表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/5

<第1回 今、株は上値が重いんスか?  2015年11月3日> 

 ねえねえこのジャンルって、エッセイだよね。

 だからどんなことでも好きに書いていいんだよね。

 まあ、固有名詞を出しての批判とかはしないし、推奨銘柄とか絶対に出さないし、売り買いの推奨もしないけど……

 

 でもさ。

 株式市場ってもんのすごくヘンなんだよ。

「いくらなんでもこれヘンじゃねぇか?」

 っていうことが山ほどあるんだ。

 

 んでもって、もっとヘンなのがその市場について“解説”している相場マスコミなんだな。

 まあ、○経新聞とか、○イターとか、○○ーニュースとか…… 

 そのへんの記者のひとたちとか、そこで書いてるマーケットアナリストとかストラテジストとか言われてるひとたちもヘンなんだよ。

 それ読んで運用している機関投資家のひとたちなんてもっとヘンだし……


 ああ、ちょうど3年前の11月3日のことだったか……

 午後2時ごろ、家でNYダウ先物の動きとか見てたんだ(あの商品は1日23時間も取引されてるから)

 そうしたらあるニュースベンダーに、

「本日の東京株式市場概況:本日の日経平均株価の前場終値は前日比変わらず。

 前夜のNY市場の値動きが小幅だったことを受け……」とか出て来たんだ。


 ……パニくったわ……

 咄嗟に無断欠勤しちまったのかと思ってカイシャに電話しそうになったわ……


 だって11月3日だぜ。文化の日だぜ。

 それ、前場終値は前日比変わらずって……

 アタリマエだろうっ! 市場おヤスミだぞぉっ!

 前場終値が動いている方がオカシイだろうっ!

 キサマ、自分とこのベンダーの現在値だけ見てこの記事書いたなっ!


 こういうヤツラが書いてる市場コメントを読んでる自分が可哀想になって、ナミダちょちょ切れますた……

 まあ、そんなレベルのヤツが書いてたんですなあ。


 翌朝その記事削除されてましたけど……

 たぶんそれ書いたやつ、バケツ持たされて廊下に立たされてたと思います。


 だから、このエッセイって、そういうヘンなひとたちのヘンな行動にモノ申してみようっていうエッセイなんですわ。

 まあ、個人攻撃はしないけど。


 でもさ。どう客観的に見ても、ヘンなことがありすぎるのよ。

 だからそういうの順次書いて行くね。


 今の株式マスコミの論調って、すっごい株に上げ反対じゃない。

「上値は重い」とかいつも書いてるし、NYがたった30ドル反落しただけで「NY株反落!」とか、翌日も40ドル下がったもんだから「NY株続落!」とか書くし。

 でも200ドル上がったときには「上がりますた……」って書くだけだし。


 たぶん今が今年一番株に悲観的な論調が多いよね。

 でもそれなんでなの?


