冒険の扉の奥
船長たちに見送られながら、慎重に奥に進んでいく。
相変わらず罠が多くて歩きにくい場所だ。
途中から狭くなってきて、俺は松明をぶつけないように細心の注意を払いながら歩く。
脇をしっかり締めないと、長い松明はすぐにふらついちまうからな。
さて、赤い罠は、と。
あったあった。道の真ん中くらいから急に増えだすんだよな。
やっぱ、記憶の通り赤いのは床に多い。
壁にもあるけど、手をついてバランスを取りやすい位置にある。
お宝担いで出ていく連中を捕まえるためか?
船長が一人じゃかからない罠だろうって言ってたから、踏んでも大丈夫なんだろう。
「とう。」
赤い罠に足を一歩踏み入れる。
…何も起きないな。
「よし。次だ。」
俺は調子に乗って、次の赤い罠に足を乗せる。
やはり何も起きない。
船長の読みは当ってたみたいだ。
こいつは重さで反応する罠だ。
たぶん、船長には何か根拠があるんだろうけど、道の真ん中に集中してることといい、大人数が出入りすると作動する罠って所だろう。
俺が大丈夫でも、他が大丈夫かはわからないけどな。
当時の連中ってどれくらい体が大きかったんだろうな?
栄養状態は今より悪いだろうし、俺くらいかもっと小柄とか?
じゃあ、小さいやつが届く範囲でお宝がありそうだな。
よし、例の扉の前に着いた。
「相変わらず、足の踏み場もねえな。」
ま、俺は踏むけどな。
赤の上をヒョイヒョイっと。おし。
「さて、松明どおすっかな。」
長すぎる松明が邪魔で扉が押せない。
てか、押すんでいいんだよな?
「ま、立てかけりゃいいか。丁度くぼみもあるし、罠でもないし。」
くぼみに松明を立てかけて、扉の真ん前に立つ。
罠が光ってくれてなかったら、こんな方法取れねえけどな。
ん?何か音が…。
おいおいおい。扉が勝手に内側に動いてるぞ。
こっちって自動ドアあったんだな。
最初の扉だけだと思ってたぜ。
何かRPGっぽくなってきた。
ワクワクするな。中の様子は…。
「空っぽ?」
何にもねえな。
てか、中明るいし。松明いらないだろ。
どうみても住むのに良さそうな大きさの部屋だ。
綺麗に削られていて、壁には石の煉瓦が積み上げられて装飾もされていた。
でっかい花だなあ。ひまわりか?
んー。それ以外に特に目立ったものは見当たらないな。
部屋が明るいから、何か光ったらわかりそうなもんだが、床にはなにも落ちてない。
これ、勝手に入ったらやばいよな?
扉開ける方法もわかったし、一旦船長んとこ戻るか。
船長には赤が踏めたってどう報告しようかな。




