第一話 優しくしてねは魔法の言葉
初投稿。心の臓が爆々。
書いててどうやら自分にはギャグは向いていないらしいと再確認。
とりあえず自己満足のための駄文。
ほんのりとボーイズなエッセンスなるものが効いておりますので注意!
内容は(作者に)ご都合ぎみです注意!
―――――殺そう、帰れたら絶対殺そう
そう、俺は決意を固めていた。
え?何を殺すかって?
んなもん決まってるじゃあねェか、この状況を作りやがったあのクソッタレだよ、バーロー。
俺の目の前には、日本でも終ぞ見かけたことが無いくらいに綺麗な漆黒をした髪とこれまた見たこともない紫色の瞳をした女性と、金属のような鈍さを感じる赤の髪と同じ色の瞳を持つ男性がいた。
正直、人間としてこんな色があっていいのかあのクソッタレが好きなアニメとかそんなんでしか居ちゃだめなんじゃねェかコレ、と思う。
ものの、そんな風に思うのは、何となく罪悪感を感じるくらいコイツらは俺を見て喜んでいる。
「ママって呼んだわ、この子!!やった、私の勝ちよ!!!」
「な、なん・・だと・・・。アレだけ毎日まるで洗脳するかのようにパパと一時間言い聞かせたのに・・・」
「やっぱりそんなものより母の愛なのよねぇ」
「べ、別に落ち込んでなんかないぞ。俺はママより先にヤマイの初チューを、も、もらったんだからな」
・・・・・・非常にコメントしがたい。
なんか、なるほどこれがカオスという奴なのだろうか。いや、違うか。
まあそこらへんはあのクソッタレほど詳しくない俺であるが、この状況には覚えがある。
ああそうさ、アイツがいっつも隣に居て俺が今遭遇している奇怪現象について詳しく話していたからな!アレだけ言われれば勝手に脳が覚えるわッ!!!
目の前にいる男性の洗脳うんぬんも本当であれば大概だが、ヤツのソッチ系統の話もある種の洗脳術のようだったのかもしれない。恐ろしい。
とにかく、状況を整理しなくてはいけない。よし、まず一から思い出していこうじゃねェか。
***** ***** *****
「転生したああああい」
ため息を洩らすが如く、背伸びをして眠気を振り払うように、見た目だけは良い女が言った。
その姿は間抜けなものだったが、それでも美少女度は失われない。・・・こいつに美をつけるなんて酷く癇に障るが。
「あ、ヤマイくーん!!!」
激しく無視したい。激しく。
しかし無視するとこいつは俺のないことないことを大声で叫ぶので一応、反応することにした。
「ん」
「あーん、冷たいじゃん。どったの、もしかして彼氏に振られた?」
ダダダダダ、と学校へ向かう道を逆走する疫病神は少しも息を切らすこともせずに俺のところまで来て、少し屈みながら下から俺を見上げる。
アレだ、アニメのヒロインとかがしそうな、大げさな上目遣い。下から覗き込むな、鳥肌が立つだろが!
その動作がいやに様になってるのが異常にムカつくのは俺だけではない、と信じたい、が。・・・信じ。たい、が。
素早く視線をはしらせると、顔を赤くした男子生徒がひーふーみー・・・数えるのやーめた。どうやらスカートの中が見えそうでヤキモキしているらしい。
こんなヤツのパンツなんか見て何になるんだか、これで欲情できるヤツの気が知れん。
っと、コイツの言葉を否定するのを忘れていた。
「俺にそんな趣味はない。そして俺はこの世に生れ落ち呼吸をし出したそのときからお前に温かく接した覚えはない」
すたすたすた。
ヤツの隣を通り抜けようとするが、
「お前だなんて。私のことはリンネちゃんって呼んで?」
さっさっさっ。
スキップするように軽やかに目の前に現れるクソッタレ。
その拍子に前の方で振り返っていた男子生徒が尋常じゃないくらいに顔を赤くした。
見えたらしい、その年でお前はどんだけ純情なんだ。エロ本見たことないのか?
