえてきた。肩の傷は、弾がかすって肉がえぐられただけなので致命傷ではない。しかし、つぐみが捕まっている今、桜子は動くに動けない。


 ものの数秒で、男たちに囲まれてしまうだろう。さすがの桜子でも一人で相手するには数が多過ぎるし、つぐみに被害が及ぶ恐れがある。


 ――どないしたらえぇねん……。


 その時であった、壁の上に浮かぶ人影、聞こえてきた声。


「一つ、人の生き血を啜り。二つ、不埒な悪行三昧。三つ、見事にハゲている。って、なんでやねん! 桃太郎侍がハゲ散らかしとったら視聴率ガタ落ちやわ!」


「な、なんで、あんたがここにいてるんや!」

 桜子は、人影に向かい驚愕の表情を向けた。それと同時に大勢の男たちが群がって来ていた。その数は、少なく見積もっても三十は超えている。


「なっさけないのう、姫。こんなクソガキどもにええようにされてからに」

「アホか、ボケェ! 今からボコボコにいわしたろうおもてたん……あ、アホか! なに名前いうとんねん、バレてまうやろ!」

「ほんま……姫はヌルいなぁ、友達から記憶消すゆう作業を極力したないんやろ? そんなヌルい考えやからこんなピンチになんねんで?」

「うるっさいなぁ……ほっとけ」

「おい、なに余裕ぶちかましてんだよ。そこの壁女、これが見えねぇのか?」


 桜子に向けられていた銃口が、壁の上に現れた女に向けられた。しかし、桜子同様漆黒のローブを纏った女は、妖艶な微笑をその口許に浮かべたまま、どこか責めるような口調で告げた。


「撃てるもんなら、撃ってみ? うちには、きかへん――」

 言い終える前に、『パス』と音がした。

 が、『キン』と言う金属音が同時に聞こえた。

「な……どう言うことだ。あ、あいつ、顔で弾きやがった!」

「だから、いうたやろ? うちには、利かへんて。うちを殺りたいなら最低でもバズーカ砲は用意せなあかんで! うちは日本の科学技術の粋を集めて作られた、超ウルトラデラックススーパープレミアムアンドロイドやからな!」

「ながっ……!」

 と一応、突っ込む桜子であった。とその時、銃口が桜子に向けられた。


「だが、こいつは人間だろうがぁあ!」

「道頓堀ビーム!」

 その声と共に壁の上の女が、ぶわっと広げた漆黒のローブの裏面から、目を覆いたくなるほどの眩い光が発せられ、あっという間に一帯が光の中に包まれた。

 目を覆っていた男たちが、かざした掌を外した。拳銃を持っていた祐樹が、

「な、なんで僕はこんな物を持っているんだ……。そうか、落し物を拾ったんだな! さっそくお巡りさんに届けなければ!」


 そう言うと、くるりと振り向き言葉を続けた。

「君たちは、渋谷の街の清掃作業をしてくれたまえ!」

「了解しました!」


 大勢の男たちの声が響き渡った。その中心にいたつぐみは、なにが起こったのか訳もわからず、ただ茫然と立ち尽くしていた。そして、ガクッと膝をついた桜子に気付く。


「ひ、姫ちゃん!」

 つぐみは、桜子に駆け寄った。

「姫ちゃん……ありがとう……早く、早く病院いこ! すぐに救急車呼ぶからね!」

「いや、大丈夫やから……本部に戻ったら治療してもらえるし、民間の病院は手続きがややこしなんねん。そんな傷も大した事ないしな。それよりごめんな、つぐみちゃん。なんか、騙してるような感じになってしもて……」

「ううん……そんなの気にしないでよ。姫ちゃんは大切な友達だから」

「つぐみちゃん……ありがとう。でも、バレてもうたから……うちの記憶消さなあかん……うちが転入した事も、うちの存在自体もなかったことにしなあかん……」

「やだよ……せっかく姫ちゃんと仲良くなれたのに……やだよ……」

「うちも嫌やで……でもしゃあないねん、これがうちの使命やから。……ごめん」

 かざされたフライパンから眩い光が漏れた。その光は放射線状に広がって行き、桜子の存在を知る者全てに注がれた。


「姫、ほないこか?」

「そやな……いこか……」

「あんたも、オプションで道頓堀ビーム付けたらええのに、フライパン一本でやるんがかっこええんや、ゆうてるからこんな傷負う事になんねんで?」

「うるっさいわ! ほっとけ!」

 二人は、漆黒のローブをはためかせ星のない夜空に消えて行った。


エピローグ


 つぐみは、仲良し数人と連れだって渋谷に訪れていた。目的は合コンである。秋も深まり、吹く風は冷たい。


「よし、今日こそは良い男ゲットして彼氏作るぞ!」

 と拳を握り締めた時、視界に一人の少女が映った。知り合いでもないのに、何故だか視線を外せなかった。記憶の糸を手繰り寄せてみたが、なにも思い浮かばない。


 と、その時。


 その少女の視線がつぐみに向けられた。その瞬間、なんだか懐かしいような、嬉しいような、暖かい感情が心の奥から溢れだした。

 考えるよりも先に、つぐみは駆け出していた。

その少女の元へ


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