 それはね。

 今年7月下旬から9月中旬にかけて世界中で株が大きく下がっちゃったからなんだ。

 あまりにも長く大きく下がっちゃったもんだから、みんな一生懸命株が下がった理由を説明しようとしたんだ。


 その説明の中で最もそれらしかったのは、

「アメリカが利上げしようとしているから」っていうのと、

「中国景気減速懸念」っていうのと、

「原油価格下落によって、オイルマネーが世界の株式市場から運用していた資金を引き揚げているから」

 っていうものだったんだ。


 ね。これなら説得力あるでしょ。

 だってアメリカは12月に利上げする気だし、中国株は実際下がってたし、原油価格はすぐに大反発しそうにないもの。


 でもさでもさ。

 アメリカが今年利上げしそうだって、去年から言ってたよね。

 中国の景気減速も去年の話題だったよね。

 それに原油が急落したのも去年だよね。

 その辺りは誰も語ってなかったんだけど……



 ああ、因みにキミタチみたいにタダでニュース見てる人たちと違って、機関投資家って言われる人たちって、みんなすっごい高いおカネ払って情報端末入れているんだよ。

 一人用が年間二百万円ぐらいかかるヤツ。

 だから大事なニュースやコメントは、彼らの端末に先に出るんだ。


 でもね。

 これからもさんざん書いて行くことになるだろうけど、その中で特にマーケットの解説、いわゆる「マーケットコメント」っていうのはと~っても特殊なものなんだ。

 キミタチは遅れての配信だけど、まあ後でそのマーケットコメントを読むことも出来るから知っておいた方がいいよ。


「マーケットコメント」のどこがヘンか。

 それは、マーケットコメントが、「ほんとうのこと」を書くことを目的としていないことなんだ。

 それよりは、「機関投資家のためにもっともらしいこと」を書くことが目的なんだな。


 だって、機関投資家の若手が、エラいひとから「なんで株が上がってるんだぁっ!」って聞かれたときに、すぐにもっともらしい解説が出来るためのアンチョコになることを目的として書かれているんだもの。


 だからいつも、「○○の経済指標を受けてリスクオンになりました」って書いてあるんだよ。

 もしくは「原油価格反発を受けて」でもいいし、「アメリカの利上げ懸念の低下から」でもいいし。


 でもって、エラいひとから「それは本当なのかあっ!」って聞かれたときにも、

「○○新聞に/○イターに/○○ーニュースにそう書いてありましたぁっ!」って答えられるんだもん。

「有名なアナリストのナントカさんがそう書いてますぅっ!」って言えるんだもん。

 こんな便利なもん無いよね。


 だから彼らは年間数千万円、もしくは数億円も払って情報ベンダーと契約しているんだ。

 すべては、毎晩接待で呑んだくれてて、マーケットも見ていないマーケット担当エラいひと向けの解説用なんだ。



 でもその相場マスコミも、あんまりハズしているとカッコ悪いじゃない。

 彼らもNY株式市場が7月20日ぐらいから下がり始めたときはそんなに弱気じゃあなかったんだ。

 健全な調整とか絶好の押し目とか書いてたし。

(ああ、この「なろう」も流石にチャートは乗せられないみたいだから、みんな自分のPCでチャート見て確認してね)


 でも8月19日ぐらいから下げ足を速めて、8月24日にはもうズタボロになっちゃってたじゃない。ザラ場では5月の今年高値から3000ドル近くも下がっちゃってたし。


 だからそろそろ、本当にもっともらしい理由を書かなきゃなんなくなってたんだ。

 そのときに、○経の子会社であるイギリスのFTが「オイルマネーが世界の株を売っている!」っていう記事を書いたんだよ。

 そしたら数日たってから○経もおんなじこと書いてたな。


 原油価格が大幅に下落してるんだから、実にもっともらしい理由じゃあないか。

 実際にオイルマネーも売ってたみたいだし。


 だから、「原油価格が大幅に上昇でもしない限り、そうしてアメリカが利上げを断念しない限り、もうしばらく株は上がりませんっ!」みたいなこと書いちゃったんだ。

「もっともらしい」っていう点ではカンペキな記事だったんだ。



 でもさ……

 そういう記事書いた途端に、そっからNYダウが大反発しちゃったんだよ。

 11月2日の引け時点では、もう2500ドル近くも戻っちゃってるんだ。

 5月18日の年初来高値まで、あと500ドルぐらいまでしかないところまで戻っちゃったんだな。


 ん? いや、情勢は変わってないよ。

 原油価格はほとんど変わってないし、アメリカだって10月29日のFOMCで、「12月には利上げしますんでヨロシク」って言ってたし。


 それで相場マスコミはみんな困ってるんだよ。

 だから彼らにとってベストな展開は、これから世界の株式市場がまた大幅安になることなんだ。


 そうすれば、

「やっぱりワタクシどもが申しあげていた通り、反発してたのがオカシかったのであります。下がって当然なのであります」って言えるじゃない。


 つまり「本当のことを書く」んじゃあなくって、「もっともらしいことを書く」っていう彼らの使命も果たされるし、何よりもマスコミやなんとかストさんたちのプライドが守られるしね。



 でもさあ……

 なんで相場マスコミって、アレ知らないのかなあ。

 それ毎日何時間も読んでエラい人向けの解説を作ってる機関投資家のひとたちも、なんでこんなアカラサマなことに気づいてないのかなあ。


 あのさ。

 世界の株式市場、特にそれを牽引するNYダウって、11月9日から「年間最強期間」に入るでしょ。1月3日まで。


 だから8月末とか9月末にかけて大幅に下がってたときに、

「ああ、また今年も11月9日に向けて下がって来てるんだなぁ」って思えてたじゃない。


 だって、11月9日から最強期間に入るっていうことは、それまでにはけっこうな下落があるっていうことかもしれないじゃないの。

 でも今年は11月9日が安値にはなりそうになくって、9日に向けて反発して来ちゃってるけどね。


(実はこれもけっこうキョーレツな理由があったからなんだけど……

 相場マスコミはやっぱり誰もコレに気づいて無いみたいだけど……

 この“理由”についてはまた今度書くね♪)



 ん? 「年間最強期間」ってなんなんだって?

