ゆなさん、早く除霊にきて!
1話 上海の霊
有村 結心は、夜11:30に上海のホテルに着いた。上海の中心地にある人民公園近くの由緒あるホテルであった。
「会社も人使いが荒いわね。お昼まで仕事させて、それから上海なんだから。もう、こんな時間になっちゃった。私の部屋は1102号室ね。西くんは908号室。なんかあったら、部屋番号でホテル内は電話できるから、覚えておいて。初めての海外出張、お疲れさま。」
「今日はありがとうございました。なんとか来れました。明日は朝7時に朝食会場で待ち合わせですね。」
「時差があるから間違えないでね。じゃあ、おやすみなさい。」
結心は、同僚を9階で下ろした後、自分の部屋がある11階でエレベーターを降りた。3泊4日で、夏だったこともあり、さほど荷物はなかったが、華奢な結心にとっては、やや重めのキャリーバックで、キャリーバックが主人に反抗しているように見えなくもなかった。
「このホテルは、それなりに高級感はあるけど安いから、いつも助かるわ。でもひどくない。このままベットに直行すれば別だけど、メーク落とさないきゃいだし、お風呂に入ったら髪乾かすのだって最低15分はかかる。朝は朝で化粧しないと。こんな時間にホテルに着いたら、4時間ぐらいしか寝れないじゃないの。本当に、うちの会社はブラックね。こんな生活していると肌も荒れてきちゃう。」
エレベーターを降りてから、結心は、ぶつぶついいながら廊下を歩き、部屋の前に着いた。
ドアを開けると、突然、結心は何か強い威圧感を感じた。殺気で空気が凍りついた感じで、夏なのに鳥肌がたった。
でも、部屋はごく普通のインテリアだったし、疲れてるから気のせいかなと思って、軽くシャワーを浴びて、そのままバスローブだけ着てベットに入った。
「疲れた。綺麗なシーツとふかふかのベットは気持ちい。ところで、バスローブって、寝ているうちに、いつもはだけちゃうのよね。でも、朝起きたら、窓から朝日を浴びて、裸で両手を上げて伸びをするのも気持ちいいし、まあ、いいか。」
そんなつまらないことを考えているうちに、眠気に襲われ、眠りについた。
プルプルプル、プルプルプル、夜中の2:15に電話がなった。
「なんですか?」
「無事ですか?」
「なんのことですか? 夜の2時過ぎですよ。」
「お客様のお部屋からエマージェンシーコールがなったもので。でもご無事ならいいです。夜中に失礼しました。」
「エマージェンシーコール? 寝てたのに、なんのことだろう。本当に迷惑だわ。眠むれる時間自体が少ないのに。何かホテルのミスね。」
少し目が覚めてしまった結心だが、明日のこともあるので、そのまま眠ることにした。
次の朝、何があったんだろうという気分もあったが、部屋の空気は爽やかで、昨晩の緊張感は全くなくなっていたので、メークをしているうちに忘れていた。
その後、眠りが足りず少し疲れ気味であったが、予定通り仕事をして、やっぱり中国に来たなら中華だと、一緒に働いている日本人メンバーと一緒に中華レストランに行った。
「お名前、難しい字ですけど、ゆなさんでいいんですよね。」
「そうですよね。大体、なんて読むのって聞かれるですけど、よく読めましたね。よろしくお願いします。」
「こちらこそ、よろしくお願いします。私、半年ぐらい中国語勉強して、1ヶ月前に駐在で来たんですけど、中国語って難しいですよね。漢字は簡体字でもなんとかわかるんですけど、発音が難しくて。その点、結心さんは、中国語お上手で、中国人と普通に会話しているのってすごいです。」
「小学生低学年の頃、親の仕事の関係で2年ぐらい中国にいたもんで。」
「そうなんですね。だからだ〜。」
横に座っている女性が、結心だけに聞こえるように、小さな声で結心の耳元で話してきた。
「話しは変わるんですけど、男って、どうして女性の胸ばかりジロジロと見るんでしょうね。男が見ていると、私は、例外なく見てるって気づきますよ。結心さんもですよね。でも、中国人も同じで、これって、万国共通の男の本能なんでしょうかね。」
つまらない話しだったが、嫌われても面倒だしと、結心は、相槌を打っておいた。結心は、それなりに人間付き合いはしているが、本音は、一人だけで過ごす方が楽だといつも思っているタイプであった。
今夜も、ホテルに帰ったのは遅い時間になってしまい、結心が寝たのは12時を過ぎていた。ただ、お酒のせいか1時間半ぐらいで目が覚めてしまい、逆に寝れなくなってしまった。
「なんか、眠れないな。寝ようとすると、もっと目が覚めちゃう。1:45になっちゃったけど、バスタブにお湯を入れて体を温めれば、気分が変わって眠れるかな。」
お風呂に入っていると、2:15になった時、また電話がなった。
「なんですか?」
「お客さまのお部屋からエマージェンシーコールがなったので電話したのですが、大丈夫ですか?」
