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冒険の危険

「おい、ミランはどうした?」



撤収しようと荷物を点検していたら、船長が低い声を出す。

良い声してるから、迫力でちびりそうだ。



「え。さっきまでそこで…。いねえ。」



ヤジスさんが見渡す先を見るが、俺にもミランさんの姿は見えない。

どこ行ったんだろう。ここは危ないのに。



もし、あの氷が割れたら。

せき止められてた水が押し寄せたら。



そんな考えが頭の中で一杯になってしまう。

あれはダメだ。直感でそう思った。



冷たい空気の洞窟、氷の壁、しみ出した水。

もし、そんな冷たい水が押し寄せたら、泳ぐこともできないだろう。



「…大丈夫だよ。サイ。すぐに見つかる。そしたら、ここを出ようね。」



オルが俺の手を取って励ましてくれる。

その暖かい手に、ふっと息をつける。



「そうだよな。すぐ見つかる。…ありがと。オル。」



俺の返事に大丈夫だと思ったのか、傍を離れるオル。

俺も捜索に参加し、休憩所にしたあのランドセルのあった部屋や近くの道も見たが、ミランさんの姿はなかった。



「船長…。」

「置いていく。もう時間がねえ。」



ミランさんを置いていくのか。

いや、納得はしてないんだ。船長も。



不機嫌極まりない顔だ。後が怖い。

先に船に逃げ帰ってたとかだったらいいんだけどな。



違うってわかってても、そう願っちまう。

きっと、ミランさんはあの試掘の先に行ったんだ。



俺の報告に他にも何かあると感じ取ったのかもしれない。

それはあの獣人の事なんだけど、もし、もっと良く見ようと長いこと火を近づけたら…。



『時間が無い』と船長は言った。

たぶん、同じことを考えてるんだろう。



船長の決定で、速やかに帰りの隊を組む。

帰りは時間がないので、皆一緒だ。



「行きます。」



ヤジスさんが短めの松明を持って先頭を行く。

その後に俺、オル、イージスさん、船長、副船長、クレックさんと続く。



帰りは皆松明を持ってる。

迅速さが必要だかららしいが、お宝取った後は罠が発動することがあるからだろう。



洞窟が崩れるってやつ。ぶるる。

考えない考えない。洒落にならねえ。



「落ち着いて、足元を良く見ていくんだよ。」

「ああ。」



オルの指導されながら、俺も後に続く。

気が急くからと、罠に引っかかったら元も子もない。



無事に辿りつけますように。

俺たちは黙々と元来た道を進んでいった。

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