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冒険の海図

船長相手に誤魔化しても仕方ない。

つうか、バレるんだよな。誤魔化すと。



「親が海の調査を仕事にしてましたから、海図は家にありました。」

「ああ?調査だあ?」

「海の生き物を調べたり、潮の流れを広い範囲で調査したりしてたみたいです。」



親父が生物海洋学でプランクトンを、お袋が海洋物理学で温暖化について研究してた。

だから、海に関する物で家の中はあふれていたし、海図も絵本のように眺めていた。



俺みたいなのはかなり特殊だ。

他では聞いたことねえし。



「それで海図が読めるのか。…もしかして描けるのか?」

「いえ。俺、絵が壊滅的に下手で…。」

「でも数字の扱いは知ってるな?」



「え。あ、はい。同じかどうかわかりませんが。」

「海で気をつけるもんっつったら、そう幾つもあるわけじゃねえ。お前が読めたってことはそう違いがあるわけでもねえんだろ?」



船長の問いにこっくりと頷く。

こっちの海図は古い海図とよく似ている。



緯度や経度なんて概念は無いから、緯線や経線は無い。

方角を示す星形とそこから伸びる方位の線が薄く引かれているくらいだ。



後は暗礁を示す記号や数が描かれているくらい。

あ。でも何か変な生き物の絵が描いてあるんだよな。



たぶん、海の怪物ってやつだろう。

確か、蜃気楼の関係でクジラやイルカがそう見えて、船乗りたちはそれを恐れたて話だ。



ただ、ここは異世界だし、本当の化けもんがいても驚かねえけどな。



「サイ。お前、こっちの数字書きこめ。」



船長がそう言って俺に寄越したのは小さな紙の束だった。

記号と数字が並んでいる。



どうやら計測のメモのようだ。

地図を見ると記号は書き込まれている。



これ、向かう島の海図じゃねえ?

島の名前書いてあるし。



小さな島だって話だから、急いで調査したんだろうな。



後は数字を書きこむだけのようだ。

でも、それくらいなら船長で充分…寝てるよ。



船長は俺にメモを押し付けてソファに寝転がると、あっという間に寝てしまった。

船長は寝起きが悪い。つまり、寝られてしまったら起こせない。



「つまり、俺がやるしかないってことね。」



ため息をつきながらペンをインク壺につけた。

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