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冒険の扉の奥2

部屋の中は相変わらず明るかった。

松明を見つめて進んできたからか、ちょっと目がいたい。



「はああ。あれはまさしくビンギス帝国の紋章だね。」

「んじゃ、罠がないか調べますか。」



ヤジスさんがその場でしゃがんで、扉があった当りの床をジイッと見る。

あんなんで罠がわかるのか?



俺にはこっから見ても全然わかんねえけど。

ヤジスさんならわかるのかもな。



「おし。扉の内側は見える範囲は大丈夫そうだ。後は入ってからだな~。奥広そうだし。」



壁の岩で見えない中を覗き込むようにしてヤジスさんが中に入ることを決める。

後で罠が見えるコツとか聞けっかな?



ヤジスさんについて中に入ると、中は思ったより狭かった。

10畳分くらいだ。もっと広いと思ったんだけどな。



このうち、入口から見えてたのは8割の8畳分くらい。

輝石置き場っていうから、もっと奥に広いんだろうって勝手に想像してた。



入って左横の壁にはあのひまわりみたいな花がレリーフ状に掘り込まれている。

これも何で左にあるんだろうな。



正面から見てもひまわりにしか見えねえ。

下にある柏もちの葉っぱみたいなのも、変わらず上に広げた手みたいに見えるし。



「まさしくビンギス帝国の紋章だね。太陽の花に緑の手だ。」



傍に来たオルがひまわりの模様を見ながらしみじみと言う。

いや。俺、そのビンギス帝国っていうの知らないから、しみじみ言われてもわかんねえんだけど。



それってすげえの?

帝国っていうくらいだから、すごいのかもな。



「これって手なの?」

「そうだよ。緑を操って、農作物を自在に栽培したと言われてる。ビンギス帝国はまだ大陸があった時代の最大版図を持っていた帝国だ。」



大陸?ここって大陸あったのか!

島と海しか見ないから、勝手に大陸はないんだと思ってたぜ。



あ、でもオルは「大陸があった時代」って言ってたな。

じゃあ、今は無いってことか。



かなり大昔のことみたいだけど、農作物を自在に操ったってすげえな。

それって、食いもんに困らねえってことだろう?



下のもんに食わせられるのが上の役目だからな。

それが自在に出来るなんて、勝ち組決定だろ。



最大版図ってことは、巨大な帝国だったみたいだな。

何で無くなったんだろう。



「おし!何かこっちに罠が散らばってて、こっちだけ無いわ。」



ヤジスさんの声に我に返る。

歴史のお勉強はまた今度だ。今は目の前の罠だな。



「よく見えますね。俺わかんないです。」

「ヤジスの特技だから。普通は出来ないよ。」

「はっはっ。これで俺は船長に拾ってもらったからな。」



目を凝らしても何も見えない。

どうやってヤジスさんは見つけるんだろうな。



「こっちは無いんだね?」

「おお。だから、たぶんその奥だろ。」

「そうだね。」



オルが入口の右側にあたる壁、松明の立てかけてある壁の後ろ側を歩いて行く。

ヤジスさんの言葉通り罠にもかからず、オルは突き当りの壁まで無事に到着した。



「う~ん。ちょっと待ってね。」

「任せるわ。サイ、オルは仕掛けに関しては船一番なんだ。あいつに見つけられない仕掛けは無いぜ。」

「すごいですね。」



やっぱヴァルヴァンク号に乗ってるやつは違うんだな。

俺は凡人だっつうのに、どうして乗せてもらえてるんだろう。



…船長に気に入られたからだな。

最近は船長の世話は俺が全部してるし。

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