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誘拐だった

「…うっ。つつっ。」



目が覚めると真っ暗な空間にいた。

頭がガンガンする。何でだ?つか、ここどこよ?



身体を起こそうとして、ジャラリとした音で足が鎖でつながれていることに気づく。

…そっか。ヤバいのに絡まれて、逃げようとして後ろからやられたんだな。



真っ暗な部屋と足に繋がれた鎖の感触で状況を悟る。

オルはどうしたんだろうな。無事ならいいけど。



まさか誘拐までやるとはなあ。

俺に何の用があるってんだ?こっちに知り合いはいねえけど。



にしても臭せえなあ。

籠った臭気が充満してる。



かすかに磯の匂いも感じ取れるから、まだ港なのか?

…いや、揺れてる。船の中だ。



真っ暗で窓もねえってことは、もしかして船底の方か?

揺れが大きくないってことは、結構大きい船の中だろうな。



デカい船ってえと、港にはガレオン船やキャラベル船が幾つも泊まってた。

となると、その船のどれかにいるってことか。



わかったところでどうにも出来ねえんだけど。

情報が欲しくても、真っ暗なこの状況じゃこれ以上は無理だな。



コツコツコツ



一定のリズムで床を叩く音が近づいてくる。

やべっ。寝たふりしとこ。



「あ~?ま~だ、目が覚めねえのか。薬が効き過ぎたかあ?」

「ほんの少しでしたから、そろそろ目が覚めるかと。」

「待ってられっか。おいっ。起きろっ。」



腹に衝撃を受けて、思わず咳き込む。

棒で殴られたみたいだ。



涙目で見上げると、明かりが近づけられる。

うっ。眩しい。



まず最初に目に入ったのは木の棒だ。

左足から生えてる。義足だ。



どうやらこれで蹴られたみたいだ。

みぞおち入ったっての。起こすなら加減しやがれ。



ギラリと光を放つかぎ針の右手にフリルたっぷりの高そうな衣装。

夢の国の海賊か?何てベタなんだ。



思わずマジマジと眺めると、顎をかぎ針ですくわれる。

危ねえなあ。



睨みつけると、もじゃもじゃの鬘を被った手入れの悪いひげ面のぶ男が目の前に来る。うっぷ。

普段、男前しか見てねえから、吐き気がするぜ。



「いい面だ。あいつが気に入るのもわかるなあ?」

「ええ。黒髪に黒い目。さぞ高く売れるでしょう。」

「まったく。あいつらにお宝も食糧も取られちまって、散々だったからな。取られたもんは取り返さねえと。」



顔が離れると、明かりも上に移動して話してるふたりの顔が見える。

べたな船長と細身のちょび髭船員がにやにや笑って話していた。

ふたりとも服が上等だから、船長と副船長ってとこか?似合わねえけど。



どうやら、こいつら前に船を襲ってきた奴らみたいだな。

お宝や食糧取られた腹いせに、俺を売ろうってのか?



いやいやいや。そっちが先に襲ってきたんだろうが。

お前らアホだろう。



あまりに勝手な言い分に呆れてものも言えねえ。

海賊だけどよ。それなりに決まり事ってのがあるだろう?



こんな勝手なことされて、うちの船長が許すはずねえじゃん。

それもわかんねえってか。



そういや、副船長も「アホ」って言ってたな。

あれ、そのまんまだったんだな。



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