「昨日もそうでしたけど、何もありません。なんなんですか? 深夜に邪魔しないでくださいよ。」
「そうですか。では失礼します。」
「このホテル、なんなのかしら。これじゃ、寝不足になっちゃう。次回からは、別のホテルにしようかな。」
不満いっぱいの結心だったが、疲れていたせいもあり、ベットに入った途端、いきなり眠りに落ちていった。その直後、夢で、結心は、この辺りの道路に立っていた。
「なんなんだろう、あれ、なんか、人が轢かれたとか声が聞こえる。」
そう思った瞬間、鳥の羽のようなものが覆いかぶさってきて、周りが真っ黒になった。びっくりした結心は目が覚めた。
「さっきの、なんだったんだろう?」
それ以上はわからず、なんか怖い気持ちはあったものの、夜中で、これ以上、何も起きそうもないので寝ることにした。
翌日の夜、今夜がこの部屋での最後の夜となるが、何かあるのかなと思って寝ていると、左肩を急に掴まれた。
「なんなの? 泥棒?」
周りを見ると、半透明な老婆が私のことを、すごい形相で睨んでいた。
「誰なの?」
結心は、ベットの中で凍りついた。
「出ていけ。」
「ここは私の部屋よ。あなたは誰?」
「黙って、出ていけ。出ていかないなら、力づくでも追い出してやる。」
そう言って、老婆は結心の腕を掴んだ。
「やめて。」
結心は、老婆の腕を逆に握り、自分の腕から外そうとした。その時、結心の体は光を放ち、炎のように燃えていった。
「え、私、燃えている? 熱くはないけど、眩しい。」
結心から出ている炎は、老婆に伝わっていき、老婆を包み込んで、燃やし始めたのだ。そして、老婆はゆっくりと消えていった。最後の瞬間、老婆の声が聞こえてきた。
「私は、5年前、上海に旅行に来て、楽しくて浮かれていたのかもしれないけど、夜、飲んでこの部屋に戻るときに、この前の道で交通事故に遭って死んじゃった。でも、ふと気づいたら、この部屋にいて、夢でも見たのかなと思ったの。
その後、何人も、この部屋に入ってきて、私の部屋に入らないでって叫んだんだけど、無視して入ってきた。だから、奴らを追い出そうとしてきたんだ。でも、事故の時間になると、いつも事故現場に戻っていて、そこで轢かれてしまい、その繰り返し。もう嫌だと思っていたの。
そんな時に、お嬢さんが入ってきて、私のこの苦しいループを断ち切ってくれた。ありがとう。この部屋に入ってきて驚かせてしまった人達にも、今は、悪いと思うわ。これから心が落ち着く日々を過ごすわね。さようなら。ありがとう。」
なにが起こったかわからないまま、普通に戻った部屋で横になったままの結心だったが、落ち着いたようなので、そのままベットで眠ったのだった。
2話 除霊師
日本に戻り、結心はSNSに、この不思議な体験をアップした。そうすると、1週間経った頃に、DMが届いた。
30代なかばぐらいの女性からで、この事件ついて話したいので、自分の家に来て欲しいというものだった。結心は、全く知らない人からだったので無視しようかと思ったが、何か気になるところもあったので、その人のSNSを見てみたところ、3歳ぐらいの男の子の写真とかが多くアップされていて、ごく一般的な家庭という感じだった。そこで、大丈夫のような気がしたので、家を訪問してみることにした。でも、万が一のことを考え、友人には、夕方18時までに連絡しない時は、ここに行ったって警察に連絡して欲しいとDMを送り、住所も送っておいた。
「こんにちは。有村結心という者ですが、この前、連絡をいただいた斉木さんでしょうか。」
「あら、待っていたのよ。入って。」
「でも、中で男の人がいて乱暴されるとか怖いし、ここで話しを聞かせてもらえますか?」
「大丈夫、そんなことないから。お庭では、子供が遊んでいる声も聞こえるでしょ。大丈夫。」
「では、お邪魔します。」
「はい、では、ここに座って。あのね、あなたのSNS見たんだけど、あなた、除霊師としての力があると思う。」
「除霊師?」
「そう、霊とか怨霊を取り払う人。そんな力持っている人、ほとんどいないから貴重なの。だから、手伝って欲しい。」
「すぐには信じられないんですが、何をするんですか?」
「霊に悩んでいる人のところに行って、霊を取り払う。取り払うと言っても、テレビとかでみるように、白い袴とかきて、何か呪文をいうとかじゃなくて、あなたの場合は、霊の腕を掴んで、消えなさいと心で思うと、前回のように、あなたから出た炎が霊を取り囲み、霊が消えるという感じね。人によって、やり方は違うの。」
「なんか、怖そうだし、私にとってメリットもないですよね。」
「謝礼として、成功報酬で、1件につき20万円をもらうことにしているわ。当日は、本人からは本当に成功したかはわからないから、1週間後にまた訪問して、大丈夫だと確認した上で払ってもらって。」
