冒険の手がかり
昨年からの体調不良により、執筆時間が大幅に減っています。
そのため、投稿回数が減り、更新速度が遅くなってますが、ご容赦下さい。
「サイがまた見つけたって?うわ。ここを管理してたのってフェリペ宰相?すごいよ!サイ!」
俺が内心突っ込みまくりながらランドセルの彫刻を眺めてると、やってきたオルが興奮しながら俺の肩をバンバン叩く。
フェリペ?って誰だ?
「アサイー帝の右腕で、彼の通訳だったんだ。この彫刻は宰相のカバンで、その独特の形から以後、彼の直轄地にはこのかばんの彫像が置かれるようになったんだよ。」
え。宰相がランドセル愛用って、それは見た目的にどうなんだ?
確かに機能的だけどよ?でも、ランドセルだぞ?
あれは小さいお子様が背負うから可愛いのであって、断じて成人男性が背負うものじゃねえよ。
もしかして、彫像でなくランドセルが彫刻になってるのって、視覚的にキツかったからとかそういう理由か?
…ありそう。うえ。
でも、気になる単語も聞いたな。「通訳」だって?
「オル。アサイー帝は通訳が必要だったのか?」
「うん。ずいぶん遠い辺境の出身だったらしくてね。言葉ではかなり苦労したみたい。だから、大事な交渉事はすべて宰相を通してたらしいよ。」
「ふーん。そりゃ宰相も忙しかったろうな。」
オルに適当に返事をしつつ、俺は今聞いた情報を必死で整理していた。
おかしいな?
俺は別に言葉に不自由してねえぞ?
なのに、アサイー帝は苦労した?
ってことは、何か?
俺の異世界転移の特典って言語能力のチートってことか?
まあ、チートかどうかはわかんねえけど。
う~ん。まあ、地味だけど使える能力だよな。
後で船長にいくつかの言語の本を読ませてもらって、能力の検証してみっか。
俺がそんなことを考えてると、ポンと頭に手が置かれた。
さりげなく力が込められている。船長だ。
「何さぼってやがる。」
「さぼってません。このかばんも故郷のものなんです。…ホントは子供用ですけど。」
「そうか。何か仕掛けはあるか?」
だからちっとは浸らせてくれよ。
…うそです。お願いだから手に力を込めるのはやめて下さい。
何でわかるのかわかんねえ。
船長ってひとの心が読めんのか?
「ここで開けるものなんですけど。さすがに彫刻じゃ無理です…よ…ね?」
あれ?この彫刻のランドセル開くぞ?
え?彫刻だよな?皮じゃねえよな?
コンコン
うん。岩だ。
え?何で?
「開いたな。」
「…ですね。」
「中はどうなってる?」
あんたそればっかりだな。
もっと驚けよ。彫刻が皮みたいに曲がってめくれたんだぞ?
「アサイー帝の作った採掘場なら、これもアサイー帝の作ったもんだろ。なら使えるはずだ。」
「実用品っすか!?これ!?」
思わず叫んじまった。
いや、だって普通驚くだろ?彫刻が実用品だぞ?




