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一人百物語

生き霊2

作者: 犬猫夜行
掲載日:2026/07/20


「生き霊」と同じ現場での話。

その現場でトイレに入っていて、個室から出たら

ドアのすぐ外に若い女性が立っていた。


「わっ?!」


と、目の前にいきなり人がいたものだから驚いたら

女性の姿は消えていた。

それに

(ああ、また生き霊さんなんだ。ホント多いな、ここは)

と思っていたら。


数日後、現場の廊下でその女性とすれ違った。

(あれ?)

と振り返ってみると、その姿は今度は生き霊ではなく本当の生きている方の“実体"だった。

生き霊を見るのはよくあるが、その“実体"の方も見るのは初めてだった。


この現場においては他にも、

視界の端に黒い影が走ってゆくのを何度か見たり、

各階奥のフロアの同じ場所にあたるところに、毎年きちんと替えられているらしい、やたらと大きくて立派な御札らしきものが貼ってあったり、と。

妙な事が色々とあり、どうやらその現場の場所は、妙なものを引き寄せる“力場"になっている様だった。

実際、その現場のビルからひとつおいて隣には、お寺があった。

高層インテリジェントビルが建ち並ぶ谷間に、まさにぽつんと。

寺や神社が建つのは、たいがいその場所に建てないといけない理由があったからで、やはりそのあたりは何かいわくのある場所だったのかもしれない。

しばらく後に私はその現場での契約が終わり、以降そのビルには行っていないが、そのビルは今でもある。

後で聞いた話によれば、そのビルに入っていた某大手企業は作業場所を他に変えたとかで、そのビルから引っ越したらしい。

あのビルにいた生き霊たちも“実体"と一緒に引っ越したのであれば良いが、そうでない場合は

今もあのビルにいる……のだろうか。


しかも考えてみれば

私自身その現場での仕事が忙しい時、その現場で仕事をしている“夢"を何度か見ていたので、私の生き霊も、もしかすれば……



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