「それは嬉しいけど。霊に襲われたりしないんですか?」
「あなたの力を見る限り、基本は大丈夫ね。」
「基本は、というと?」
「現世でもそうだけど、力が強い霊もいて、あなたの力を超える場合もある。そこで、手のひらを出して。私があなたの手のひらに、これから字を書くから、その手を霊に押し付けて、「りょー」と言いなさい。そうすれば、2分だけ動かなくできる。その間に、あなたの炎で焼けば、いなくなるわ。現世では、基本は、生きている人間の方が強いのよ。でも、怖くなったりして気が弱くなった人間は、取り憑かれちゃうっていうこと。」
「大丈夫ですかね?」
「大丈夫。ということで、早速、この足で、佐々木 さとみさんの所に行ってくれる。この近くだから。」
「え、これからですか?」
「あのパターンは大丈夫。あなたなら問題ないから、まずは自分の力を試してみて。」
「お金は、斉木さんに一部払うんですか?」
「私は私でやっているから、有村さんがやった分は、全部、有村さんが貰っていいわ。私としては、いっぱい依頼が来て、対応できない方が困るのよ。ところで、もし、払ってくれなかったら、霊を戻すからと脅せば、怖がって払うわよ。」
「なるほど。霊は戻せないと思いますけど、わかりました。では、試しに行ってみますね。ぴーんと来ないときはやめますよ。」
「ご自由に。ところで、言い忘れたけど、私たちは、女性のお客さんに、女性の除霊師が対応するというグループ。お客さんと2人になる機会が多いから、男性だと気まずいでしょ。」
「男性からの依頼があったときはどうするんですか?」
「男性は男性が対応するグループがあって、そこと提携しているの。男性からこちらに依頼があれば、そのグループに紹介するという仕組み。」
「そうなんですね。では、先ほどの佐々木さんの家、行ってみます。」
15分ぐらい歩いたら、指定された家に着いた。
「こんにちは。斉木さんから紹介いただいた有村ですが、お時間、よろしいですか。」
「ええ、家に入ってください。」
依頼主は、足を引きずっていたが、可愛らしく、おしゃれな感じの女性で、20代後半ぐらいに見えた。家の中の雰囲気は、光が高い窓からいっぱい入っていたせいか、とても爽やかで、霊とかいるようには見えない。
「何を困っているんですか?」
「少し前に、日本料理を食べに行って、お料理とか、お店の様子をいつもの通り、写真に撮って、SNSにあげたんです。そうしたら、それを見た友達から、写真に怒った男の顔のようなものが写っているよと言われ、確かにそう見えるなと思ったけど、忘れてそのままにしていたの。そしたら、足が腫れてきて、痛くて痛くて、病院に行ったんですけど、原因が分からないって言われちゃったんです。もしかしたら、さっきの写真のせいかなと思って、SNSから消したら、足の痛みはその日をもって消えていったんです。良かったなと思っていたのですが、その後も、レストランの写真を撮ると、いつも、さっきの男の顔が映るようになって、SNSに載せたら、また足が腫れちゃった。そこで、またSNSから消したんだけど、今度は、治らなくて、どんどんひどくなっているんです。困っていて。」
「大体、話しはわかりました。足を見せていただけますか。」
足は、かなり腫れて、痛そうだった。でも、霊の気配がなかったので、まず、写真を撮ってもらうことにした。
「では、まず、この紅茶カップ、写真を撮ってみてください。」
「はい。どうでしょう。」
「あー、顔みたいの、写っていますね。なんか、このカメラ、古そうだけど、見せていただけます?」
カメラに手を触れた途端、嫌な空気が流れた。結心が、そう思った途端、黒い煙のような男の姿が女性の肩にかぶさっていた。
「見えたわ。なんで、この女性を傷めるの?」
「俺は静かに過ごしたかったのに、こいつが、俺の姿を撮って、多くの人に晒したんだ。ひどいじゃないか。これじゃ、俺がまだ成仏できていないって知られてしまう。俺は、死んで彼女と結婚できなくなったことが未練で、この世に残ってる。そんなこと恥ずかしくて、誰にも知られたくないんだよ。
困っていたら、こいつ、他のところでも写真を撮っていたらか、やめさせようと思って、体を痛めつけてやったんだ。それだけで、悪いのは、この女なんだ。」
「じゃあ、この人に、あたなが映った写真は全て消して、SNSからも消すようにさせるわ。それで、消えてもらえる?」
「約束できるか? それなら消えてやるが。」
「約束する。大丈夫だから、この人から消えて。あとは自由にすればいいわ。」
「わかった。」
今回は、結心の炎を使わずに、消えてもらえた。こんなに簡単に解決できるのはびっくりだったが、霊と人間が会話ができていないのでこじれるケースもあることを知った。
