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証拠(仮題)  作者: 戌山卓
蒲焼裕太郎
3/24

裕太郎 3

 (ルイ)には一目会ったときから、惹かれていたと言わざるを得ない。仮の入館証を申請したい、と受付に行ったとき、その対応をしてくれたのが彼女だった。端正で小顔。にもかかわらずぱっちりとした大きな目、おそらく化粧なのだろうが、ほんのりと薄く紅潮した頬。少し高めの溌剌とした声で、対応してくれたのを今でもよく覚えている。


 人間関係にドライな職場に移ってきてから、はや3年。自分の中で何か欲していたのかもしれない。涙は覚えていないのかもしれないが、そのときから、彼女のことをもっと知りたいと感じていた。少しカウンターに近づき、内側のパソコン周辺を見ると社員証がチラリと見えた。「白羽ハクバ涙」とそこには書かれていた。


 仮の入館証を発行した翌日、社員検索データベースで彼女の社内連絡先を探してみた。うちのビルの受付を運営しているのは別会社だが、あくまで同じグループ内の関係会社。彼女の名前と社内のEメールアドレスもデータベースで見つけることができた。普通こんなことはあり得ないのだが、玉砕覚悟で昨日のお礼をメールでしてみることに。


「白羽様


 いつもお世話になっております。

 昨日は社員証を忘れて出社してしまい、途方にくれていたところ、助けていただき大変ありがとうございました。

 白羽様の迅速な対応のおかげでプロジェクトの重要なミーティングにも間に合うことができました。

 朝一からご迷惑をお掛けしてしまい、情けないところを見せてしまいましたが、ありがとうございました。

 また、何か困ったときにはお声がけさせていただけると大変幸いです。


 恐れ入りますが、どうぞよろしくお願い致します。


 蒲焼カバヤキ


 もちろん昨日の朝にプロジェクトの重要なミーティングなんてものは存在しない。せっかく感謝を述べるのだから、多少はありがたかったことを強調するだけの方便だ。うまく何かに引っかかってほしいものである。

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