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遅れ

作者: 尚文産商堂
掲載日:2012/04/30

何が遅れているかは知らないが、突然そんな電話がかかってきた。

間違い電話でしょうと、最初は答えたが、何度もかかってくるうちに、何が遅れているのかが気になった。


「はい、もしもし」

「ああ、あんたかい。物が遅れてるよ。どうしたんだい」

いつもの女性の声だ。

「えっとですね、前々から申していますとおり、間違え電話です…」

「あら、いけないねえ。それじゃあ」

「あ、ちょっと待ってください」

「なんだい」

「何が遅れてるんですか、協力できるようなことなら、協力しますよ」

「本当かい、いやあ助かるね。じゃあ、明日、とある場所に来てくれな」

その場所は、家のすぐ裏の住所だ。

「わかりました」

簡単なバイト程度に考えて、翌日、俺はその場所へ向かった。


「こんにちは」

「あんた誰だい」

第一声はそんな感じだ。

「昨日間違い電話をいただいた者です」

それを聞いて、一気に態度を変える。

「本当かい、待ってたよ。さっそくで悪いけど、この場所にこのメモ通りに電話してくれるかい。電話はそこの使って頂戴ね」

「ええ、いいですよ」

今時珍しい黒電話の前にたどり着くと、ト書きも書かれたメモを見ながら、電話を掛ける。

「おう、お前か」

「えっと…そうです、私です」

「合言葉は」

「ある男のカフェラッテ」

「二人そろえばカフェデビュー。上等だ。ならまた物を送るからな」

それだけで電話は切れた。

ト書きにたどり着く前に切れてしまったので、俺は女性に聞いた。

「あの切れましたけど…」

「ああ、あの人はいつもあんな感じだから」

そういって次々と電話を掛けるように指示をされた。


翌々日、またおいでと言われていたので、俺はその日にまた尋ねてみた。

今度はなにか大きな段ボール箱が部屋の真ん中に置かれていた。

「いやあ、やっと着いたよ」

「これって、なんですか」

「ああ、まだ教えてなかったね」

段ボール箱を開けると、よくわからないボール状のものがたくさんあった。

「やっぱりわかんないです」

「まあ、いずれ知ることになるよ。予定通りとはいかなかったけど、これでどうにか始めることができるからね」

その笑みが示すところは、まったく俺には分からなかった。

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