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代替転生物語  作者: 兎人
3/3

第三話 自棄と書いてポジティヴと読む

タイトル通り。

むしとタイトル=俺です。

突っ込みどころ満載だが、指摘するなら優しくしてくれるとありがたい。

・・・別のも書こうかなぁ。

目の前に浮かぶキャラクターメイク画面。

・・・これは、アレだろうか。

よくアイツが言っていた、転生に伴い授けられる特殊能力とかいう奴なのだろうか?

おそらくきっとたぶん。そういうことなのだろう。

でも、コレのどこか特殊能力という奴なのだろうか。もしかすると、ええと、つまりコレで今度の自分を作成しろ、ということなのか?そういうことでよろしいのですかね?

「きゃむちま」

ぬ?神様、と呟いたつもりだったのだが、どうやら高校生の精神を以ってしても、赤ちゃんの舌足らずさは直らないらしい。

何だコレ、何の羞恥プレイだ!

誰にも見られていないというのに、俺が自分で見ているというだけなのにこの恥ずかしさ!!!

人が見ている場所では一体どれほどの辱めを受けることになるのだろうか。恐ろしい、恐ろしすぎる。

背筋に電流がはしるのを感じながら、ごくりと唾液を飲み込む。

それにしても、と頭の中の恐ろしい思考を一旦リセットして、目の前の鏡を見る。


そこに浮かび上がっているのは、座り込んだ俺と俺のステータス。


名前/ヤマイ・アガメディア

性別/女

種族/人間

職業/未定


お!種族と出るあたり、もしかして動物になったりする選択肢もあったりしたのだろうか。畜生道?アレか、前世の行いによって人間だったり動物だったりするのか。

・・・・・・ん、待てよ?

何か今見てはいけないものを見てしまった気がする。

目を少しの間瞬かせる。


名前/ヤマイ・アガメディア

性別/女

しゅぞ


ん?・・・アレ、目にゴミが入っちゃったかな?

落ち着こう一旦落ち着こう俺。

目は、正常か?目をごしごしと擦ろうとしたのだが、恐ろしいことに手が目まで届かない。な、なんて不便なんだこの赤ちゃんボディ。

そういえば赤ちゃんて体のバランスがいまいちだった気がする。頭が大きくて体が小さい、のか?

最後にもう一度だけ、確認する。


名前/ヤマイ・アガメディア

性別/女


・・・・・・。

無言で太ももをすり合せる。あるはずだ、そこにきっとあるはずだ。このボディでは極小なサイズとはいえ、見逃しようのないものが。

ふにふにとするものが、あるはずだ。

・・・・・・。・・・・・・。・・・・・・。

「ぬお」

死のう。無理だ。俺にこの状態で生きていないなど、俺は一体何をしたというんだ神よ!!

いや、確かに神死ねとか思ったことも多少なりともありますけどね、いやだからといってこんな仕打ちはないんじゃないのかな神様。


そうだ!こういう場合は神様が目の前に現れるはずだとアイツが言っていたはず。アレだ、きっと恥ずかしがり屋の神様なんですよね!

「でれこえきゃむちま(出て来い神様)」

さあ、さっさと俺を元の男の子に戻したまえ。あ、いややっぱ元よりももちっと美形にしてくれるとありがたい。

・・・・・・?アレ、出てこない。

「きゃむちゃー!」

・・・・・・。・・・・・・。・・・・・・。

反応がない。どうやら神様はいないらしい。

ふぁっく!!

死ね。神死ね。アイツと同じくらい死ね。一度でなく俺の平穏のために二度死ね。


「なー」

あーあ。俺はこれからおなごとして生きていくことになるのか。女子として生まれ女子として人生を謳歌し男に迫られ男とイチャイチャし男と結婚し男との間に子をなし、男とともに死ぬ破目になるのか。

ああ、まるで生き地獄。

もしかしてコレはあいつの罠ではなかろうか?

俺と男をイチャイチャさせたいがために、俺を暗殺し女子として生まれ変わらせた、なんて。

いや、さすがにアイツにそんなことは、できな、い。はずだ。

アレなんでだろ、自信を持って言えないだなんて・・・。


仕方ない、とにかく今は自分をメイキングするしか・・・て、そうじゃん!

俺自分をメイキングできるんじゃん、てことは男子とか女子も選べるし、顔だって美形にし放題のはずじゃあないか!

「うおー」

おお、さっそくテンション上がってまいりましたよ俺。

よし、じゃあさっそく俺製作を始めるとしますか!




***** ***** *****




絶望した、俺はこの世に絶望した。

そもそもこんな世界にどうして生きる価値があるというのだろう。もうこのまま、いっそ死んでしまった方が俺自身平和なのではないか、と思ってしまう。

何故だ、何故神は俺を生んだのだ、女子の、しかも顔やスタイルを弄ることのできない身で。


いや、それは至って普通のことなのだろうけど。

キャラクターメイクできるんだからてっきり容姿も思うがままと、一瞬でも勘違いしてしまった俺のバカヤロークソッタレ!!

