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食料生産は産業か

作者: 暇庭宅男
掲載日:2026/09/26

農林水産業、と名がつくだけあって、たいていの人はシンプルに農業もまた産業であると思っていることだろうと思う。

産業であるからには農家とは自ら考えて工夫し努力して利益を出すべきであり、現在の補助金ありきの食料生産が農家の怠慢を誘発させて食料生産の効率を下げている……とか何とかという話も、実は結構経済に詳しい人からよく聞く。そんなの聞いたことないよという方は幸運だ。少なくとも私の周りでは、1度くらいそういう声を聞いたという人は多い。我々農家は幸か不幸か、そういう厳しい声からはマスメディアの手で日々守られている。


そして流れ的に当然と言うか、食料生産は産業であると同時に社会保障とか福祉の枠に入ってる部分があるから不服なのもわかるが堪えてくれまいか?こっちが生活できなくなっちゃうよ。というのが私も含む百姓のだいたいの総意である。

ずるいって?……うん。そうだね。企業勤めでしんどい思いして、その上給料の三分の一差っ引かれてそのうちの一部が、仕事の出来とは関係なく百姓の手に渡る(それこそ減収とかのマイナスの補てんに回る分まであるからね)と思えば、不公平感があるのも分からないではない。というかそういう方はぜひ新規就農して美(・)味(・)し(・)い(・)思(・)い(・)をしてみることをお勧めする。せっかく国が毎年途切れず2兆円もブチ込んでくださる農業政策である。使わない手はあるまい。尤も、補助金目当てにライフハック的に就農した方々のほとんどは、個人でやっている限り思ったほどホクホクしてなさそうである。まあそんなもんさ。やってみれば思ったほど楽じゃないのは大概の仕事に当てはまるものである。


……なんか脱線してる気がする。本題へ戻ろう。


農業とは産業でありながら社会保障でもあるんだぜ!という意見。これを通したいなら、クリアすべき条件はあるはずだと私は思う。

すなわち、国民は例外なく、日々の食料品(たばことかの嗜好品、超高級フルーツみたいなぜいたく品はだめよ?)を、財布と相談せずとも購入することができるという状態、そしてそれを維持すること。そこの部分がやっぱり今半端になっていると、私はそう思えてならない。

半端と言うのは、補助金を出すなら出すで、市場価格は下げろよということ。市場原理からきっぱり離れて、儲けにならないけど皆の生活に必須だから。というところで、赤字部分をしっかり補てんして代わりに誰でも価格に悩まずに買える農産物は増やすべきである。なぜコメに補助金が出ているのに去年のような米騒動が起きるのか。産業として半端に補助金を出しながらも赤字補てんに引け腰だからだ。公共の福祉とは、やるならやるで赤字でも突っ走らねばならない。

買い取り価格と末端価格を数字を並べて比べたり、貯蔵米を放出したりするのは、パフォーマンスとしてはとても派手で見目がよい。だが根本の解決からは残念ながら逸れている。作るコストと消費者の購買力の不均衡は、赤字をのんでも体制側が負担せねばならないのだ。この意見は今後よほど何か新しいことを学ばない限り私は変えるつもりはない。メシと医者と学校は大赤字を大前提でやってもらわねばあっという間に日常の底が抜ける。


何のための補助金か、何のための公費投入か?それは国民皆が、富めるも貧しきも、ひとまずちゃんとしたものは食えますよ。という状態を作るため、すなわち最低限の社会保障のためであるべきだ。百姓を手厚く保護しろなどとがめついことは言うつもりはない。ただ、半端をやらないでほしいのだ。資本主義の国でこれを言うのはもしかしたら良くないのかもしれないが、メシくらい何も悩まず食べれる国にしようよ。ね。

毎年秋になると食料生産、食料供給についてのいろいろを考える。なににつけても電卓を叩くのは資本主義国家の宿命ではあるのだが、生命維持と秩序平和維持のための政策について利益度外視は大事なんじゃねーの?というのが私の意見だ。異論歓迎。めんどうでなければコメントいただきたい。

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