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ああ、我らの薄幸騎士団長さま!

作者: えすのむぅ

とりあえず不幸。限りなく不幸

我らの騎士団長は実に美しく、薄幸である。まさに美人薄命と言うのが正しいお方である。

何を隠そう始まりは彼が生まれたときから。彼は生まれたその日にその美貌に目を付けた貴族によって生んでくれた平民の父と母から引き離され、何も知らず貴族の子として育つことになる。そこで待つのは彼を良く思わない正妻やその子供たちによるイジメ。それでも彼は健気に頑張り、自分を可愛がってくれている父親のために着々と力を身に付けていった。そこで終われば良いものを彼はひょんなことから自分が父親が平民から奪った子であることを知る。さらに彼が手にした書類には平民の親の暗殺記録まで。後に団長はこう語る。


「燃やしておけよと私は思ったものだよ」


そう言った彼の目は死んでいた。もちろんそれだけでは終わらない。父親を問い詰めるか否かそう悩んで父親と距離を置いていた日に隣国から宣戦布告無しの突然の敵襲がやってきたからだ。結果、その時にはもう達人のレベルまで達していた団長一人が生き残り、残りは0。団長は悪魔の子として畏れられることとなる。たった一人で敵軍を壊滅させ、国を守った功労者とは名ばかり。その圧倒的強さに誰もが恐れ戦いたものだ。さらに天涯孤独となった身で王との謁見に望んだ彼はまたもめんどくさい者に好かれてしまう。それはもちろん王だ。王は早く彼を物にしたいがためにまだ幼き青年を騎士団へと放り込む。良識があるのか無いのか王は少年を囲うことよりも力を付けさせ自分が囲うに相応しい地位を得させることにしたのだ。相手が大人ならそれは実に良いものとなっただろう。しかし相手は少年だ。騎士団でも扱いに困る。その王の言葉を聞いた彼は後にこう語る。


「普段の私が言うべきではないと思うのだがやはりぶっ殺してやろうかこいつと思ったものだ。」


どこか退廃的な雰囲気を撒き散らして団長は蠱惑的なため息をついた。くたびれたおっさんなのに色気満点とはこれいかに。

騎士団は温かく迎えてくれた。ここに来てようやく団長は人間関係としては恵まれたのだろう。しかし団長の薄幸さはこんなものでは終わらない。団長が騎士団に所属したその日に王都に赤竜が襲来し、その次の週には魔族からの刺客が団長のところまでやって来て、そのまた次の週の任務中には団長を見初めた神獣が求愛しにきて、とばかりに団長には休む暇もなく様々なイベントが舞い込む。この前なんか散歩中に魔物の群れに出くわして涙目ながらも剣を構えていた。もちろん俺も加勢した。団長が加勢する俺を見てさらに涙目になったのは言うまでもない。

そこまで色々と不幸になると流石に団長も無傷ではない。初めは片足を団員を庇った末に無くし、それでも騎士団長を続けるようにとの王命が下る。(王は既に代わっていたがその王もまた団長に好意を抱いたことは言うまでもない)その次は少しの隙を付かれ竜に残った片足を食われた。ちなみに団長の足を食べた竜は古代竜で団長の味を気に入り、髪でも良いから食わせろと毎晩団長の寝室に忍び込もうとしている。そしてそのまた次は神獣たる麒麟に片腕を吹っ飛ばされた。その麒麟もまた団長を気に入って毎晩寝室に入り込もうとする。そして団長は泣く泣く今まで一個も手を付けていない魔法に助けを求めて、今では義腕や義足を付けてはいるがその行動の大半は魔法によって制御されている。生前と同等・・・いや、それ以上に洗練された動きに彼を知る人物は『冥界からの不死鳥』と彼を称する。

実際は自分の身を守るために必要だから身につけただけだったのだろうがその異様な習得速度と高い練度は周囲を畏怖させた。


「お前が居てくれて助かったよ・・・」


年老いてもなお不運に見舞われ騎士団長の座から降りられず困っている彼は腹心である俺に笑顔を向ける。貴族や王族に対する外向けの能面のような顔が特定の人物の前で崩れさるのをみるのは優越感さえ覚える。ギャップ萌えを狙っているのかと言いたくなるような彼には少しいたずらだってしたくなるものだ。


「それは私がこのような姿でもですか?」


変化を解いて俺特有の立派な黒いツノと最上級の魔物を使った上質な黒のローブを羽織ると団長は顔に手を当て笑った。


「私って本当不幸」

「全くです」


面倒臭いのに好かれたのなら俺が全部消してあげますよ?と提案すると彼は「考慮しておくよ」とだけ言って書類仕事に戻った。俺は少しインパクトが足りなかったかな?と思いながら大人しく変化を発動させていつも通り騎士団長の書類を整理し始めた。

騎士団長

美人だが不幸。両足無くして片腕消しとんで義腕や義足に変わってもそれにさえ魅力を感じる変態に好かれるかわいそうなお方。剣の腕は最高級、魔法の腕もえげつない。もうすぐ40越えそうなのに粘着質な王と執着心の強い部下のせいで職場から離れられないやばい。職場を離れた途端に王権という名の理不尽で囲われるか上司は敬うべきという理論から外れた部下に拐われる。彼に逃げ場はありません。


部下

早いお話が騎士団長に惚れた齢500の魔王様。黒いツノは魔王の象徴。勇者にしか突破できない障壁持ちで万にひとつも騎士団長に勝ち目はない。生まれたときからあなたのことを見ていたよ。御愁傷様です。


二代に渡り騎士団長に粘着する凄い執念をお持ちのお方。引退した前王も未だに騎士団長を狙っている。能力値は掛け値なしに高く周辺諸国を煙に撒く外交手腕に幾重にも罠を張り巡らせる高等なその頭脳は戦争のない現在、ほぼすべてが騎士団長を捕らえるために使われている。魔王に引き続き二重に逃げ場は封鎖されている。御愁傷様です。

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