幸福
私は早百合。社会人だ。現在、私は社長室に呼び出されている。社長室で、いかにも仕事ができるオーラを出している人を前に私は言った。
「あなたのおかげで私は、幸せなの!」
小百合は社長に抱きつきながら言った。
全ての始まりは大掃除の時に出てきたノート。中学時代の数学のノートなのだが最後のページに数学のノートのはずなのに数字ではなく文字がビッシリ書かれているページがあった。ノートの一番上には "私の理想の相手の条件100" と書かれていて、"身長180cm以上" とか "イケメン"、"英語ペラペラ" など当時の浅はかな理想が書き綴られていた。
浅はかな理想を全て読み終え、ふと思い返してみると小百合の働いている会社の社長がこの条件にピッタリだったのだ。この会社の社長は早百合の高校時代に知り合った友達だ。高校卒業後、大学に行かずに起業。大学を卒業した小百合は知り合いであったこともあり、即採用という流れである。小百合の理想の条件に合致する社長。女性である。
そして、冒頭に戻る。普通に抱きつくなと怒られた早百合。社長は、真剣な顔で話を始める。
「お前、いい加減にしろよ!今日はクビにするために呼んだんだからな!」
突然の出来事に頭が追いつかない。
「まず、その白いワンピースなんなんだ!仕事する気あんのか!会社なんだからスーツとまでは言わないがもっと大人しい服を着ろ!」
机を叩きながら社長は怒る。
「それにお前、会社の金を横領してるな!不正の証拠は掴んである。警察に突き出してやるのは勘弁してやるから、今すぐ出て行け!」
「なんで?嫌だ嫌だ嫌だ!あなた私の理想の人なの!一緒に居ると私、幸せなの!これからも一緒に居てよ!なんで私を捨てるの?」
喚く早百合を冷たい目で見ながら社長は言った。
「あんた、歪んでるね」
私の幸せが折れる音が聞こえた気がした。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
テーマ短編に参加させて貰おうと思ったのに遅刻しました。
テーマ「百合」なので主人公は早百合。
"百の条件に合う"で無理やり百合。
抱きつかせたから百合など、悪あがき。
百合難しいです。
この小説のタイトル「幸福」とオチは降伏点からもらいました。
降伏点をイメージして書いていたものに「百合」を足したものです。
不正は社会の歪み。いつかポッキリと折れます。