冒険の戦利品
「なあにぃ?あら。」
「え。これ、アサイー帝の作った遺産?」
「うわ。まじか。」
「サイ。お前さんホントすげえわ。」
「まさか、こんなものまで。」
「持ち運べるのか?」
俺の声を聞いて、副船長にオル、ミランさん、ヤジスさん、イージスさんにクレックさんまで集まってきた。
デカい男が集まると狭い。離れてくんねえかな。
「持てるな。軽い。…石か?」
「え。ちょっ。船長っ。それ貸してっ。」
ランドセルをヒョイと持ち上げた船長が不思議そうにつぶやくと、慌てた様子のオルがそれをひったくるようにして覗き込む。
しばらく、そのまま固まってたかと思ったら、おもむろに顔を上げて信じられないって顔をしてた。
「これ、これ、フェリペ宰相の持ち物だ。コピーかもだけど。でも、ホントにあったんだ。石のように見えて石じゃないカバン…。中には…。何だろう?これ?」
何だか早口でまくし立ててるけど、すげえもんだってことか?
そんなオルが中から取り出したものは…石の巻物?
え。マジか。
もしかしてこれも広げられるってことか?
「う~ん。これどうやって開けるんだろう?書簡だと思うんだけど。」
は?書簡って大事な書類だよな?
ビンギス帝国って巻物が書簡だったのか?
しかも石で出来てるし。
まあ、丈夫だったとは思うけどよ。
「サイ。開けて見ろ。オル。サイにそれ渡せ。」
皆とは違うことに驚いていると、船長の手がまた頭に乗っかる。
俺が開けんのか?何で俺が…今やります。
「ああ。サイなら開けれるかも。」
「そうねぇ。サイちゃん今回すごいしぃ。」
「頑張れ。サイ。いいもんなら高く売れる。」
変なプレシャーかけないで下さい。
たく。巻物なんて俺も触ったこと…あるな。
巻物じゃなくて掛け軸だったけど。
ばあちゃんがいくつか持ってて、季節ごとにかけかえるのを手伝ってたんだよ。
真ん中に巻いてある紐の端っこを探し出して、引っ張り出す。
くるくると外していくが、感触は石だ。変な感じだな。
「たぶん。これで広げられるはずです。」
「…すごいよ。サイ。中身は?」
「えっと。…は?」
石の巻物の中身はシチューのレシピだった。
何でわかるかって?だって、日本語で書いてあるんだもんよ。