 おお、やっぱキミも気づいてなかったのかい。

 こんなもんPCさえあれば誰だって見つけられるのに。



 それではもんだいです。

「NYダウは11月9日から1月3日にかけては上がる傾向があります」

(データは全部終値ね。該当日が休日だったらその前営業日の終値でカウントだよ)

 それでは、今世紀に入ってからの14年間で何勝何敗だったのでしょうか?

 過去30年間(1985年から)では、何勝何敗だったのでしょうか?」



 これさあ、何勝何敗ぐらいだったら驚いてくれるかい?

 ちょっと今、先読まないで考えてみてよ。

 株やってるひとってこういうのスキでしょ。


 言っとくけど、NYダウはずっと上がり続けてるんだから強いに決まってるじゃないかっ! っていうのはちょっとツラいな。

 だって、2000年末からだったら7000ドルしか上がって無いでしょ。

 14年間で7000ドルなんだから一年当たりたったの500ドルだよ。

 日経平均にしたら一年当たり500円だよ。

 そんなもん一日か二日で動くじゃないか。


 さあ、どれぐらいの勝率で上がってたら驚いてくれるかい?

 今世紀で11勝3敗ぐらいだったら驚いてくれるかな。

 過去30年で勝率75%ぐらいだったら驚いてくれるかな。


 そうだよねえ、過去30年って言ったら、あのブラックマンデーもLTCM危機も、ITバブル崩壊も、911テロも、あのリーマンショックだってあったもんね。

 アメリカの利上げだって何度もあったし。


 それではおこたえです。

「NYダウの11月9日から翌年1月3日までの、過去の上昇下落勝敗」はぁ……


 今世紀の14年間では14勝0敗です。

 過去30年では30勝0敗でしたぁっ!


 ………………

 どお? 驚いてくれた?

 ん? ちょっとチビってパンツ濡れちゃったの?

 早く穿き換えておいでってば。



 これ、すっごいよねぇ。なんせ上昇率100パーだもんねぇ。

 あのブラックマンデーもLTCM危機も、ITバブル崩壊も、あのリーマンショックも、テロも、アメリカの数々の利上げもぜぇ~んぶ乗り越えて100パーだもんねえ。


 っていうことでさ。コレ偶然だと思うかい?

 偶然で30連勝出来ると思うかな?


 因みにさ。

 コインを30回投げてぜんぶオモテを出す確率って、約10億分の1でしょ。

 100円の宝くじ買って1等1億円を当てる確率って400万分の1だから、それの256倍もすっごいことなんだよお。


 っていうことはさ。

 そんな確率の出来事なんかそのヘンに転がってるワケ無いんだから、このコインはオモテの出る確率の高いインチキコインだったっていうことなんだよ。

 つまり、この時期のNYダウには、毎年毎年上がる何らかのチートがかかっているとしか考えられないのさ。


 ん? それどういうチートなんだって?

 そんなもん理由を確定できるワケ無いじゃん。

「仮説」は提示出来ても、それ検証なんか出来るワケ無いじゃん。


 よく学者とかが、「経済理論によれば」とか言ってるけど、社会科学に理論なんかあるわけないでしょ。 

 だって実験で再現できないんだもん。

 だから経済学なんて単なる文学みたいなもんじゃん。

 せいぜい哲学かな。


 ん? 

「だったらオマエの仮説を言ってミロ!」だって?

 うん。それはまたいつか教えてあげるね。

 たぶんその仮説当たってるよ。


 そういう稀有な現象の理由の仮説も立てないままで、利上げだ原油だって騒いでるのって、いくらなんでもインテリジェンス無さすぎねぇかぁ?

