レッドキャッスル再び
初めての冒険から数日、俺たちは再び海賊都市レッドキャッスルに降りたっていた。
前の時とは違って、港には大きな船はうちの船くらいだ。
小さな船なら止まってるんだろうけど、相変わらずデカい連中に囲まれてて周囲の様子はよくわかんねえんだよな。
前に誘拐されてるからか、今回は俺専用の護衛として、イージスさんもついてきてくれてる。
レッドキャッスルに来た時は、基本的に他の船員は休みになるらしいから、何だか申し訳ない気がする。
そんなことを考えてたら、イージスさんに頭をぐりぐりと撫でられた。
船長と違って、首がもげそうになることはない、少し乱暴だが親愛を感じる仕草だ。
気にするなってことかな。笑ってるし。
俺も笑顔で頷いていると、副船長とヤジスさんも降りてきた。
大きく膨らんだ簡易の布のリュックみたいな物を背中でなく前にしょっている。
あれってこの前の戦利品かな?
背負わないのは貴重品だからだろう。
リュックを切られて、中身だけ取ってかれたら終わりだもんな。
パッと見平和だけど、海賊都市ではありえそうだ。
相変わらず注目は集めてるけど、視線は二人の抱える荷物にもいってる。
その二人の後におやっさんも降りてきた。
あれ。おやっさん、いつもは別行動で食材探しに行ってるはずなのに。
あ、副船長とヤジスさんの後ろについた。
これで、船長が先頭で、お宝持ってる二人と俺が真ん中。
そんでオルとイージスさんが左右について、おやっさんが一番最後ってわけだ。
船の幹部全員そろっての移動なんて、初めてじゃねえ?
おやっさんが一番最後ってことは、おやっさんも腕がたつんだろうな。
周りもおやっさん見てざわついてるし。
有名人だな。おやっさん。
「おい。今日は剛腕のボブもいるぜ。」
「ヴァルヴァンク号の幹部が勢ぞろいかよ。何事だ?」
おやっさんも二つ名があったんだな。
「剛腕」は結構見たまんまだから、これはわかるな。
副船長の「デイジー・クレイジー」の方は知らなきゃわかんねえよ。
船長は凶悪だったか悪魔だったか。
まあ、これは外れてねえか。
あで。あでででで。
「船長。サイの頭がわれちゃうよ。」
オルの助け舟で船長のアイアンクローから解放される。
だから、何で考えてることがわかるんだよお。
涙目で見上げるがジロリと見下ろされて、視線を逸らす。
すると、周りの見物人が増えてるのに気がついた。
そりゃ、海賊船の有名どころがそろってりゃ、目立つよな。
ってか、港に降り立った時点でこんな目立って、大丈夫なのか?