「どう、消えてもらったけど、気分は良くなった。」
「確かに、足は軽くなった。あれ、不思議。腫れが引いていく。ありがとうございます。」
「じゃあ。もう大丈夫ね。今回は1週間待たなくても、成功ということで、謝礼金を払ってもらうわ。再び腫れることはないと思うけど、何かあったら、斉木さんい連絡してください。また来ますので。」
「わかりました。では、20万円ですね。はい。病院は、お手上げだったし、頼んで良かった。」
「では、確かに受領しました。お元気で。」
「これって、保険とかきかないんですよね。」
「医療行為じゃないので、きかないですね。」
依頼主は、とびっきりの笑顔になって、玄関で、結心に手を振ってお別れをしていた。
「これは私の能力ね。でも、こんなに簡単に20万円を貰えるなら、続けてみよう。」
そのあと、結心は、斉木さんにDMをを送り、成功したこととお礼を伝えた。
結心は、帰り道、とんでもないことを思い出した。
「18時までに友達に連絡しないと警察に連絡が行っちゃう。どうしよう、どうしよう。もう19時半だ。えーと、えーと、まず電話だ。」
慌てて電話したが、携帯からは伝言メモの音声が流れてきた。
「私は、海外旅行で、8月30日まで連絡が取れません。御用がある方は、返事は遅れるかもしれませんがDMをお送りください。」
DMをみると、今朝送ったメッセージは、まだ既読になっていなかった。
「よかったというか、襲われていたら危なかったじゃない。本当にもう、使えないんだから。まずは、無事だったとDMに送っておくわ。」
帰りに、結心は、成城石井で、梅酒と割引のシールが貼ってある「ペンネとブリーチーズの盛り合わせ」という商品を買って自分の部屋に帰っていった。
3話 犯す霊
斉木さんから2件目の連絡がきた。今度は、ワンルームマンションに住む25歳ぐらいの女性会社員だった。結心が家に入ると、なんかベタついた嫌な空気で、吐き気を感じた。
「こんにちは。何かいますね。困っているのはなんですか。」
「結心さんが女性なので、そのまま話すと、3ヶ月ぐらい前からなんですけど、この部屋のベットで寝ていると、生理の時も含めて、毎日、何かが私を抱いてきて、胸とか、体が舐め尽くされたあと、私の体にペニスが入ってきて犯されるんです。この部屋に誰もいないし、いつも、私がいっちゃうまで止めないないから、毎晩、体はぐったりで、体も朝にはべちゃべちゃと汚れちゃって困っているんです。」
「生理の時もですか?」
「そうなんです。そんな時はベットとかも汚れちゃって、いつもより困っちゃう。」
「他の人だったら、男性に抱かれたいという夢の可能性もあるけど、この部屋には何かいるから、これは霊の仕業ね。」
「なんか、キッカケとかあったんですか?」
「よく分からないけど、3ヶ月前ぐらいに大阪に行って、幽霊経験をしたっていうか、なんか不思議な経験をしたのですが、それぐらいですかね?」
「どんな経験でした?」
「夜、チェックインして、シャワー浴びて、そのあと、寝ていたら、頭の上の方からシャワーの声が聞こえてきたの。多分、横の部屋の浴室がベットの横にあるのかなと思ったんだけど、なんか、音は明らかに自分の頭に接している、自分の部屋の浴室から聞こえてきて、不思議だなと思ったんです。翌日にチェックアウトする時に聞いてみたら、部屋の構造はみんな同じだということで、そうなると、横の部屋では、私のベットの横にはTVとかあって、浴室とかはないですよね。変だなーと思っていたんですけど、確かに、言われてみると、それから起こっているのかも。」
「多分、原因はそれですね。部屋からあなたについてきてしまったんだと思います。でも、毎晩、いっちゃっていたら、本当に疲れるでしょ。大変だから、今日、解決しちゃいますね。」
「そうだと助かる。お願い。」
何かがいるのはわかるけど、霊は話しかけてこないので、アクセスできずに時間がかかっていた。
「ごめんなさい。なかなか話しができないので、ちょっと、ベットで寝てくれない。」
「寝れるか分からないけど、じゃあベットで横になってみます。」
女性がベットで横になると、思ったより早く眠りに落ちていった。
そして、寝てから10分ぐらい経った頃だろうか、依頼主が喘ぎ声を上げ始めた。Tシャツは着たままだが、乳首が立ってきたのがわかる。胸は上下に動かされ、この女性の手は横にあるからこの人の手ではなく、明らかに誰かから触られている。そして、乳首が回され、喘ぎ声もその都度、聞こえてきた。そのあと、足が上げられ、あそこは開いた。その後、腰は上下に動いて、パンツは履いたままだったが、濡れるだけでなく、汁が飛び散っている。なんか、1人で体は激しく動き、不思議な光景だった。特に不思議だったのは、誰もいないのに、いかにも誰かに腰が持ち上げられている風景だった。
