表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/75

朱色の要塞

進んでいくと、赤に近いオレンジの建物が見えてきた。

他の建物が2階までなのに対して、こっちは4階はある。



目に痛いくらい鮮やかな建物はまるで要塞のような印象だ。

四角くてシンプルな煉瓦作りで、小さな窓が間隔をあけて並んでいる。



周りが洒落た模様で三角屋根がかわいらしい感じなのと対照的だ。

でも、要塞みたいな作りにしては派手だよな?



赤に近いオレンジってことは、朱色ってことか?

朱色の要塞って狙い撃ちにされそうだ。



「ヴァルヴァンク号船長オスカー・ヴァルヴァンクだ。付き添いは副船長バクス、船医オル、んで見習いのサイだ。」

「ようこそレッドキャッスルへ。お通り下さい。」



ヴァルヴァンク号って船長の名前だったのか。

日本名で同じことしたら間抜けた感じになるけど、この名前だと海賊船として響きがいいよな。



てか、船長の名前「オスカー」だったんだな。

皆「船長」って呼ぶもんだから、今まで知らなかったぜ。



船長も教えてくんねえし。

ま、聞いても「船長」としか呼ばねえけど。



船長に続いて中に入ると、広いホールに結構な人がいて込み合っていた。

城務めにしては多すぎるし、品が無い感じのやつが目に付く。



何人か同じデザインの黒服を着ているから、あれはこの城の関係者だろう。

皆、バラバラに散ってそれぞれの団体の相手をしてるしな。



「いらっしゃいませ。オスカー船長。主がお待ちでございます。」

「っ。」

「おう。…見習い。遅れんじゃねえぞ。」



周りを観察するのに夢中で、声をかけてきた黒服に気づかなくて驚く。

船長は鷹揚に頷くと、周りに響く声で俺に注意した。



ううっ。視線が痛え。

こんなとこで大きな声で言わなくてもいいのに。




あんた無駄に声がいいんだから自覚してくれよっ。

…なんて言えるはずもなく、ただ「はい。」と答えて足早にその場を去ることしか出来なかった。



去り際に「あれ、「凶悪」ヴァルヴァンクのやつらだぜ。」とか「相変わらずいい声だなあ。さすが悪魔。」とか「デイジー・クレイジーがいたぞっ。」とか聞こえたけど、聞こえなかったフリをした。



「凶悪」とか「悪魔」とか物騒な単語はどうせ二つ名だろうしな。

そういや、バクス副船長の二つ名って「デイジー・クレイジー」って言うんだぜ?



おやっさんに教えてもらったんだ。

なんで「デイジー・クレイジー」なのかというと、バクス副船長の愛用の剣の名前なんだそうだ。



名剣として名高いものだそうだが、デイジーをメインにデザインしているもんだから、女性剣士に受け継がれていた。



だが、バクス副船長は可愛いもの綺麗なものが大好きだ。

そんでもって剣の名手。



だから、剣の刀身にも柄にもデイジーのデザインが入ったその剣を、前の所有者から決闘で奪ったらしい。

力ずくで奪うってのが海賊だよな。決闘するだけマシな感じだ。



そんで、敵は最後の瞬間を返り血で赤く染まった剣の「デイジー」を見ることになるから剣の名前が「デイジー・クレイジー」。

それをふるう副船長の強さと共に更に有名になり、剣の名前が副船長の二つ名にもなったという訳。



要は副船長がすっげえ強ええってことだ。

朝の練習見てたら、ただもんじゃねえってのはシロート目にもわかるしな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