思わず心配になったものの、見たことも無い男子生徒だったのでどうでもいいかと思考放棄。まあたとえ知り合いだったとしてもどうでもいいが。
まあたぶん、本とかパソコンとかテレビの向こうの激エロよりも、現実の、目の前のちょいエロということだろう。
いやむしろ俺はコレのどこにエロさがあるのかと問いたいが。
「何だ何か用か?」
「何よ何か用よ文句ある?」
「何だ何の用だ文句あるどっか行け」
「何よなん・・・・・・負けた」
どうやら後に続く言葉が思い浮かばなかったらしい。俺の勝ちだ。
て、何の勝負してんだ俺。コイツのペースに乗せられてはいけない。平常心だ平常心。
すーはーすーはー。
よし、こういう手合いは無視するに限ると相場が決まっているではないか。そうだ、無視だ。そうすれば奴の方から離れていくはずだ。と、歩き出す俺に。
当然の如く、まるでカルガモの親子のようについてくるクソ以下略。あ、略したのに長くなった。
お前は背後霊かッ、と突っ込みたくなるのを我慢しながら無視して歩いていると、何故かこちらの様子を背後から窺っていたらしい彼奴が俺の隣に並んだ。
にへら顔である。
「んっふふー」
ついでに声付き。激しくいらん。
無視だ無視。
そう心の中で呟きながら歩いていると、
「ねえダーリン、あたし今度ナースさんのコスプレでしたいなぁ。この前は制服でしたけど後始末が大変だったし、いいでしょ?」
俺の腕に絡み付いてくる奴の腕。熱っぽい声が聞こえたのか、若干前かがみになりつつ鼻をしきりに気にしている男子生徒。
ビキビキッ、怒りマーク。
言葉にせずとも分かるだろ。そんな感じ。
落ち着け俺。平常心平常心。
ここで怒ってしまえば奴の思う壺ではないか。我慢だ我慢。ザ・究極我慢キング決定戦みたいなノリで。
「あたしに突き刺して、センセイの猛り狂ったお注射」
言わせねーよ。あ、すんませんもう古いですかこれ。
てか、アリですか?アリなんですかここ。下ネタありですか?
というよりむしろお前のちょっと前に歩いてるだろ、猛り狂っちゃった馬鹿。可哀想に 涙目になっちゃって、いろんなものが滴ってますよ。たぶん学校着いたら即行でトイレに向かうんでしょうね。
まあそんなことはともかく、ソッチ系に走るんだったらそいつでも相手にしてればどうでしょう。
てか猛り狂ってますけどね俺も、いやね精神的にね。爆発しちゃいそうですよむしろぶちまけて良いですか?え、俺も下ネタ?知るかよ俺の言ってるのはストレスについてだ!
いや、まだできるだろ俺。俺はやればできる。無視だ。ここさえ耐えれば俺はこの地獄から解放されるのだから。
「ダーリンいつも激しいんだもん。今度は優しくしてね」
ブチッ
はい分かりますよね。うん、これ無理っしょ(笑)
これ凌ぐのかの有名な慈悲深きイエス様でも無理だと思いますよ俺。これ言われたら左右の頬打つだろ。連続ビンタだろ。むしろぶち殺せとお告げなさいますよイエス様。
そもそも、である。
『優しくしてね』
これは神聖なる言葉なのである。
初めてのことをするときは、誰でもナーバスになってしまうもの。お互いに緊張しあってぎこちないときに、彼女がそっとか細い声で囁くのだ。
『優しく、してね』と。
そのとき男は、ブチッと理性の糸が切れて野獣と化し、女はそれを優しく受け止める聖母となる。
そう、これは男と女が本能に覚醒するための魔法の言葉。
・・・・・・いや、ね。
確かにね。ブチッときちゃいましたよ。うん、理性の糸もぷっつんしましたね、うん。
でもね、俺がこれを経験するとき。それは俺が生まれて初めて女性の柔らかさや肌の匂いを知るときなのであって。
決して、コヤツの頭の硬さや血の匂いを知るときではないはずなのである。
「死・に・さ・ら・せ」
ゴチン。おー、いい音。握り締めた拳が痛いぜコノヤロー!!!!!
***** ***** *****
「もー酷い。あそこまですることないでしょー」
「俺の純潔を汚した貴様が悪い。大人しく死んどけや」
「やーん。おーかーさーれーるー」
「むしろ俺が貴様のクソッタレな脳みそに侵されるわッ!」
略して、くそみそ。や、ウソウソウソ。そんな引かないで。
「白石くーん、助けてええええ」
すぐ近くにいた例の発情男に抱きつくクソっタレ。
「えっ、えええ」
当然の如く顔を赤くしている。見れば見るほど初心ですね、童貞くん。ああいや俺もですけどね。仲間仲間。
愛い奴じゃ、とは思わん。男は守備範囲にない!!
