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3月6日 晴れ ②

「あっ悪い、電話だ先入ってて」

 そう言って卯月とスリーマウンテンズに先に入ってもらい携帯に出ることにした。


 着信を確認するとそこに現れていた名前は…

「何だ、親父かよ」

 着信履歴を見ると非常にまずい事に合格発表の後から何回か掛かってきていたようだ、俺はまずいなと思いながらも出ることにした。


「遅いぞ、鳴ったらすぐに出んか」

 取った瞬間、一切の余裕なく間髪入れずに一声を浴びされてしまった。

「まずは合格したんだってな、おめでとう」

 どこで情報を仕入れたかは分からないがすでに俺が合格したのを知っているようだ。


「それよりも大事な話がある早く帰って来い」

 そう言うとこちらが一言も話さないうちに切ってしまった。

「・・・」


 ちょっと待てよ合格よりも大事な話って、それにせっかく今から楽しもうと思ったのに。

 親父を怒らせると怖いし、すぐに帰らないと大変なことになるかもしれない・・でも一曲だけと部屋に入るとすでに卯月が一曲目を歌い終わった所だった。

「話は終わったか、俺らはもう選んだぞ、早く歌うの入れとけよ」

「すまんすまん、親父がよ、早く帰って来いて言うんだ、知ってるだろ俺の親父が怖いの、だから一曲で帰らせてもらうよ」

「残念だな、あの親父じゃあしゃあねえか、何歌うんだ早く入れてしまえ」

 そう言われたので早速歌本を見て自分の歌う歌を入力しようと本体の機械を見るとすでに予約が十曲になっている。


「何じゃこりゃ、何でもう十曲も入ってるんだ」

「そりゃお前が早く来ないからだろ、あっ割り込むなよ」

「そんな、親父にどやされるよ・・・」

 仕方ない、俺の歌う歌を入力してっと、短い歌が多い事を期待して順番を待つことにするか。その後、俺以外の四人が次々に歌い始めたが、歌ったのを順番に言うと、まず始めは卯月、次も卯月後は順番に山田・卯月・山口・卯月・山本・卯月・スリーマウンテンズ・卯月と歌っていった。

 確かに歌はうまいが、まるで卯月オンステージだななどと思っている間にも次々と歌のコードを入力している。


 驚いて見ていたが俺の歌のイントロが聞こえてきたと同時に携帯が鳴りだした、その相手はもちろん親父だ。

 真っ青になって俺は恐る恐る出ることにした。

「藍よ、早く帰って来いと言ったよな、今は何してるかな・・・」

 優しい声だかその裏に鬼の姿を見たような気がした。

「ご、ごめんなさいすぐに帰ります」

「ダッシュでな」

 そう言うと携帯が切れてしまった。


 すでに俺の歌う予定だった曲の半分ぐらいまで進んでいたが、そんな事を気にする暇もなく、ダッシュで飛び出すことになってしまった。

「すまん、俺はこれで」

 その言葉を発した時には既に俺の体は半分部屋を飛び出した所だった。

 その時に卯月が何か言っているようだったが、その言葉は俺の耳には届いてはなかった。


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