 だいたいそういう現象が起こってることすら知らないみたいだし。

 

 キミタチ、観察力も記憶力もぜ~んぜん無いみたいだねぇ。



 まあでも今肝心なのは、そういう現象が過去に実際に起こっちゃってたっていうこと。

 それも世界で一番大きくて影響力も強い株式市場で。

 そしてそれを知りもしない自称プロ連中が、日本中で株弱気吹きまくっているっていうことなのさ。



 相場マスコミ諸君。そうしてなんとかスト諸君。

 その「最強期間」を目前にして、キミタチの論調が1年でいちばん弱気っていうのはどうなのよ。

 しかも自分のプライド守るためだけに。


 しっかもさあ。

 さっきNYダウは今世紀に入って7000ドルしか上がってないって書いたけどさあ。

 それ、このうちの「11月9日~1月3日」だけで5000ドルも上がってるんだよお。


 つまり全体の15%の日数で、全体の71%も上がっちゃってたんだよお。

 一年のうちのそれ以外の期間って、2000ドルしか上がってないんだよお。


 これが「最強期間」でなくってなんなのさ。

 勝率、勝ち幅共に最強でしょ。



 オイラはこれに気づいてから、相場マスコミやアナリストやストラテジストとかいうひとたちの能力に疑問を持ち始めたんだ。

 これに気づかないで、毎日毎日リスクオンだリスクオフだって呪文のように唱えてるひとって、アタマ悪いんじゃないかって……


 こんな初歩的な分析、中学生だって出来るぞぉ……

 オイラにだって出来たんだし。

 引き算しか使ってないし。


 だからそういうひとたちの記事やレポートはほとんど読まなくなって、自分で分析始めたんだ。



 でもって、この最強期間に気づいたのって9年位前だったんだけどさ。

 最近この「なろう」で小説投稿したりするようになって、エッセイも投稿できるって気づいたんだ。


 しかもオイラの記憶だと、この「最強期間」の直前に、相場マスコミの論調がこれほどまでに弱気に傾いているのって初めてなんだよね~。


 だから日ごろオイラの小説を読んでくださってる読者の方々への御礼の意味を込めて、このエッセイを書き始めました。

 不定期で何回か書いて行くつもりでありマス。



 さあ、それでは最後のもんだいです。

「今世紀に入ってからの約15年間。

 日経平均を、5月~10月の半年間はショート、11月~4月までの半年間はロングにしていたら、収益はいくらだったでしょうか?」


(計算がメンドいから先物じゃあなくって日経平均ベースだからね。

 でも配当落ちとか考えたら先物の方がもっと儲かってるハズだよ)


 これもいくらぐらいだったら驚いてくれるかな。

 まあ、毎年勝ってたワケじゃあないけどね。


 おこたえは……


 +1万4731円ですぅ……

 ってゆーか2000年末の日経平均って1万3786円だから、元本倍になってますぅ。

 証拠金90万円入れて、先物でやってたら1473万円儲かってたハズですぅ。


 どお? 驚いてくれた?

 ええっ! またパンツ濡らしちゃったのぉ!



 つまりさあ、今年の株式市場って、


「例年以上に例年通り動いている」っていうことなのサ。


 そういう年の11月になって、一年で一番弱気になってる相場マスコミやなんとかストさんたちってどうなのよ。

 しかも弱気になった理由が、「5月から10月にかけて下がったから」でしょ。


 それいつものことじゃんっ!


 キミタチも、もう少しマーケットを勉強してから能ガキ垂れた方がいいんじゃないのかぁ?



 ああ、最後にディスクレイマーです。


 このエッセイを読んで、11月9日の引けでNYダウ先物を買って、12月31日の引けで売ろうとしている方。

(来年はNYは1月1日~3日までおヤスミだからエンドは12月31日だね♪)


 もしもアナタが初めてこのトレードをやって、大損コイたとしたら……

 アナタは、30年も続いて来た世界最大の株式市場の強烈な伝統を、その一撃でブチ壊した悪霊級大悪運の持ち主です。

 その超絶的大悪運を讃え、「悪霊王」の称号を授与させていただきます。


 まあ、即刻株式市場での運用から足を洗ってくれたまい……

 キミみたいなのがいるだけでマーケットがおかしくなるから。


                              以上!


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