冒険の道1
「よし。ハメてみっか。」
船長のセリフと共に皆がその場から下がる。
扉がどう開くかわからないからだ。
船長もゆっくりと鍵をはめ込んだ後、急いで後ろに下がった。
駆け足なんて間抜けに見えそうなのに、それすらカッコイイってどういうことだよ。
くそっ。イケメンめ。
本当のイケメンって何やってもカッコいいのか?不公平だ。
ゴ、ガゴゴォォォ
地響きのような揺れと音がしたと思ったら、鍵穴から上下に向かって壁に光る線が走る。
そこからゆっくりと左右に扉が前に開いていった。
「すげえ…。」
「サイ。しゃべんな。粉吸っちまうぞ。」
「うっ。はい。」
ヤジスさんに小声で言われて、慌てて他のひとにならって服の端を口に当てる。
松明しか明かりがないけど、それも良く見えないくらいの大量の土埃だ。
たしかに、こんなの吸いこんだら身体に悪そうだ。
うげっ。服がもうじゃりじゃりしてる。口に入った。ぺっぺっ。
扉が空いてからもしばらくは動けなかった。
ようやく松明の明かりが見えるようになると、目の前には壁は無く、装飾の掘り込まれたデカい扉が開いていた。
どうやら内側にだけ装飾がされてあったようだ。
中は洞窟をくり抜いた形の人口の通路が伸びている。
「おお~。当たりだな。完全に。」
「素敵ねぇ。これが手つかず?」
「はっ。幸先いいじゃねえか。行くぞっ。」
船長の号令で進むことになった。
俺を含む先行部隊が先にゆっくりと進んでいく。
ドアの装飾が近づいてくると表面がキラキラ光っているのがわかった。
ヤジスさん曰く、これ自体が魔石を含んだ岩らしい。
それを横目に人が2人くらい並んで入れる通路に足を踏み入れる。
幅は狭いが天井は高い。典型的な採掘場の通路だそうだ。
どきどきしながらも足元に注意して進んでいく。
ありそうなのは落とし穴。でも、通用路に穴なんて作るか?
「それがあるんだよな。」
「マジっすか。通路に?」
「そうそう。おっと、ほらこの辺のうっすら色ついた石とかな。正規の鍵で開けると印が浮かび上がるんだ。今回は楽な方だぞ?」
俺の疑問にもヤジスさんとミランさんが丁寧に答えてくれる。
教わったことは1度で頭にたたきいれる。
船長に蹴りと共に教わったことだ。
俺、今なら日本にいたときより頭いいかもしれない。
まあ、こっちではそれが出来なきゃ命に係わるからなんだけどな。
どこまで出来るかわかんねえけど、せっかく冒険に連れて来てもらったんだ。
やれるだけやってやる。




