涙 7
翌週、私はめぐみさんに会いに表参道へ来ていた。めぐみさんは昔と変わらず、明るい表情で会った瞬間に抱きしめてくれた。
「涙!元気だった~~?」
その抱擁の暖かさに自然と目が潤んできてしまう。
「え、あの……はい、元気でした……」
「?」
めぐみさんはすごく勘がいい。久しぶりの再会だったにもかかわらず、私の話し方に違和感を覚えたようで、すぐにこう答えてくれた。
「涙、何か今苦しんでるよね?昔と違って顔も疲れてるみたいだし……何か相談乗れることなら何でも言ってね」
めぐみさんが予約してくれた瀟洒なカフェでご飯を食べながら、最近のめぐみさんの近況や、旦那さんの愚痴など他愛ない話を聞きながら。カフェを出て、落ち着ける公園で私に話を促してくれた。
毎日終電まで働いていたこと。残業がほとんど付けられず、ほとんどがサービス残業だったこと。土日も疲労でプライベートがほとんどなかったこと。理不尽とも言えるパワハラを先輩から受けてきたこと。めぐみさんだから話せた。話すことができた。いつの間にか涙が止まらなくなって俯きながら喋っていたけれど、めぐみさんは優しく抱き寄せながら私を励ましてくれた。
すべてに絶望していたあのとき、めぐみさんが声を掛けてくれていなかったら、多分今の私はいなかったのだと思う。
「お金を稼がなくてはいけないの確かだけれど、無理をしてはだめ。まずはちゃんと医者に行ってうつ状態を治しなさい。そして、それを治してから涙のペースでできる仕事に転職しなさい。もしそういうのもわからないなら、私がツテでどっか仕事探してきてあげるから!」
めぐみさんのアドバイスは適格で、私はそれをすぐに実行した。
そんな紆余曲折があって、ようやく今の職場に移ってきた。




