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いつもと違う朝

「おい。見習い。行くぞ。」



今日も今日とて船長のお世話をしてると、昼前になっていきなり言われた。

何処に行くのか?聞いちゃいけない。



何故俺も?なんてもちろん聞いちゃいけない。

言われた通りにやるのが見習いだ。



「はい。」



素直に返事をした俺を見て、一つ頷くと船長は部屋を出る。

送れないように早足でついて行くが、どんどん引き離される。



息が上がってきた。コンパスの差か。くそっ。

走るわけにいかないので、船長の背中を目で追いながら出来る限り急ぐ。



振り返りもしないのはいつものことだ。

船長は誰に対してもこんな感じだ。



周りがついてきて当然って顔で我が道を行ってる。

だが、それが不思議と腹が立たないんだよな。



人の上に立てる男ってのはこういう所が違うんだろうか。

俺にはたどり着けそうにない。



早足のレベルが上がったのか、船長が甲板に出てすぐに俺も出られた。

珍しいことに皆いる。



何が始まるんだ?

そして俺はどこにいればいいんだ?



副船長と目が合うと手招きされたので、そそくさと移動する。

俺が移動したのを見届けてから、船長が口を開いた。



「出発は明日の昼だ。メシは食ってこい。遅れたら置いてく。いいなっ?」



「「「おおーすっ。」」」



船長の美声が甲板に響き渡ると、野太い声が合唱で返事をする。

何なんだ?



出発?遅れたら置いてく?

どっかの港に着くのか?海賊船が?




疑問だらけの俺の頭を船長がつかむ。

いてっ。いててててっ。



あ、アイアンクローは勘弁して下さい。

船長握力強いんだから、マジ勘弁。




ていうか、何でそのまま移動するんですかっ。

せめて襟首つかんで下さいよぉ。



何て文句も痛みで声にならない。

あ。何か頭がミシミシいい出した。



俺、ここで死ぬの?

マジで?



「ちょっと、ちょっとぉ。何かミシミシって言ってるわよぉ。砕けるんじゃない?サイ、泣いちゃってるし。」

「あ?…ちっ。しょうがねえな。」

「いやいやいや。普通にしてれば付いてくるでしょ。ねえ?サイ?」



俺が泣いてるに気付いたバクスとオルが船長に物申してくれた。

助かったっ。まだ声の出ない俺は、オルの質問にコクコク頷く。



それを見て船長は「汚ねえなあ。」と顔をしかめた。

ううっ。今日も船長は理不尽だ。



でも、文句は言えない。相手は海賊だ。

俺は袖で顔を拭うと船長の後に続いて縄梯子を降りた。

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