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2次試験通過者 風色 望

「長野県出身 風色 望 18歳」

「あれ、広島県じゃなかったの」

「うん、大学がね」

 俺の質問に望ちゃんが答えてくれた。

「じゃあ行ってくるね」

 そう言って天空時氏の所に走っていった。


「こんにちは、おじいちゃん」

「はい、こんにちは」

 天空時氏もつられて挨拶を返している。

「では、風色さん始めても良いかな」

 調子を崩されたのか天空時氏は聞きなおしている。

「はいどうぞ」

 いつも通り元気な声で望ちゃんは答えた。


「風色さんの母親は少し前までテレビなどで活躍されていた当りすぎる占い師 フォーチュン風色さん 事 風色 菜種なたねです」

「わて知ってまっせ、前にテレビでご一緒させてもろうたで」

 島島は思い出したように叫んだ。

「あの番組でワテの仕事が無くなるって言われてから、ホンマに仕事が見る見る減ってもうたからよう覚えとるで」

「そういえば最近見てないですね」

 流氷さんも言っているが、確かにこの2~3年テレビでまったく見かけなくなっていた。


 人気商売といえばそれまでだか、あの時の的中率90%以上で、災害なども事前に忠告して、数百名の命を救ったこともあり、今でも必要とされているような気がするが。

「フォーチュン風色さんも大婆様と一緒で予報師協会の人ですか」

 夢乃さんが聞いている。


「残念ながら何度もお誘いしたのですが断わられました」

 天空時氏も本当に残念そうだ。

「ところで、お母様は今もお元気ですか」

 流氷さんは望ちゃんに聞いている。

「ママは今家にいるよ、でもね、占いはしてないよ」

「それはもったいないでんな」

 きっと、もう一度占ってほしい島島が残念そうに呟いた。


「昔ね、ヤラセじゃないかって疑われてね、他にもいろいろあってテレビのお仕事が嫌になってね、実家に帰っちゃたの」

「そうやなホンマにあの時のバッシングはひどかったで、確かその年の大火災を当ててしもうてからやったな」

「思い出しました、テレビ局が予言を隠していて、助かる可能性のあったのをスクープのために使ったって問題になってましたわね」

 流氷さんの発言で何人かは思い出したようで、うなずいたりしている。


「うん、それでねテレビは信じられないって言っていたよ」

「そう言う訳があったのですか、残念ですね、私も占ってほしかったわファンだったのよ」

 少し残念そうに流氷さんは言っている。

「それではお母様のお話はこの辺りでよろしいでしょうか」

 天空時氏は次に進めたいようだ。


「菜種さんの娘さんである望さんですが、母より予知能力をかなり受け継いでいます、相手が喋った言葉より考えている事がわかります、さらに直接触ることで相手の未来を見ることが出来ます」

「うん、そうだよ、でもねこの服を着てないと触ってもはっきりとしたのは見えないの。今日は特別な日だから着て行きなさいってママが言ってたの」

「望ちゃん、そういえば新幹線でそのうち分かるよって言ったのはこういうこと」

「うんそうだよ、だからあの時言わなかったの、だって雲渡君もいたしね」


 そういえば2次試験で敗退したため、ここにはいないが雲渡君もいたし、もしあの時に聞かれていたらあの嫌みな性格からして、今頃言いふらしているかもしれない、それも分かっていて言わなかったのかもしれないな。


「私を占ってもらえませんか」

 流氷さんは目を輝かせて望ちゃんへ詰め寄っている。

「うんいいよ、でもお母さんと違って私1日3回しか見えないの」

 今日はあの新幹線ですでに俺と雲渡それに島島の3人見てたよな。

「ごめんね、今日はね3回見ちゃったから明日だったら良いよ」

「え~残念、明日絶対お願いよ」

 流氷さんは渋々元いた位置に帰っていった。


「ほやったらあの時言ったことはホンマでっか、テレビ復帰って」

「うんそうだよ、あの時の事を忘れなかったらだよ」

「何言いましたかいな、覚えとりませんがな」

「じゃあもう一つだけね、復活はコメディアンじゃないよ」

「えーホンマでっか、いったい何やんねん」

「それはね、自分で見つけないと叶わなくなっちゃうよ」

「ヒントもだめでっか」

「ダメだよ」

 望ちゃんは食い下がる島島をうまいことかわしている。


「騒いでおられますので、続けて次の方に行きます」

 この騒ぎをよそに天空時氏は確認作業を進めようとしている。


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