コレか、神様はコレが見たかったのか。

絶望の淵に追いやられたいたいけな少年(元)が一筋の希望の道に縋り付こうとしたら、実はそれが蜃気楼で少年(現女子)が絶望の底へと落ちていく姿を!

哀れすぎるこの俺を今どこかで嘲笑しているというのかこのクソッタレファッキンゴッドめが!!!!

「ちね」

死ね。俺とともに死ね。世界の果てで共に息絶えようじゃないかそうすれば世界はきっと平和になるだろう俺バンザーイ俺を讃えよ。


ハッ、落ち着け俺。また何か、宙に猫が取り憑いてしまっていた。恐るべし、厨二。


おっと、いかんいかんこんなネガティヴ思考。

俺の研究によると、ネガティヴ思考こそが厨二病を呼び込んでしまう鍵なのである。ネガティヴエネルギーが厨二病に繋がる禁断の扉を解き放ち、厨二病がネガティヴエネルギーを生産する。

まさしく負の連鎖。

ここはポジティヴシンキングによって乗り越えるところだ。

「ほりれるぽりてる(ポジティヴポジティヴ)」

・・・そうではないか!

たとえ女子に生まれたからとはいえ、男と必ず結ばれる必要はない!独身で一生を過ごすことも可能であるし、世の中には女子が好きな女子というものも存在する。

生まれ変わるまで大嫌いだったけど、同性愛も悪くはないですね今ならお前が理解できる気がするよ柏木鈴音。

同性愛バンザーイ!

それに女子の体を持つということは、女の子の体を見放題というわけでもありますな、ふひっ!


ん、何か自分がやましい人間のような気がしてきて恥ずかしいな。

いやまあ、コレは男なら誰しも持つ性という奴ですからな。しかも俺健全な男子高校生だし。それだけでも免罪符になるだろう。


よし、絶望の希望に変わったところで、さっそくキャラクターメイクを始めるとしよう。


先程調べた結果、どうやら俺ができることはある程度限られているらしく。

容姿や名前、性別種族などは変えられない。

まあ、これはよく考えたら当然のことである。生まれ変わり目が覚めた時、目の前にいたあの二人は、俺の容姿を見る限り、というかそんなこと考えなくても俺の両親だろう。

と、すればこの三つの要素はもう既に変えられない事象として彼らが認識してしまっているだろうし、それらを改変することはおそらくできないのだろう。

まあ、コレには納得するしかない。

それにしても前世と名前が一緒だなんて不思議だ。しかも苗字、というかファミリーネームまで前と似ているところがある。

何か関係でもあるのだろうか?いや、今それを考えても俺の役には立たないだろうし放っておこう。


そしてできること。

キャラクターメイク画面をちょこちょこと弄った結果、できることは二つ。

少ないと言うなかれ。いや確かに俺もそう思ったけど・・・。

一つ目、それは職業の選択。

どうやら、まるっきりロールプレイングゲーム的要素があるらしく、有難いことに様々な職業が選択肢として上がっていた。

戦士に剣士、盗賊や魔術師などメジャーなものから、占星術師や人形師、果ては道化師などマイナーすぎるものまで。

生活に直接関わる、鍛冶師などが無いのが不思議というか、残念というか。


て、何っ!?

魔術師という職業があるということは、世界には魔術というものが本当に存在していたのか?!あ、いや。それとも俺はアイツが言っていたように異世界に転生してしまったのか?!

・・・・・・あのとき見た両親の髪や目の色って、漫画ではありそうでも現実では見たことがない、気がする。

といっても、俺生まれてこの方、外国に旅行に行ったこともないですけどね!


うーん、となると、魔物とかがいると予想した方がいいのか?

だったら魔術を使いたいという気持ちより、生き残るために強靭な肉体を求めた方がいいのだろうか?

誰か仲間になってくれるならいいが、仲間が作れず自分一人の状態で戦うとなると、魔術師系は辛いんじやなかろうか?

「あうー」

いやしかし、戦士や剣士となると自分の手の届く距離まで近づかなければいけないわけで・・・。だったら魔術師系統の方が安全かもしれない。

直接戦闘に関与するというよりは、後方支援のような形でした方が・・・。

あいや、でもなぁ。

「うー」

悩む。もの凄く悩むぞ、コレは。

これ時間制限ありで、時間が経ちすぎると勝手に決まったりしないよな、と画面を弄くり考えていると、見たこともない職業が目についた。


『呪禍士』


うむ、何か凄く悪役っぽい。

アレだろうか、呪いとかで相手を弱体化させる職業だろうか?だったら補佐だろうし、役には立たんか。と思いながら、とりあえず職業説明の欄を見てみる。


呪禍士カラミディザスター

あらゆる災厄や不幸を対象に叩き込む魔術師派生の亜種。呪術系。状態異常系の術や、トラップとして使用する設置型、果ては強大な災厄を引き起こす広範囲殲滅など、幅広く特殊な術を扱う。

