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翠玉の過去

 エメラルドは悪夢に魘されていた。


 *


「ここはどこ?」


 私は辺りをキョロキョロと見渡した。 日本の住宅街のような場所だった。


「エメ、こっちだよ」


 父が私を呼んでいた――何故か父の顔が思い出せない。


「パパ、待って!」


 私は急いで父の元に向い飛びついた。


「エメ! パパを困らせないで!」


 奥から来た母が私を叱った――母の顔も思い出せない。


「ママ、ごめんね……」


 私は父から離れた。


「Let's go!」


 父と母が笑顔で頷き歩き始めた。 そんな2人を見て私は少し嬉しかった。


「ちょっと待って!」


 私はそんな父と母を追いかけた。 それから少ししてとある坂を訪れた時。


「パパ、ママ、疲れた~ 抱っこして~」


「我慢しなさい!」


「ママ、 余り怒らないの」


 父は母を笑顔で慰めた。


「ふぇぇ」


 私は両親の元に向かった。 その瞬間、 一台の車が両親の所に突っ込んで来た。 その際に父の頭から脳みそが出てきて辺り一面に飛散していた。 母の方は口から食道と胃袋が飛び出た――思い出した……これは私の過去……思い出したくない最悪な記憶。


「え……」


 私が呟いた瞬間、 車は逃走しさらに多くの人間を轢き殺した。


「パパ……ママ……起きて!!」


 私は泣きながら2人の身体を激しく揺さぶった。 突然の両親の死は私の心にダメージを与えた――


 その後、 日本の警察が来て取り調べを受けた後、 私を病院に送った。 私はベッドの上でただじーっとしているだけだった。


「エメラルドちゃん、 イギリスの親戚の方が来たわ」


 看護婦が私の親戚を病室に入れた。 スーツを着ているが顔は思い出せない。


「エメ、 イギリスに帰ろう!」


 親戚は本国へ連れ戻そうとしたが私は首を振った。 なぜなら、 向こうでは私の事を「黒目玉」や「化け物」と罵り、 石を投げてくる人や、 殴る蹴るなどの暴行を加える人もいたから――帰りたくない。


「どうして帰りたくないの?」


「あそこには戻りたくない……だって……いじめられるから……」


 私は泣きじゃくった――すると、 親戚は頭を優しく撫でた。


「わかった……また会おう」


 親戚は私の部屋から出ていった。 もうあの人と会う事は無かった――


「エメラルドちゃん……もう無理しなくていいから」


 看護婦は私の背中を擦って慰めてくれた――少しだけホッとした。


「うん……」


 少ししてから私は大型のモニターがある部屋に向かった。


「大きい……」


 私はそのモニターをたったままじーっと見ていた。


「速報です! ○○様が1人の少年に殺害されました」


 私がニュースを見ていると周りの大人たちがひそひそと話し始めた。話の内容は「殺された男は連続ひき逃げ犯だから、 殺されて当然」と言う声が多かった。 恐らく、 殺された男は私の両親を殺した男だと思う。 でも、 何故逮捕されなかったのか気になった。


「少年の名前は青柳 蛇之 10歳、 現在逃走中です! 彼は国家反逆罪を犯したテロリストです!見つけ次第殺してください!」


 そこには蛇之の姿が映っていた――ただ、 彼が何で人を殺したのかよくわからない――


 私はため息をつき、 自分の部屋に戻った。


「エメちゃん! お人形さん作ってみない?」


「作り方わからないからヤダ」


「じゃあ作り方教えるから一緒に作ろう?」


 看護婦がどうしてもやりたがっていたので私は頷いた。 すると、 看護婦が急いで何処かへ向かった。 彼女が私に優しくしてくれる理由がわからなかった――そう考えながら窓を見つめた。


「エメちゃんお待たせ!」


 看護婦は嬉しそうな表情で入室した。 手には裁縫セットに白の羊毛、 綿、 黒色のボタンを持っている。


「糸は裁縫セットの中にあるから待っててね」


 看護婦は裁縫セットを開け、 針に糸を通した。


「ねこちゃん作りたい……」


 私がそう呟くと看護婦は一緒に作ってくれた。


「可愛いね!」


 看護婦は微笑みながらそう言う。


「thank you!」


 私は笑顔で看護婦にそう返答した。


「私ね~子供の頃、 人形や子供用のお洋服を作りたかったんだけど、 家の都合で看護婦になったのよ~」


「へぇーそうなんですね~」


「でもね、 時々後悔しているのよ……本当にこれで良かったのかって」


 看護婦は俯いた。 そんな彼女の頭を撫でた。 大人でも悩む事はあるんだね……


「お姉ちゃんはまだやり直せるよ~」


 看護婦が泣きながら私に抱き着く。


「エメちゃんはいい子ですね~お姉ちゃん23歳だけど頑張ってみるね~」


 看護婦が頬すりをしながら甘えて来た。 心が温まるからとても嬉しかった。


 数ヶ月後、 最悪な出来事が起きた――


「君がエメラルドちゃんだね……君を我が孤児院に迎え入れる事になった」


 中年太りの男が私の病室に入ってきた。 何故か顔は見えなかった。


「そんなの聞いてない」


 私は必死に首を振った。 すると、 男が一旦病室を出てある物を見せてきた。 それは乳房を切り落とされ、 両目を抉られ、 お腹から腸が飛び出しているあの看護婦だった。 それを見て私は白くて黄色く、 中に溶けかけの人参やジャガイモが入った液体を吐き出した。 私の近くにいるとみんな不幸になっちゃうのかな? 嫌だよそんなの――