その後、女性は、大きな声を出し、両手を上げながら体をのけぞって、急に脱力した。その時、うっすらと男の姿が見えてきた。
「あなた、この子が困っているのわかっているの?」
結心は、ダメもとで霊に声をかけたところ、なんと返事をしてきた。
「困っているだって、この子も楽しんでるじゃないか。みてただろう。女だって性欲はあるんだよ。それを満たしてあげているんだから、感謝してもらいたいぐらいだ。お前も俺が好きだったら、やってやるよ。」
「私はやらない。また、彼女については、あなたの一方的な思い込み。確かに、女性だって制欲はあるけど、多くの人は、好きな人としたいと思っている。あなたとしたいと思っていないわ。」
「お前こそ、思い込みしているんじゃないよ。みてたろ。いっていたじゃないか。」
「それは、寝ていて本人もよく分からず、あとはあなたの霊力で、無理やりしているからでしょ。」
「2人の間の問題なんだから、他人が口を出してくるなよ。」
「もしかしたら、あなた、死んでると気づいていない?」
「死んでるって? お前、何いっているんだ?」
「やっぱり、気づいていないのね。あなたは、何歳、いつ生まれたの? 何しているの?。」
「俺は、30歳で昭和45年生れ。神戸で商社マンをやっているんだ。すごいだろ。女はみんな、すごいすごいって、俺に集まってきて、とてもモテるんだよ。そんな時、大阪のホテルに泊まっている時に、この女が俺の部屋に入ってきて、ベットで俺を誘うから、気持ちよくさせてあげたんだ。こいつが一緒にいて、やってて言うから、相手してあげているんだから、他人が入ってくるなよ。」
「そうなんだ。でも今は2023年だから、昭和45年生れだと、あなたは50歳過ぎになるけど、30歳って、矛盾してるね。」
「そんなことはないだろう。あれ、新聞には確かに2023年と書いてある。どうしてなんだ? そういえば、なんか、思い出してきた。そう、大阪で酔っ払って電車のホームから落ちたような。それで、助かった? いや、俺が手術台に載せられ、それを俺が上から見ていて不思議な感覚だったが、医者が助からなかったと言っていた。それから、気づいたら、ホテルの部屋にいたんだ。どういうことだ?」
「そうなのよ。あなたの話しからすると、あなたはホームから落ちて、亡くなったんだわ。気づいたでしょ。この子、あなたのことも知らないの。あなたを好きなこともないし、誰かわからない人に犯される毎日悩んでたわ。もう、そろそろ解放してあげて。」
「あれ、なんか事故のこと思い出したら、体が消えてきた。そうだったんだね。この子には迷惑をかけた。謝っていたと伝えておいてくれ。気づかせてくれて、あり・・・。」
「消えたね。よかった。」
「起きて。」
「あれ、寝ていた。でも、あそこびちょびちょだし、やっぱり犯されていたでしょ。でも、なんか体が軽い気もする。」
「やっぱり、男の人が憑いていました。20年ぐらい前に亡くなった人だったけど、あなたのことを恋人だと思っていて、他人が口を出すなとか言っていましたよ。ただ、本人は亡くなっていると気づいていなかったみたい。気づいて、あなたに迷惑をかけたって謝っていたわ。これで、毎日、何もなく過ごせると思います。
信じられないと思うから、1週間過ごしてみて。それで犯されることがないとわかったら、私に謝礼を払ってもらう。1週間後に来ますね。」
「そうだったら、嬉しい。1週間試してみて、その後に謝礼を払うわね。何もないといい。また、お会いしましょう。」
「では、これで失礼します。」
結心は、部屋を出た。さっきまでは、夕日も出ていたが、今はすっかり夜になっていて、お店の光が並ぶ街を歩く結心は、さっきの男性は女性の体が好きなだけだで、それほど悪い人でもなかったんじゃないと考えていた。
その晩、結心は、Uberで名店のイタリアンを頼み、冷蔵庫にあるワインで乾杯することにした。頼んでしばらく経つと、配達員が料理を持ってきた。
「おまちどうです。ところで、先日、郵便ポストに入れたメッセージカード読んでくれました?僕、有村さんに一目惚れして、今度、一緒に食事でもどうかなって。」
「あなただったんですね。私、今、男性と付き合うという気分じゃないし、ごめんなさい。」
「そんなこと言わずに、一回でいいですから、行ってみましょうよ。」
「ごめんなさい。では。」
結心は、料理をテーブルの上に置き、ワインを注いで食べ始めた。
「さっきの人の肩に、傷だらけの5人の女性の霊がぶら下がっていた。なんか、今日こそは殺すって。ゾッとしたわ。多分、この帰り道で交通事故とかになりそうね。派手に遊んでいるようだったから、さっきの男性に邪魔になって殺されたとか、相手にされずに自殺した女性という感じね。自業自得としか言えない。でも、嫌なもの見ちゃった。忘れよう。」