しかし、その特異さからこの職の適性がある人間が少なく、また特性から忌み嫌われることも多い。特に幼少期は適性を上手く制御することができず、小規模ながらも不幸や災厄を招いてしまうこともあるため、追放されたり殺されることも多い。

ただこの術をきちんと扱うことができるのならば、それは味方にとって強大な戦力になることは間違いない』


ふむ。・・・なんか、思ったよりも強力そうな職業だな。

なかなかに魅力的だ、物騒な部分を除けばだが。


適性を上手く制御することができず、不幸や災厄を招いて殺される。


うええええええ。何それ怖い。

あれか、何事にも表と裏があるっつーことなのか!強力だけどその反面殺されちゃう不安も多々ありますよーってことか?!


うーむ。いやだがしかし、それを差し引いても魅力的だ。

相手を弱体化させることもできるし、トラップを設置できるし、強力な術を使うことができる。何より、その悪役っぽい名前がいいですね。

呪い系かー、イメージとしてはねっとりじとじと。

どっちかってーと殴ってさっぱり、な感じの俺には似合わないような気がするが。むしろ学校にいた地味な女子にこそ似合う気がする。

・・・・・・いややっぱ駄目だ。アイツらにこんな能力を持たせたら、ぼーいずでらぶらぶな呪いをかけられてしまいそうだ。

男相手にしか××しないような呪いとか。お、恐ろしすぎる。


うーむ、悩むな。

だが、思わず胸がときめいてしまい何かが、この職業にはある気がする。

何よりこれでアイツに地味な復讐ができるのではないか、という期待に溢れている。


箪笥の角に小指をぶつける呪いとか。

はたまた机の上の者が小指目掛けて落ちてくる呪いとか。


ふひ、ふひへへへへ。

いいかもしれないぞ、俺。

この職業はきっと世界を超越して奴に復讐する力を与えてくれるだろう。ただの勘だが、そんな気がしてやまない。


うーむ、よし。君に決めたぜ!!

「ちょうわーぽちーたな(というわけで、ポチッとな)」


そして二つ目。この体の基礎スペック。

『呪禍士』を選択した今、俺の体は魔術師系統に適性を持つように改造されている。つまり、物理に関する能力が失われ、代わりに魔術に関する能力が上昇したのだ。

また、『呪禍士』の特性により、幸運値は表示なし。つまり、今後いかなる手段をもってしても、幸運は上昇しない、らしい。

といっても不幸マイナスなわけでもないらしいのが、少し変なところだ。

災厄を操れるということは、自身に降りかかる不幸も操作して免れることができるから、ということなのか?

まあそんなことは今はどうだっていい。


そしてこれからが悩みどころである。

俺の現在のレベルは1。次のレベルまでに必要な経験値は10。どうやらこんなところまでゲームと同じらしい。

レベルが上がるごとに、もちろんステータスも上昇するのだが。

そのステータス欄の成長度合いを俺自身が選択することができるのだ。

割り振った数字が0のところは通常通り、成長する。

割り振った数字が1のところは通常より、2倍成長する。

割り振った数字が2のところは通常より、4倍成長する。

といった具合だ。


割り振れる数字は10。ステータス欄は幸運を除いて物理攻撃力・物理防御力・技力・体力・魔術攻撃力・魔術防御力・知力・魔力・俊敏性・技術力の十個。


攻撃力・防御力はそのまま物理や魔術に対する攻撃や防御。

技力・知力は技や術に対する理解力。これの数値が低いと使えない技・術があるらしい。

体力・魔力はこれは技・術の使用回数に関わる。

俊敏性はそのまま素早さや身軽さ。

技術力は道具使用の上手さ。


不思議なのは、体力=生命力ではなく、技の使用回数の関係であったことだが、よく考えると確かにそうだ。

体力がなくなったからって死ぬわけじゃないし、そもそも生命力を鍛えるのはなかなか大変だ。

どんなに頑丈な人間だって首を切られれば死ぬだろうし、逆に同じ所を刺されようと、鍛えてるうんぬんではなく、運次第で生死が決まる。


さて、どうしようか。

少し考えて、結局魔術関係に全て振ることにした。知力と魔力に3、魔術攻撃力と魔術防御力に2ずつ。

この際それ以外は捨てちゃっていいだろう。考えるの面倒だし。


『完了』


をポチッと押す。

何か眠いしもうどうでもいいかなぁ、と小さく欠伸をして、ぼんやりとしていた思考を瞼とともに閉ざした。

最初は割り振りで2にしたら2乗にするつもりだったんだが、よく考えたらそれだとありえんくらいの数値になっちゃいそうな予感がしたのでやめてみた。


ら、そもそもレベルが上がるごとに通常ならどのくらいステータス上昇すんだろ、と思ってしまった。

うーむ、難しい。

まあそこらへんは適当に流してくれれば、幸いです。

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