第二章 「犠牲の血」
高校二年生の神谷蓮は、アニメとゲームが大好きな、顔はイケメンだが無自覚な普通の少年だった。
そんな彼の願いは、ただ一つ――「異世界に行けたら面白そう」。
ある朝、いつものホームルーム中、クラス全員が眩い光に包まれた。
気づけば、教室は消え、目の前には女神と、知らない世界が広がっていた――。
ここは現実だ。ゲームじゃない。
そして、彼らの目的は「魔王討伐」。
戦闘スキルは派手な魔法や剣技ばかり。しかし、蓮のスキルは地味すぎる――。
「でも、俺は……生き残る術を知っている」
こうして、雑魚扱いされる少年の、単独サバイバルと異世界攻略が始まった――。
眩い光に包まれてから数時間後、俺たちは女神に案内されるまま最初のダンジョンに足を踏み入れていた。
石造りの冷たい空気、薄暗い通路。
「うおお!これぞ異世界ダンジョンってやつだな!」
先頭を歩くのはクラスの中心、リーダー格の桐生隼人。その周りを固めるのは彼の取り巻きたちだ。
「俺のスキル、火炎斬りだぜ!余裕で魔物倒せる!」
「俺なんか雷魔法!最強すぎる!」
そんな声ばかりが響き渡り、教室と変わらぬ浮かれた空気が広がる。
一方で、俺のスキルは「サーチアイ」と「鑑定眼」。
派手さゼロ、戦闘スキルもなし。雑魚扱いは当然だった。
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ダンジョンの奥で出会ったのは狼型の魔物。
隼人が「俺に任せろ!」と突撃し、取り巻きたちも大声をあげて続いた。
だが――。
「ぐあっ……!?」
ひとり、取り巻きの中川拓真が狼の牙に噛み砕かれ、そのまま血に沈んだ。
時間が止まったようだった。
クラス全員の顔から笑みが消える。
「おい……なんでだよ……。ゲームみたいに復活しねぇのかよ……」
「先生、回復魔法! ……ないのかよ!」
現実は非情だった。死んだ人間は戻らない。
俺は深く息を吐いた。
「……いい加減、目を覚ませよ。これはゲームじゃねぇ。ここは、現実だ」
その言葉を残し、俺は集団から背を向けた。
――俺は俺のやり方で、生き残る。
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一人森を進んでいると、ぷるぷると震える透明の塊――スライムが現れた。
「……初戦闘か」
短剣を逆手に構え、二本を握る。元々剣道ではなく格ゲー好きが高じて独学した二刀流スタイル。
スライムは弱い。けれど、力任せでは斬りにくい。
だが「鑑定眼」で弱点を見抜けば簡単だった。
「核を潰せばいい、か」
二刀で挟み込むように突き刺し、核を砕く。
ぐしゃりとスライムは弾け、半透明の塊を残した。
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「食えるかどうか……」
鑑定眼の文字が浮かぶ。
【スライムゼリー:適切に調理すれば食用可】
火を起こし、持っていた鍋で煮てみる。
匂いは独特だが、何とか食えそうだ。
恐る恐る口に運ぶと――。
「……不味い。でも……食えなくはないな」
それが、俺の異世界サバイバルの第一歩だった。
雑魚扱いされた俺にしかできない“生き残り方”。
その答えを、確かに掴んだ気がした。
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見てくれてありがとう!なろう書くの楽しぃ!




