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船長と朝メシ

他サイトで大体2日に1度更新してるので、これからは2週間に一度くらいの頻度で更新していきます。


「それで、あの、船長はまだ飲まれますか?」

「いや。腹減ったしな。メシにする。」

「ああ。それなら出来てますよ。サイっ。おめえの分もあるから、取ってきな。」

「はいっ。行ってきます。」



おやっさんに声をかけられると、船長に一礼して厨房に急いで向かう。

もちろん早歩きだ。



最初の頃は散々怒鳴られて蹴られたからな。

今ではどんな時でも走り出すことはなくなった。



厨房に入るといい匂いが鼻をくすぐる。

起きた時は頭痛くて気分も悪かったけど、今はもう大丈夫だ。



俺、そんなに酒弱くないしな。

どっちかというと強い方に入ると思う。



「おはようございます。船長と俺の朝飯下さい。」

「おう。サイっ。ほらよっ。パンは今焼けたやつがあるぜ。」

「やったっ。美味そうっ。」



喜んで焼き立てをもらうと、戻ってきたおやっさんも含めて厨房に笑いを誘ってしまった。

反応が露骨すぎたか?だが、日本で焼きたてのパンなんて食ったこと無かったんだよ。



すげえ美味いの。

焼きたてのパンって、香ばしいだけじゃなくて、甘い香りがするんだよな。



後はいつもの豆のスープと水をもらって船長の元に戻った。

こっちの水って美味いんだよな。



飲み水は特殊な箱に入ってて、そこから汲んでる。

冷蔵庫みたいなもんらしく、冷やして保管していて冷たい水がいつでも飲める。



「お待たせしました。朝食です。」

「んっ。」

「今日はパンが焼き立てです。」



「おめえはメシのことになると嬉しそうだよな。」

「美味いメシは生きる糧ですっ。」

「まあ、そうだな。よし。食うぞ。」




手を合わせて早速焼き立てのパンに手を伸ばす。

ライ麦パンみたいな固めのパンなんだけど、焼き立てはやっぱりちぎりやすい。



ちぎったのを口に放りこむと、穀物の香りと独特の酸味が口の中に広がり、その後甘みが加わる。

滅多に味わえない甘みを堪能していると、船長が面白そうな顔をして見ていた。



「お前はホント美味そうに食うよな。」

「美味いもんは美味いって顔して食わないと、失礼ですから。」

「はははっ。」



何がおかしいのか、船長がウケた。

まあ、上機嫌なのは助かる。



俺は内心首を傾げながらも豆のスープを一口食べた。

レンズ豆のような平たい豆で、結構しっかりした食感だ。



これ一杯で昼まで持つんだから、腹持ちいいんだよな。

朝だから、あっさり目の味に作られてて食いやすい。



これも船によっては塩だけだったりするらしいが、この船のはちゃんと出汁が取ってある。

この船の出汁は基本魚だ。



海賊は肉食ってるイメージだったから最初に食った時は驚いた。

それをおやっさんに言ったら、「周りが海なのに、海のもん食わねえなんざバカだろうが。」と言われた。



まあ、そうだよな。

新鮮な魚介類が手に入るのに通り過ぎるだけなんて残念過ぎる。



あっさり魚介スープに舌鼓を打ちつつ、出来るだけ早く食事を済ませた。

船長の世話しないといけねえしな。今日は雑用も多そうだ。

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