ん?ネットユーザでもない俺が何でくそみそを知ってるかって?あ、いやっ、それはだな・・・・・・違いますよ、違いますからね。言っときますけど女の子大好きですから俺。
まあほら、アレだよアレ。クソッタレが言うところの黒歴史という奴である まる
いやもちろんアッーな体験をしたわけじゃねェよ。断じて違う。そんなノンケが中学時代に部活の先輩に無理やり「やめてくださいっスよせんぱぁい(涙目」なことをされてソッチに目覚めちゃうような話そこら辺に転がってたら大変ですからっっっ。
・・・お、おけつち俺。ん、おケツ血?ちげっ、おちつけ俺。深呼吸平常心。
俺が焦るたびになんか墓穴掘ってると勘違いされたらたまらねェからな・・・。いやですから掘ったり掘られたりしてねェですってェー、先輩(泣)
・・・・・ハッ、何か今取り憑いてた。
これがアイツのいう憑依モノという奴なのか、恐るべし。
ちなみにここまでの思考で二秒、だったりはしない。そんな特殊スキル持ってないですからね。
そのため放っておかれた二人はどこか困り果てた様子である。
「えっと、突っ込まないの?」
「・・・俺、白石違くて、田辺です」
さりげなく訂正する白石。じゃなくて田辺。どうやらホ(濁音)ッキは治まったようである。良かったね。
「ん、ああ。えと、んとー、ごめん。どこに突っ込めばいいかよく分からんくなった」
「・・・・白石くーん、助けてええええええ」
「ええっ」
「んだと!」
まさかの仕切りなおし。
よもや現実にこの伝説の奥義を使う人間がおったとは思わなんだ。
とりあえず、ヤツにここまでさせたのだ。俺が乗ってやらねば。
「あー・・・しっ、白石くん誰やっ!!」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
じとっとした目で俺を見てくる二人。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・ん、あれ?な、何か凄く恥ずかしいぞ俺。あれ、何だコレ。
「んがあああああああああ」
思わず体を掻き毟ってしまう程の羞恥が俺を襲う。何だこれ、さっきまで当然のようにできていたであろうことが突然できなくなる、だと・・・!!
どうしたんだ俺。できるはずじゃなかったのか俺。
これが仕切りなおしの効果および副作用なのか。なんて、諸刃の剣。とてもじゃないが俺みたいなのには使いこなせない。仕切りなおし、恐ろしい技。
「まいいや。おふざけはここまでにして本題に入るべく、じゃあね白金くん」
「ああ、いや白石じゃ・・・あ、白金じゃなくて、田辺です」
呟くしr、田辺。これを機に名前を覚えてもらってお近づきになろうとでも思ったんだろうが、甘い。甘いぞしらい・・・田辺。
コイツとお近づきになんてなってもみろ、あーんなことやこーんなことの妄想に使われて背筋に寒気を感じながら日常を過ごすことになるんだぞ。
それどころか、よく奴と話している、地味めな女子がニヤニヤしながらこっちを窺い話すんだぞ。耳を澄ませば「ウケ」だの「ニョウドウゼメ」だの「ゼンリツセン」だの意味不明だ。
俺は声を大にして言いたいね。
「ウケ」って何だ?女子とかが使うマジウケるーって意味かコラ。
「ニョウドウゼメ」?それはアレか、兵糧攻めとかそーゆーのか?
「ゼンリツセン」?俺はお前らに戦慄せんとしてるんすけど何か?
そんな意味のわからない、しかし明らかに教育に悪いと思われる単語が聞こえてくるんだぞ。
それだけじゃ飽き足らず、クラスメイトや先生と俺が掛け算されたときはさすがの俺も耐えることができずにその場を離脱したが・・・。
げに恐ろしきは腐的な女子である。
怖ェ。
ともかく。
そもそも声を掛けられたことにすら気づかずさっさと歩いてってるヤツに対して近づくのは無理っぽいと思う。無念、しらっじゃなくて田辺。・・・・・・もう白石に改名すれば、白石。
よし。
まあそんなことはどうでもよく、しかしヤツを追い払ってくれたことには感謝しよう白石。お前のことは昼飯時まで忘れないよ。
達者でな、と俺はこっそりとそのまま曲がって普段通る道の一個隣を行こうとしたのだが。
「すぅ、崇月夜埋くんは実は――――!!」
「スマンッ。ご一緒させてください」
突如として叫びだしたヤツに被せるようにして大声を出す。
経験からして知っている。
後に続くのはおそらく、『ゲイで年上の彼氏と昨日はお外で〝バキューン〟なことをしたそうです』か『ゲイでクラスメイトみんなに〝まわるーまーわるーよ世界ーはまわるー〟なことをされるのが夢だそうです』とか戯言をほざきやがるのだ。ケっ、クソッタレが!死ね、一遍どころか二度死ね!!
俺の学校生活、どころかこの町での営みを守るためには、これしかないのだ。
これは苦行、我慢せい俺。さすればきっと、いつかはおそらく救われるに違いない・・・・・・と、俺は信じて、いたい。まだ、諦めるには早すぎるんだ!!ぐすんっ。
あーあ、早く死なないかなぁコイツ(遠い目)
赤ちゃんていつごろ話すのだろうか?
赤ちゃんて目が見えるようになるのはいつごろだろうか?
・・・そこらへんは(作者に対する)ご都合主義。
そして変なところで切ってすいません。長く書こうとすると、自分の首を絞めかねないので。
次回ようやく(といっていいものか?)転生する経緯が明かされる、予定。
・・・書くたびにキャラを変えてしまいそうで怖いなぁ(とぼとぼ




