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2次試験通過者 霧咲 渉 かおり 兄妹 +…

「青森県より 霧咲 渉 ならびに かおり 兄妹ともに13歳です」

「ひょっとして双子でっか、なるほど、それで姉でも妹でもええちゅうことでんな」

 島島が驚いたように聞いている。


「それだけではないのですが~、そういうことにしておきますぅ~」

 霧咲妹がゆっくりと答えたが、そのしゃべり方はさっきの車両基地でのとはちょっと違うような気がした。

「霧咲兄妹は今皆さんが思った通り双子です」

 たしかに、性別の違いはあるが、髪型以外の顔のつくりなどはそっくりだ。


「それともう一つ、霧咲兄妹には五つ年の離れたやはり双子の兄弟がいました」

「いました?」

 言葉尻を取るようで悪かったがつい聞いてしまった。


「5年前の事故まではでいいですよね、隼人さん、夢乃さん」

「誰それ?」

 俺を始め皆が少しざわめいている。

「おいおい、そんな所まで調べてやがるのか。そうだよ、俺様が隼人だよ」

 さっき渉といわれていた男の子が言っている。


「こら、隼人!挨拶は丁寧に」

 その後、繰り出された右フックはまさしく車両基地で見た光景だ。

 その後の光景も。

「ごめんよ。夢乃姉さん」

 これもさっき見たような気がする。


「私、夢乃が少しお話をしてもよろしいでしょうか」

 こちらも先ほど かおり と呼ばれていた女の子が話している。

「私と隼人は5年前の事故ですでに死んでいます」

 衝撃発言をあっさりとしている。


「その状況は…天空時さんそこに資料がありますよね」

 かおり・・いや夢乃さんは天空時氏の持っている分厚いファイルを指さしている。

「さすがに冷静沈着ですね、確かにここにあの時の新聞がありますが本当に出してよろしいのですね」

 何が書いてあるかわからないが天空時氏も少し躊躇しているようだ。


「大丈夫ですよ、渉もかおりも私たちを受け入れたときから知っていますから」

 そう夢乃さんが言った後、すぐにかおりに戻って

「はい~それがないと説明が難しいです~」と言っている。

「では、出させていただきます」

 と言って天空時氏は古い新聞の切抜きを取り出した、その記事は


『恐山にて中学生の兄妹死亡 

 小学生の兄妹は奇跡的に自力で下山した後意識不明の重体、原因は有毒ガスか?』


「この時に本当は渉とかおりも死んでいたかもしれません、私たち2人がとっさに体に入って無理やり動かして下山させました、それ以来私たちは成仏できなくなってしまって2人で4人になってしまいました、めでたしめでたし」


「いや、めでたくないぞ」

 つい突っ込んでしまった。

「いえ、めでたいんです、かおりや渉が生きているんですから、生きてなければこうやって人と話をすることも出来ません」

「姉さん俺にも話をさせてくれよ」

 どうやら隼人も何か喋りたいようだ。

「実はさ、俺らのばっちゃん有名なイタコなんだ、きっとその力の名残で俺らここにいられるんだと思うぞ」

「隼人、あなたが喋るとややこしくなるから少し黙ってなさい」

 右ストレートがボディーに見事に決まって隼人は沈黙した。


「大変見苦しい所をお見せしました、隼人の言ったことに補足させていただきますと、祖母に当たり、親族の間では大婆様と呼ばれておりますハナ様は、私たちが遭難したときに無事を祈り最高呪術を使われました、その時にはすでに私たちは死んでいましたので、そのままこの世に保護された状態になってしまったようです」


「じゃあ、その大婆様がいなかったら…」

 心配になり聞いてみた。

「ここにはいなかったでしょう」

「それからおばあちゃん、仕事を辞めちゃったんだよね」

 この喋り方は渉君だろ。

「そうですが、山には時々行ってるようですよ」

「でもそれからの方が元気だよね」

「そうですね今年で90になりますが、今回もここに付いてこようとしていましたよ」


「さすがハナさん、相変わらずだな」

 急に首相が口を挟んできた。

「えっ、おばあちゃんを知っているの」

 渉君は興味津々で首相に聞いている。


「ああ、昔からの知り合いだ」

 その回答からどんな知り合いかは分からないが、つながりがあるのは間違いなさそうだ。


「よし分かったこいつらはいいぞ、次のを頼む」

「はい、かしこまりました」

 そう首相に言われ天空時氏は手に持っていた書類に目を落とした。


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