落ちた
アルファポリスさんで先行して書かせてもらってますが、中々、感想とかもこないので、こちらでも投稿することに。
よろしくお願いします。
「ふああぁ。ねみぃ。」
俺は眠気と戦いながら、いつも通り大学に向かって歩いていた。
下宿先は大学から徒歩15分。途中に信号も何もない道だ。
いつも通り歩いていたら、そのうちつくはずだった。
いつも通り授業を受け、いつも通りバイトに行くはずだった。なのに。
「んえっ。ちょっ。マジかよぉぉぉ。」
ある日俺は穴に落ちた。
何の穴かって?んなのどうでもいい。
たぶんマンホールか何かだろう。
それよりも今の状況の方が深刻だった。
落ちる。落ちる。落ちる。
落ちる。落ちる。落ちる。落ちる。
最初はすぐにやってくる衝撃に身を固くして目をつむっていた。
だが、待っても待っても穴の底にたどり着かない。
だから、気になってそっと目を開けてみた。
最初に目に映ったのは、赤。
視界一面の赤色だ。
何だ?これ。不思議に思って首をひねると、煙を噴いてる森にキラキラした山が遠くに見えた。
その瞬間、俺が見た赤い物は海なんだと理解した。
常識の真逆を行く光景に頭がついていかないが、近づいてくる赤に本能が訴えかける。
これ、死ぬんじゃね?
思った瞬間にがくんと速度が上がり、慌てて両手で頭を庇う。
身体を極力丸めて、来るべき衝撃に備える。
死にたくねー。
そう思った時には海に投げ出されていた。
あっという間に海水が全身を包み、衝撃で口から空気を吐き出してしまう。
口に入って来た水に恐怖して、海面に顔をだそうとめちゃくちゃにもがく。
だが、もがけばもがくほど、水は口の中に入って来て、どんどん身体は重くなっていった。
このまま死ぬのか…。嫌だなあ。大学入ってまだ1年しか経ってないのに。
そんなことを思いながら、俺の意識は暗闇に飲まれていった。