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証拠(仮題)  作者: 戌山卓
五月めぐみ
18/24

めぐみ 2

 裕太郎と出会ったのは大学のときのサークルだった。同期として入った私達はサークル活動を通じてお互いを知り、バイト先の最寄り駅が同じ方面だった彼とは電車の中であれこれと沢山話した。当時はサークル活動についてのお互いの想いを語り合うことがほとんどだったが、次第に異性としての距離感が近づいてきて、気づけば付き合うまでに発展したのを覚えている。


 社会人になってもその付き合いは順調に続いていき、彼が25歳のときに結婚を申し込まれた。私も同じ社会人2年目でまだまだ忙しいときだったけど、プロポーズは純粋に嬉しかった。当時は本当に幸せだったのだと思う。


 結婚前からも裕太郎は忙しい人だった。金融機関の仕事というのはなんて忙しいのだろう。朝から晩まで働いて、返信もできない彼を見ていると、いたたまれない気持ちになったりしたこともあった。私は大学卒業後は大手メーカーの一般職として勤務していた。残業はほとんどなく、家に帰ってくるのはいつも私の方が数時間早い。


 あるとき、深夜に帰ってきた裕太郎に言った。


「こんなに働いて大丈夫?身体の調子は悪くなってない?」

「俺の仕事だからほっといてくれ」


 彼からは素っ気ない返事をされたのみで、それ以降お互いに仕事の話をするのを控えるようになった。ただ、その当時彼の心身は相当疲労しきっていたこともあって、その後すぐに別の業界へ転職することを打ち明けてくれた。


 私は全く知らなかったが、同じ会社に勤めていた大学の旧友から変な夫の噂を耳にした。いつも昼休みや終業後に特定の女性社員と歩いていたという……


 もう退職した会社だったし、気にするのも馬鹿らしく考えないことにした。夫は立場の関係から色々な男女問わず交流をする必要があった。どこかそれを色眼鏡で見られてしまったのだろう。このときは、自分でもそんなはずはないと信じていた。


 転職後も忙しい日々をする彼は前と変わらなかった。家に帰ってこない日もあった。そして、私は今日も一人で夕飯を食べた。

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