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冒険の扉

目の前の壁にはつなぎ目なんかは一切なく、表面も岩壁そのもので違和感はない。

ただ、その中で明らかに人工的に作られたとわかる月の形のくぼみが異彩を放っている。



これでどうやって入口が開くのか不思議だが、魔石の鍵なら魔法で扉が開くんじゃないだろうか。

俺の勝手な想像だが、こんな壁にしか見えない入口じゃあそう思っても仕方ない。



ヤジスさんともう一度、周囲に生き物がいないか怪しいものや竪穴なんかが無いか調べたが、入口までの部分に異常は無かった。

洞窟カモメの巣はなかった。ヤジスさん曰く、もっと奥に巣があるらしい。



天井部分はわかんねえけど、通気口でもあるのかもしれない。

そんな感じで大丈夫そうだったので上に合図を送ると、あっという間に船長以下5人が降りてきた。



少ない気もするが、洞窟は狭い。

あまり大人数で動くのには適さないらしい。



初回の洞窟の探査に行くのは、先行部隊であるヤジスさん、ミランさん、俺、そして船長、副船長、イージスさんにクレックさんだ。

一度に奥までいかず、何回かに分けて調査をするのだそうだ。



内部の様子によっては人数やメンバーを変えるのだとか。

だからって、しょっぱなから船長が来なくてもいいんじゃないかと思うが、そこは口にしてはいけない。



今回は普段俺があまり話さないメンバーが混じっている。

イージスさんは力仕事がメインで碇を巻き上げたり、重たい樽を軽々と運んだりしていて、光るスキンヘッドに大きく傷のあるのが特徴だ。



力仕事を任されるだけあって、屈強な筋肉の持ち主で片手だけで俺のウエストくらいあるんじゃないかと思えるくらいの巨漢で背は2mはありそうだ。

頭部の傷以外はひげも髪の毛もないつるっつるな肌が眩しいナイスミドルである。



クレックさんは視力がいいので普段はマストの上で周囲の見張りをしていることが多い。

青緑な髪の毛に青白い顔をしていて、最初見た時はこの人大丈夫かと思ったが、するすると危なげなくマストを上っていくのを見て、顔色と運動能力が特に関係ないことを知った。



死にそうな顔色はクレックさんのデフォらしいが、この人もこっちの人間らしく背が高い。

190cmはあるけど、かなり細身なのでがりがりに見える。



でも、今回近くで筋の浮かんだ腕を見て、がりがりなんじゃなくて余計な肉が無いんだと再発見した。

身が軽いのと合わさって、イメージ的に忍者に近いと思っている。



この二人とは業務内容の違いのせいか接点がこれまであまりなかった。

でも、俺が船長に蹴られて死にかけてたりすると、こっそり船医のオルを呼んでくれたのは教えてもらってるから、悪い印象はない。



ふたりに笑って軽く会釈すると、少し驚いたような顔をされたけど頷き返してくれた。

やっぱいいひと達だろう。俺のカンは当るんだ。



「成る程なあ。確かにこいつと同じ形に大きさだ。」

「ええ。壊れた様子もないし、この様子だと結構いいもんがあるんじゃないかと思うんですよ。ただ、その分罠も満載でしょうけど。」

「だろうな。だから丈夫そうな奴らで来たんだ。」



船長とヤジスさんがくぼみを見ながら話している。

とっとと鍵の石をはめ込むんだと思ってたら、報告と実際の状況を確認しているようだ。



普段の船長の気の短さを知ってる身としては不思議な気分だ。

そんな俺の様子に気づいたバクス副船長が「どんな罠があるかわからないから慎重にゆっくり進むのよぉ。」と洞窟探査について教えてくれた。



そもそも、今回の場合、俺が見つけた箱から見つかった魔石に刻まれた地図しか手元に情報が無い。

事前に出来るだけ調査したものの、おとぎ話レベルで語られていた島の情報だけで、それは未発見の採掘場の証でもあるらしい。



未発見ってことは罠も健在であるため、少しずつ確認しながらゆっくり進むのだそうだ。

話を聞いてものすごく納得した。



これがゲームなら遅々として進まないのにイライラするところだが、自分の命がかかっているとなると話は違う。

お宝だって命あってのものだからな。



でも、何で丈夫そうなメンバーの中に俺が入ってるんだろう?

不思議に思ったが、船長の姿を見て、もしかしなくても船長の世話も入ってるのかもしれないと思い、それならせいぜい邪魔にならないようにしようと心に決めた。

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