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この作品には 〔ガールズラブ要素〕〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

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男装少女の地獄生活シリーズ

男装少女の地獄生活4

登場人物紹介

・ルイ アルマーノ

レベル668。母親を幼くしてなくし、父親は女であるから弱くあるという思考を捨てさせるため、男のように一人称から服装まで物語のようにしている。

戦闘技術は全てメイドが教え込んだ賜物である。


・ユー アジダハーカ

 闇属性の竜の末裔にして人間界から追放されし種族。ドラゴンの姿でダンジョン近くの王国の兵士に殺されそうになっているところをハイクス配下の当時のメイド長に助けられた。竜の姿でも擬人化した姿でもどちらの形態での戦闘にも長けている。

闇魔法、破滅魔法、煉獄魔法、悪魔属性、巨竜化を完全習得している。また短距離の転移を最近習得した。レベルは911

未だにリラが操られていることに動揺を隠せない。


・エレノア リリス

 雷や高速詠唱魔法を得意とし、幼いころから城で使えていた代々メイドの家系。専属はついていないが、主任として別荘内のメイドを統括している。

 今回のリラの死に疑問を持っている。あえて言わないようにしているが、元老会の方針を正しいとは思わないが、大王の姿勢も今おかしいと思っている。

大王は娘に告げる。

「ルイよ…貴様の専属メイドがこの階層に向けてならず者を案内していると報告があった」

 ルイは大きなショックを受けつつも冷静にいようと試みた。

「大王様…いえ、父上何かの間違いではないのですか…?」

「私もそう願いたい。しかし報告が上がったのは事実だ。現在38階層まで来ている。お前にはこの後始末を任せる…専属メイドを手にかけるのは気が引けると思うが…」

「やらせてください…せめて最後だけでも僕が」

 王座の魔を後にする少女の肩はとても重かった。まさかそんなはずはない…大王様に忠誠を誓い第一皇女の専属メイドがそんなことをするはずないし、したとしたら付き添いのメイドが始末しているはずだ。

「でも…ユーの強さなら随伴メイドを…殺害できないわけじゃない…」

 彼女と日々訓練しているからこそわかる彼女の強さ、そして弱さ………腰は重いがならず者をこれ以上野放しにできないため、40層の墓の間で迎え撃つことにして羽を広げ、一気に飛び上がった。


 40層墓の間、数々のネームドメイドや従者の墓があるここにてルイは空から監視していた。遠くでは先頭の轟音が聞こえ、徐々にこちらに向かってきており、その姿はまもなく見えた。間違いない…ユーである。相当のショックを受けたが使命は果たさねばならないので、飛んでいる高度を下げ、ならず者たちが見える位置に移動した。

「あん? なぁんだてめぇ」

「あんたらが今連れてるメイドの主人。それ以外の情報はあげない。ここであんたらをぶっ飛ばす」

「そ、その声は…お嬢様」

 はっとする。ユーは意識があるようだ。すぐさま魔眼で観察する。彼女は戦闘で傷を負い、ボロボロだが、何か糸のようなものが見える。物理的なものではなく魔法、禁呪に相当する何かであるとすぐに判別した。そして、ならず者の中に一人、怪しげな球を持ってブツブツ呟いている老人がいる。あいつが主犯で間違いないだろう。

「あんたらはここでおしまい、そのメイドも、あんた達もまとめて僕が倒す」

「…あいつ男じゃねえのか、生け捕りにしてヤっちまうのもありだな!」

 何やら盛り上がっているが刹那ルイはユーに殴り掛かった。音速を超えた速さで飛んだためユーが受け止めた周りにクレーターができる。そのまま彼女はバックステップで距離をとった。ユーはそれを追いかけるも、それは自分の意志ではなく、まるで操り糸で吊られているかのようだった。

 ならず者から十分離れた位置でルイは再び攻撃を再開する。その間にもユーに説明を聞く。

「なにがあったの、付き添いのメイドは?!」

「禁呪で縛られた私が倒してしまいました。ただし死体を利用されないために必死に抵抗して火葬に成功しています」

「それで操られるのは肉体だけなの?」

「はい、その通りです…お嬢様、私を…殺してください…」

 一番想像したくなかった言葉が飛び出す。でも返しはもう決まっていた。

「そんなことさせない。あいつらのとこに戻るよ」

 再びならず者の前にルイが殴られ吹き飛ぶ形で姿を見せ、彼らは歓声を上げる。


「ふぅー! そいつは生け捕りだからなぁ! 主人が侵される様を見せつけてやるぜぇ!!」

 下品な言葉をユーに投げかける。

「下種が…」

 そうつぶやくが意志とは逆に体はひたすらに攻撃を続ける。と、ルイがならず者の上に飛び上がった。操り元の老人がオーブを掲げ、ユーも上空へと一気に飛び上がり殴りにかかる。

「お嬢様…!?」

 なんと無抵抗で殴りを受けた。顔面にクリーンヒットし、苦悶の表情を浮かべた自分の主人を見て胸が痛くなる。と、その殴られながらの状況でなんと手を回しルイが抱き着いた。

「お嬢様…」

「大丈夫、二人で帰ろ?」

 体は逃げようと暴れるがルイの力すさまじく、とても抜け出せない。そしていつもお世話している彼女だけ気が付いた。見たことない琥珀色のルーンがルイの首から、胸元にかかっていたことを。そのルーンは光り輝き………次の瞬間球状に半径2キロを焼け野原にした。

「ルイよ、よくやってくれた。ならず者の中には元老会が派遣した魔族がいたようだ………これは次の議会で詰める。が、しかしだ。ユー…お前の専属メイドは少なくとも反逆罪だ。あす裁判が開かれるがお前はどう処遇したい」

 ルイの心はもちろん決まっている。

「大王様、彼女は操られていて抵抗は不可能だと私から提言できます。なので明日の彼女の弁護をさせてください」

「…はぁ、そういうとは思っていたぞ。まぁよい、皆を納得させれればわしも今回のことは把握しておる。だが証拠が必要じゃ、しっかり準備しなさい」

「はい、ありがとうございます。父上」


 監獄へ足を踏み入れ、ユーが収監されている独房まで行く。

「ユー、平気?」

「お嬢様…」

 あの時のルーンは自らを中心に火炎球を発生させる呪文が込められており、呪文の詠唱者の近くは影響を受けない。そのためあのような大胆な行動に出たのだ。

「私は…きっと死罪でしょう、仲間の死体を損壊し、仲間を焼き尽くした…罪状としては十二分です」

 ユーはもう涙も枯れてしまったのか、どこか上の空でいる。ルイは独房の窓から大声で鼓舞する。

「明日の裁判! 私が弁護で出るから! 絶対死なせたりなんかしない!」

 ルイをこれ以上は涙が抑えきれないので走って自室へ戻ってゆく、メイドはまだ上の空だったがしばらくした後、彼女の言っていた言葉が自分の裁判のことだと気が付いた。



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