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何もおかしくない、はずの1日

第一章:「何もおかしくない、はずの一日」

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登場人物紹介


一之瀬 かずま(いちのせ かずま)

本作の主人公。高校二年生。穏やかでやや冷めた目線を持つ観察タイプ。

ふたりの友人とつるみながら、どこか日常に違和感を感じるようになる。


藤崎 ゆうた(ふじさき ゆうた)

かずまの親友。明るく快活でお調子者。ノリは軽いが、勘が鋭く、かずまとの信頼関係は深い。

緊張した空気を和らげるムードメーカー。


篠原 れいな(しのはら れいな)

クラスメイトの少女で、かずま、ゆうたと仲が良い。理知的で冷静、だが笑顔が似合うタイプ。

現実的思考だが、不思議なことに対して否定せず受け入れる柔軟性を持つ。



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四月。新学期が始まり、桜の花びらが風に揺れていた。


窓際の席に座るかずまは、鞄から教科書を出す手を止め、何とはなしに空を見上げる。

穏やかな春の青空。白い雲がゆっくりと流れていた。


「おーい、かずまー!ぼーっとしてんじゃねぇよ、もうすぐ朝礼始まんぞ!」

ゆうたの元気な声が教室に響いた。


「……別に、ただ見てただけ」

かずまは軽く手を振りながら、視線を黒板へ戻す。そこには担任の朝倉先生が、いつも通りの日直の名前を書いていた。


「れいな、今日って英語の予習あったっけ?」

ゆうたがれいなの隣に座りながら、机に突っ伏して尋ねる。


「あったよ。忘れたの?」

れいなは呆れ顔をしつつ、自分のノートを見せてやる。


「神……いや女神……!」

「バカ」

そのやりとりを聞いて、かずまは少し笑った。


何もおかしくない。

教室も、空気も、先生も、友人も。

ただ少し、春の日差しが眩しいだけ。


昼休み、三人は屋上でパンをかじる。

ゆうたが買ってきたチョココロネをれいなが取り上げ、かずまはそれを見て小さく笑う。


「お前ら、恋人かよ」

「は? こんなやつとあるわけないでしょ」

れいなが即答する。ゆうたは肩を落としたふりをして、「ですよねー」とおどけた。


放課後。部活も塾もないかずまたちは、近所のコンビニで立ち読みしたり、他愛もない話をして別れた。

通学路の桜並木が、赤く染まる夕日に照らされて揺れていた。


今日も、普通の日が終わる。


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