そんなことが日常的に見えるようになってきた結心だった。
4話 盗聴する霊
結心は、次の依頼主の家に入った。入った感想としては、ごく一般的な空気で、依頼主も、可愛いらしい、ややぽっちゃりした明るい女子大生という感じだったので、この人に憑いている霊なんているのかなって首を傾げながら、1ルームの中にある小さなテーブルの椅子に座った。
「聞いて。いつも、夜道で誰かの気配がして、振り返っても誰もいないの。そして、この部屋で、親に、今度、友達と伊豆に旅行に行くって話したら、決まって、次の日には学校で話しが広がっているの。それって、私に幽霊が憑いていて、夜道で私に着いてきたり、この部屋で話したこと聞いて、学校の友達に吹き込んでいるんじゃないかと思って。」
「そんなこと、するかな。なんか、そのようなことされて当然という事件とか、気になることはあるんですか?」
「あるって言えば、ある。去年、仲良くしていた男女8人グループの男性陣が、格安バス旅行に行ったんだけど、その途中でバスが横転して、そのうちの1人が亡くなっちゃったの。多分、その人が、寂しくて私に取り憑いているんじゃないかって。」
「では調べてみますね。今は、この部屋には何もいませんよ。」
「そうか。じゃあ、お願いね。」
まず、彼女が夜道を歩いている後ろを着いて行ってみることにした。
「なんか、霊の影も見えないな。部屋にも見当たらないし、夜道にもいない。どういうこと? もしかしたら、あれじゃない。」
次の日、結心は彼女の部屋に言って、何か装置を取り出し、ぐるっと回ってみた。
「これって、ゴーストバスターみたいなやつ。面白い。」
「ちょっと、黙っていて。」
と言うと、結心は、その機械がビービーという方向に近寄っていき、電源ケーブルをコンセントから抜き、解体した。そうすると、盗聴器ができてたので、抜くと、そのランプが消えた。
「この他にはなさそうね。」
「この機械と、今、見つけたものはなんなの?」
「これは盗聴器の電波を探す機械で、秋葉原とかでも売っているやつよ。そして、これは盗聴器。」
「え、盗聴器、なんで? 私は除霊してもらいたいってお願いしたのよ。」
「どうも霊の仕業じゃないと思って。実際に、盗聴器があった。霊は盗聴器とかつけないの。もう外したから、話しても伝わらない。それで、次は、今日、あなたが夜道を歩いている後をつけて、ストーカーを捕まえてやる。」
「え、人間のストーカーの仕業っていうこと?」
その晩、依頼主に夜道を歩いてもらうと、案の上、マスクをして、深々と帽子を被った男が後ろをつけていた。
「あなた、何をしているの?」
「え、なんのこと?」
「あの人のストーカーをするのは、もうやめて。これ以上、何かすると警察を呼ぶわよ。」
「なんだ、バレちゃったか。でも、女のお前に何ができるかな?」
そう言って、男は結心にナイフで襲いかかってきた。結心は、ピーと笛を鳴らすと、2人の警察官が助けにきて、男を取り押さえた。
「傷害未遂の現行犯で逮捕する。言い分があれば、警察署で聞くから、こい。」
「あの女が悪いんだ。俺のこと好きだっていうから、可哀想で付き合うと言ったら、なんか俺のこと避けてきて。全くわからないやつだから、少し、いじめてやろうと思って。」
「いいから、パトカーに乗って。」
男性は、頭を垂れ、警官に連行されて行った。
「ほら、ストーカーだったでしょ。みたことある人?」
「大学の同じクラスの人。彼、話したことなかったのに、急に、告白とかしてきて、でもタイプじゃなかったから断って、それっきりと思っていたのに。」
「一番怖いのは人間だってことね。では、報酬をもらうわ。」
「報酬って、霊じゃなかったんだから半額とかにできない?」
「できない。むしろ、男性がナイフで襲われたんだから、すごく危険だったわ。ということで、値切らないで20万円をお支払いください。」
「仕方がないな。お父さんにお願いしてもらったお金、20万円全額払うわ。」
「ありがとう。お父さん、あなたを可愛がっていてよかったですね。そうじゃないと、ストーカーが部屋に入ってきて、あなたを襲っていたかもよ。少なくても、盗聴器を仕掛けに、あなたの部屋に入ったんだろうし。」
「そうだ。怖い。部屋に入ったんだ。これから気をつけないと。では、おやすみなさい。」
今回は霊じゃなかったけど、結果として、女性にとりつくものを払ったことには違いない。そんなことを考えながら、明るい気持ちで結心は、家へと電車に乗った。
