第三章 「死闘」
高校二年生の神谷蓮は、アニメとゲームが大好きな、顔はイケメンだが無自覚な普通の少年だった。
そんな彼の願いは、ただ一つ――「異世界に行けたら面白そう」。
ある朝、いつものホームルーム中、クラス全員が眩い光に包まれた。
気づけば、教室は消え、目の前には女神と、知らない世界が広がっていた――。
ここは現実だ。ゲームじゃない。
そして、彼らの目的は「魔王討伐」。
戦闘スキルは派手な魔法や剣技ばかり。しかし、蓮のスキルは地味すぎる――。
「でも、俺は……生き残る術を知っている」
こうして、雑魚扱いされる少年の、単独サバイバルと異世界攻略が始まった――。
森の奥、ひときわ冷たい空気が漂うエリア。
俺は【サーチアイ】で何度も探知を繰り返しながら慎重に進んでいた。
「……いるな。大型反応」
現れたのは、狼の胴体に蛇の尾を持つ異形――【ウルフサーパント】。
体長は三メートルを超え、黄色い目が俺を捕らえる。
「……ソロでやる相手じゃねぇな」
額に汗がにじむ。だが逃げれば、結局またここに戻ることになる。
一人で生きると決めた以上、ここで退くわけにはいかない。
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牙が閃き、爪が襲い掛かる。
俺は二刀の短剣で受け流し、紙一重でかわす。
【鑑定眼】で表示される情報が、脳裏に浮かぶ
•種族:ウルフサーパント
・弱点:蛇尾の関節部分、目
•注意:内臓に強力な毒あり
「……なるほど、弱点はそこか」
尾のしなりを見切り、一瞬の隙を突いて短剣を突き刺す。
獣が咆哮し、体を大きくうねらせる。
まともに食らえば一撃で終わり――そんな緊張感の中で、俺は何度も斬りつけた。
やがて、両目を狙った一撃が決まり、巨体は地面に崩れ落ちた。
「……はぁ、はぁ……やっと、倒せた……」
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巨体を前に、俺は息を整えた。
鑑定眼が淡く光り、詳細が浮かぶ。
【ウルフサーパントの肉:食用可。ただし内臓に猛毒。要解体処理】
「毒……か。つまり丁寧に解体すれば、食える」
短剣で腹を裂き、毒のある臓器を切り離す。
腐臭のような匂いが広がるが、肉の部分は赤く締まって美しい。
焚き火を起こし、慎重に焼いてみる。
「……!」
口にした瞬間、驚きが走った。
スライムの時とは違い、しっかりと旨味がある。
肉汁の一滴一滴が、体に染み渡るようだった。
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次の瞬間、胸の奥が熱を帯びた。
システムメッセージのように文字が浮かぶ。
【ウルフサーパントの恩恵を獲得:攻撃力+5】
「……ステータスが上がった……!」
震える手で短剣を握ると、さっきよりも力強く感じる。
「これが……鑑定眼で見抜いた“食べられる魔物”の恩恵か」
不遇スキルと笑われた俺だけの、生存と成長の手段。
それを実感した瞬間だった。
焚き火の前で肉を噛みしめながら、俺は小さく呟いた。
「――これなら、魔王討伐だって、夢じゃない」
異世界での孤独なサバイバルは、確実に俺を強くしていた。
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一気投稿させてもらってます、すみません、昨日投稿したかったんですけど色々あって、次は明日くらいに投稿します!




