冒険の最奥
困ったことになったけど、とにかく奥に進むことになった。
今度はヤジスさん先頭で俺とミランさんで先行して、オルは船長と一緒に行くことになっている。
また罠のチェックからだ。
ヤジスさんが進んだ後を俺とミランさんがチョークで囲っていく。
相変わらず罠が多いが、さっきの隠し部屋の前ほどじゃない。
ここには赤の罠は無かった。
「ん~。右横のやつ印。こっちは少ないなあ。」
「ああ。さっきのがすごかっただけかも知れねえけどな。」
「そうだな。油断は大敵だ。」
ヤジスさん達も同じことを思ってるらしく、罠を見付けながらもさっきまでより足取りも軽く進んでいった。
そしてたどり着いたのはどでかい空間だった。
体育館くらいはある空間に四方から通路が伸びている。
それぞれの先に採掘場所があるんだろう。
「お~。間違いなく採掘場だわ。」
「でっけえなあ。崩れねえか?」
「ビンギス帝国のだからなあ。ま、入るのは船長待ってからにすっか。」
何があるかわからないので、一旦待機して船長たちを待つ。
ほどなくして船長たちが到着し、オルが入口から中を見る。
「わあ~。典型的なアサイー帝の頃の採掘場だね。この巨大な空間、もしかして、ここアサイー帝が自ら指揮を取ってたとこなんじゃない?」
「皇帝が採掘の指揮なんか取るのか?」
「アサイー帝は変わったひとだったみたいだから。帝国が小さかったうちは国民と一緒に畑で働いてたらしいよ。」
オルの説明に皆ギョッとする。
皇帝が畑仕事してたなんて想像出来ねえもんな。
「成る程。そんじゃ、こいつは「不死身の壁」ってやつか。」
「そ。決められた形からまったく姿を変えないってやつだと思う。ほら、こうやって蹴っても抉れた後も残らない。」
「はああ。どうなってんだこりゃ。」
「アサイー帝の魔法だろうね。土に関しては自由自在だったらしいから。」
「すげえ。」
「これが本物なのねぇ。初めて見たわぁ。」
副船長も本物の「不死身の壁」をのぞきに来た。
それもしょうがない。
抉れたと思ったら、逆再生して元の状態に戻っちまうんだからな。
目の前で見てもまだ信じらんねえ。
アサイー帝ってすげえ。
チートか?土チートってやつか?
いいなあ。
俺、トリップ特典なんて無かったのに。
「ふん。成る程な。よし。ここの罠を調べたら奥の探索に向かう。松明が半分になるまでに出来なきゃ、明日だ。」
「「「はい。」」」
とと、ぼーっとしてる場合じゃねえ。
俺も中入って罠を探さねえと。




