表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/75

知らない街

縄梯子から降りると、喧騒が近くなった。

港だ。活気があって人がたくさんいる。



ガレオン船クラスのでっかい船が多いな。

でも、甲板から見た時、速度優先の小型船も結構あったぞ。



同じ旗の船が固まってるけど、あれもしかして船団ってやつか?

俺はもの珍しさに見上げた姿勢のままで船を見渡した。



ちなみに、見上げたままなのは、周りは俺より体格のいい男ばかりで自分の周囲の様子はよくわからないからだ。

でも、船長はこの人混みの中でも目立ってるらしく、視線が集まるのがわかる。



有名人なのか?海賊なのに?

でも、海賊船が泊まれる港だしな。普通じゃないのかもしれない。



「キョロキョロしてんじゃねえよ。迷子になるぞ。」



船長に首根っこ引っ掴まれて、傍に立たされる。

少しムッとしたけど、知らない場所で自分より背の高い男達に囲まれるのは思いの他怖かったので大人しくする。



いつもの船の仲間もいないし、船長とはぐれたらホントに終わりだ。

まだ見習いだが、ここ数か月の船の生活で俺の中で仲間意識が芽生え始めていた。



船長に言ったら笑われるから言わねえけど、他に行くとこもねえんだ。

海賊船に愛着持ったっていいだろ。



船長の傍に立たされてすぐにバクスとオルが降りてきた。

この二人が加わると、さらに周りがざわつく。



カッコいいもんな。

主役級の俳優が揃ったようなもんだ。視線も集まるってもんだろ。



イケメンは嫌いだが、ミーハーな気持ちは良くわかる。

内心うんうんと頷いていると、船長が歩き出したので慌てて後をついて行く。



行くなら一声かけて欲しいが、船長には通じない。

些細な動きから次の行動を予測して、遅れないようついて行かないといけないんだ。



でなきゃ容赦なく怒鳴られて蹴られる。

船長の性格なら船を下りても変わらないだろう。



でも、ついて行きながら周りを見るくらい許されるよな?

迷子にならなきゃいいわけだし。



俺は映画のセットにでも迷い込んだような気分で、船長の後をついて行きながら周りを見渡す。

船を降りた場所から少し進むとレンガ造りの家々が立ち並んでいるのが見えた。



目を引いたのは壁の煉瓦模様で、煉瓦を斜めに組み合わせてまるで紐で編みこんだような模様の家や、色の違う煉瓦を組み合わせて幾何学模様にしてある家なんかがあって、とても新鮮だった。



編みこんだような模様は、確かフィッシュボーンって言ったはずだ。

意味はそのまんま「魚の骨」。



確かにそうも見えるわな。

俺は細い竹で編み上げたカゴとかイメージしたけど。



煉瓦の家の実物なんて見たこと無かったけど、一軒一軒の煉瓦模様が凝っててちっとも飽きない。

俺、こういう洒落た建物とか見るの結構好きなんだよなあ。



もっとじっくり見たいけど、船長の歩幅について行くのが精一杯な俺には到底無理な話だった。

船長の1歩が俺の2,3歩だからな。



ちょっと気を抜いたらすぐ離される。

走ればいいだろって?そんなことは出来ない。



目的地に着いて船長が何するのか知らないが、買い物なら荷物持ちをするだろうし、食事なら給仕をすることになるだろう。

その時にへばって粗相した方が何倍もヤバい。



だから俺は余力を残すために鍛えた早足でついて行く。

ついて行くのに必死過ぎて、バクスやオルが後ろで警戒してたのに気づかなかったんだよな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