でも、最近、結心が電車に乗っていると、いろいろな人に、いろいろな霊が憑いているなと気づくようになっていた。前にいる女性には、この女性が略奪愛をしたせいで、彼との関係を潰され、それを苦にして自殺した女性。すごく睨んでる。なんか心臓を手で強く掴んで、潰しそうだから、心臓病でこの人死んじゃうかもね。横にいる男性には、銀行の審査でNGにした結果、倒産し、首吊り自殺をしたおじさんの霊が憑いてる。今度の海の旅行で、お前とその家族を海で溺れさせて殺すぞと、大声で叫んでる。
いずれも、今生きている、この女性とか男性とかが悪いんだろうけど、死んじゃったんだから、これまでのことを忘れて、心穏やかに過ごす方がいいじゃないと思い、席で、目をつぶり、寝たふりをすることにした結心だった。
5話 襲ってくる霊
結心は、4番目の依頼主と話しをしていた。
「何に困っているんですか?」
「毎日、怖くて、怖くて、なんとかしてください。」
「わかりました。で、具体的には?」
「3年ぐらい前から、ときどき幽霊みたいものが見え始めたんです。最初は、道歩いていると、横の家の玄関に人気を感じたので見てみたけど誰もいないとか、自転車を運転してきた女性の後ろに、子供がいると感じて見てみたら、子供のチェアはあるけど、誰も乗っていないとか、不思議なことが時々あったんです。
また、朝日ですごく爽やかな公園で、3人の男性の学生がいて、楽しく話しているようだったけど、よくみて見ると、そのうち1人が、1人の学生の肩にだら〜んと両腕を垂らして、肩に乗っていました。まあ、いじめているのかな? と思い通り過ぎたんですが、後で考えて見ると、いじめられているとしても、腕が乗っけられていた人、明るく話していたから、今から考えると変だったなと思ったんですよ。」
「それで。」
「その後、この家でも、なんか人の気配があって、気にしないようにしてきたんですけど、ここ数ヶ月、夜、まだ旦那が帰ってくる前に、すごい形相をした男性が、私にぶつかって来るんです。怪我するとか、そんなことはないので、実際の被害はないんですが、怖くて怖くて、もうメンタルが持ちそうもない。」
「もともと、幽霊を感じやすい方なんでしょうね。この家には、そんなに嫌な空気は感じないのですが、なんなんだろう。申し訳ないですが、2日ぐらい、この家で一緒に過ごしてもいいですか。」
「旦那も、私のことは心配しているから、大丈夫です。うちは、まだ結婚したばかりで、ここは子供部屋にする予定だけど、まだ子供がいないから使ってください。ベットはないので、布団を敷きますね。旦那もいるので、お風呂とか使うときは言ってください。ご飯はどうします?」
「ご飯は気にしないでください。その辺で、適当に食べますから。」
「では、こちらへ。」
結心は、この家で、ご夫婦と一緒に過ごすことになった。
「でも、なんか分からないな。この家で、特に殺気とか感じないけど。旦那さんが原因なのかな? 例えば、旦那さんが浮気している女性の生霊とか。」
その日は何もなく終わった。翌日、結心はこの女性と会話を重ねた。
「結婚はいつされたんですか? かっこいい方ですよね。」
「そろそろ1年目の結婚記念日っていう感じ。私、一目見て、この人だと思い、積極的にアプローチして、なんとかゲットしたの。結心さん、手を出さないでね。」
「大丈夫ですよ。他の方の旦那さんに手を出すって、ドラマじゃないですし。こんなこと聞いて失礼かと思うんですけど、旦那さん、モテるとすると、今でも、多くの女性が誘ってきて、浮気とかないとは言えないと思うんですけど、どうですか? 誤解があると困るので、言っておきますが、浮気相手の生霊という可能性もあるのかなと思って。」
「まず、旦那は私一筋だって、いつも言っているし、その目は嘘をついている気はしない。また、すごい形相の霊は、間違いなく男性だと思うんです。」
「そうなんですね。じゃあ、違うかな? 何か、男性から恨まれることって、ありますか?」
「あえていうと、今の旦那と結婚する前に、別の男性と付き合っていて、その人とは別れたのですが。」
「その人は、いまだにあなたと結婚したいとか?」
「それは違うと思う。あちらからふってきたの。他の女性ができたとかで。私は、その頃は、彼のこと、それほど好きでもなくなっていたから、それもいいんじゃないと思って別れたわ。」
「じゃあ、その彼も、あなたを恨んでいないと。」
「そうね。」
「じゃあ、誰なのかな?」
結心は、その晩、部屋で、何が原因かと考えていたが、その時、なぜか赤ちゃんの泣き声のような音が聞こえた。
「猫でも鳴いてるのかな。この家は、若いご夫婦だけど、この辺は、高齢者ばかりで、赤ちゃんはいなそうね。お子さんとか、赤ちゃん連れて親のところに戻ってきているとか。夜、泣いてうるさくないといいけど。でも、考えてみると、赤ちゃんという可能性はあるかも。」
そこで、結心は、赤ちゃんと話しかけてみた。いくら頑張っても返事はなかったが、根気良く続けていると、30分ぐらいしたあたりから、相手が話しかけてきた。
「お前、邪魔。」
「どうして。」
「お母さんと一緒がいい。お前は邪魔。」
「その人、お母さんなんだ。どうして、死んじゃったの?」
「いいたくない。」
その後、結心は、強い力で、3度ほど壁に叩きつけられ、頭から血が少し出てきた。
「力、強いんだね。強引にはしたくなかったけど、今回は、そうしないと無理。」
いきなり、結心は、赤ちゃんのうっすらとした姿の腕を掴み、「りょー」っと大きな声をかけた。その時、赤ちゃんの動きは止まり、結心は眩い光を放ち、赤ちゃんに向けて投げつけた。
「ひどいよ。僕、死にたくない。お母さんは、お父さんと別れて、今の人と結婚する話しが進んでいた。その中で、お母さんは、子供がいると結婚に支障があるって、僕をおろしたんだ。でも、僕は恨んでいない。そうしないと、お母さんが困ったんだもんね。僕は、お母さんを困らしたいわけじゃないんだ。ただ、お母さんのお腹の中に戻りたくて、何回も、お腹に向けて走ったんだ。でも、これで終わりだね。お母さんには、会いたかったと言っておい・・・・・。」
「消えちゃったね。でも、今回の依頼主は、きちんと、このこと話しておいて欲しかったな。いいづらいのはわかるけど。
あと、名も無い赤ちゃん、お母さんに言っても、困るだけだと思うよ。静かにお眠り。」
「おはようございます。昨晩、除霊は終わりました。」
「それは、ありがとうございます。なんだったんですか?」
「道で拾ってきた、暴力男っていう感じですかね。これから何もないと思いますが、1週間経って、何もなければ報酬を払ってください。私が1週間後に受け取りに来ます。」
「では、そうするわ。本当にありがとうございました。」
なんとなく、おろした赤ちゃんかもって思っていたかもしれない。また、言わずに済んだって、舌を出しているかもしれない。そんな、したたかそうな女性だもんね。でも、それでいい。女が生きるために必要な嘘もあるし、別に、私の仕事は、本当のことを明らかにすることじゃないから。
明るくなった依頼主は、結心に雑談をしてきた。
「そうそう、昨日、ホテルのパーティーに参加して、その時にトイレに行ったら、横から、ジャーという大きな音がしてきたの。女性じゃ、あんな大きな音しないから、多分あれは、女性の服を着た男性のトランスジェンダーね。実際にいるんだって、びっくり。でも、気持ち悪いわよね。どうどう?」
そうなんですねと、結心は、興味のない話しに相槌を打っておいた。
「こんな馬鹿な女の子供でなくて良かったんじゃないの。まあ、あの子は、いいお母さんの記憶しかないんだろうけど。他人の気持ちを、どうのこうのって言う立場じゃないわね。」
今晩は、学生の頃の女友達との飲み会があり、依頼主の家から直接、会場に向かった。結心が到着すると、みんなはすでに到着していた。友達を見ると、誰も霊を背負っておらず、まだ見えていない可能性もあるけど、結心は安心した。
ただ、横のテーブルでクダを巻いているおじさん達は、5人中3人の肩に霊が憑いていて、酒に酔ったのか、大声で話していた。
「この頃の、若い奴ら、本当にやわだよな。用事があるから5時に失礼させてもらいたいだって。そんな用事、会社に関係ないじゃないか。俺たちの頃は、終電がなくなっても働いて、翌日は朝7時には会社に来て、新聞のスクラップとかしていたのによ。本当に、ワガママというか、なんというか。クズだな。毎日18時間働かせて、教育してたら、ある朝来ないので1人暮らしの部屋に行ってみたら首つって死んでるだよ。本当に迷惑だ。早く死んで良かったんじゃねぇ。」
「本当にそうだよな。俺も、そんな理由で、サボってばかりの櫻井ってやつ、いびり倒したんだけど、会社に来れないので辞めるって。今でもメンタルで家を出れないって噂だ。その分、俺の仕事量が増えて賠償請求したいぐらいだ。」
「そうそう、うちも、女性社員が口から血吐いちゃって、なんか俺が悪いみたいに言われて、本当に迷惑なんだよ。その女が、のろまで仕事ができないだけじゃないか。」
こんな会話を聞いていて、結心は吐きそうになった。このおじさん達こそが、死んだ方がいい。ただ、友達は明るく会話していたので、邪魔しないよう、笑顔を保っていた。
女子会も終わり、結心は、夜でも明るい街の中をゆっくり歩き、明日からも、これまでのように女性に憑いた霊を払う人生を過ごしくぞと決意を固めていた。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
私は、少し、霊感みたいものがあり、今回、取り上げた題材の半分ぐらいは、私が経験した実話です。
これからも、変わったテーマで小説を掲載していくので、ぜひ、応援してやってくださいね。
では、またお会いしましょう。
※本小説は、他サイトでも掲載しているものです。