「じゃあ行こうか」


 男はスタンガンで気絶させて何処かに連れ去った――私は目覚めるとそこは独房のような部屋だった。 綺麗なベッドは1つあるだけで後はコンクリートの壁と鉄の扉だけだった。


「よかった……」


 幸いな事に私が作ったぬいぐるみは近くにあった。


「エメラルドちゃん〜おじさんと一緒に遊びましょ〜」


 私を誘拐した男が私を強引に連れ出した。


「は……離して!」


 私は必死に抵抗したが全く歯が立たなかった。


「君は悪い子だね……お仕置きが必要だ……」


 男は私のお腹を思いっきり殴ってきた。 その後、 粘々とした血液を吐いてその場で俯いた。


「ほらほら拭かないと……」


 男は私の髪を強く握り、 私の顔で血液を拭き始めた。 私はとても辛く、 死にたいと思った。


「ごめんなさい……ごめんなさい!!」


 私は泣きながら謝ったが男の耳には届かず楽しそう私をいたぶり、 首を絞め始めた。 苦しい……誰か助けて――


「エメラルドちゃんは可愛いねぇ~」


 男は気持ち悪い声でそう言うとさらに力を入れて来た。 私は泡を吹いて気絶しかけた。


「エメラルドちゃんにはもうこれは必要ないね~デュビデュビデュビア! 」


 あの野郎は私が作った人形を目の前で破きやがった――とても耐えられなかった。すぐさま自分の部屋に飛び込み、 鍵をして喉が張り裂けるような大声で泣き叫んだ。 大切な物を壊されてここまで辛い思いをしたのは初めてだよ……


 それから1日が経ち、 部屋をバールでドアを叩かれたり、 私を罵倒する声が聞こえたりしたが、「ごめんなさい……ごめんなさい……」と罵倒していた人たちが泣きながら私に謝っていた。 なぜなら、 この子たちは私を部屋から出さないと暴力を振るわれ、 最悪殺されてしまうからだ。


 別の日、 あの男が私の部屋に入り込んで笑顔で顔を何度も殴り、 頬を舌で舐め始めた。 私はあまりの臭さと気持ち悪さに、 近くのトイレに逃げ込んで嘔吐した。


「こらこら逃げちゃだめだよ! エメラルドちゃーん」


 男は過呼吸をしながら私を探している。 私は息を殺しその場にとどまった。


「隠れても無駄だよ……デュビデュビデュビア!」


 男は私のいる個室を何度も何度も叩いてきた。 早く……どっか行って……


「fuck you die! おえっ……」


 私はまた泣きながら嘔吐した。


「もういい飽きた……」


 男はその場を離れた。 私は恐る恐る外を見てトイレの水を流して個室を出て、 水道の水で手を洗い、 次に頬を洗った。 私は辺りを見渡して脱走しようとしたが男に見つかってしまった。 その夜多くの孤児たちが食堂に集められた。 皆とても怯えていた。


「どうした小娘! 元気がないぞ! オラ!」


 男は笑いながら私の髪を持って引きずりながら孤児たちの方に向かって行った。 長い間引きずられたため膝の皮が剥げ、 白い肉が見え、 黄色くて透明な汁が傷口から流れ出た。


「えーこの子が例の問題児なので私がお仕置きをしました」


「嘘つくな! ゴキブリ野郎が!」


 私が大声でそう言うと男は私の首を掴みスッと離した。 奴は私のお腹を殴り壁に激突させた。 強烈な衝撃が前と後ろから来た、 失禁と嘔吐をしてしまい、 鼻と口と涙腺から大量の血液が流れ出た。


 男は私の顔を痣ができるまで何度も殴り続け、 乳房を強くつねる。


「痛い!! やめて!!! いやぁあああああ※※※!!!!」


  痛さのあまり、 喉が痛くなるほど絶叫してしまった。 ボロ雑巾になった私は手当もされずその場に放置された。


 幸いな事に警備員が居なかったので孤児院という名の地獄から抜け出した。 あそこにいるくらいなら死んだ方がマシ


「に……逃げないと……」


 私は血反吐を吐きながらひたすら歩いて行った。 水分は川から摂取して食べ物は果実で凌いでいた。


 その後、 私はお兄ちゃんと同じ児院に入った。 初日に孤児院の皆に自己紹介をさせられるが、 私は院長さんの後ろに隠れていた。


「は……初めまして…エメラルド・メイデンヘアー・ツリー・ボアです!」


 私は怯えながら自己紹介をすると、 その場に居た全員が拍手をしてくれた。 なんでだろう……少し嬉しい!


「みんな~仲良くするように!」


 院長さんの一声で他の孤児たちが「はーい」と返事をした。


「エメラルドちゃん一緒に遊ぼ!」


 猫都ちゃんが話しかけて来たが、 私は無反応だった。


「あら~どうしたの?」


 雀ちゃんが私の頬っぺたを触って来た。


「かなり細いね……ちょっとお粥持って来て!」


 雀ちゃんが蛇之に指示すると、 すぐさま食堂へ向かいお粥を持って来てくれた。


「はーい! 口開けて!」


 蛇之が私にお粥を食べさせた。 すると、 少し表情が和らいだ。


「美味しい! もっとちょうだい!!」


「ハイハイ…おかわり持ってきますよ!」


「うん!お願いね!」


 それから、 数日後――みんなでショートケーキを食べながらお茶をしていた。


「エメちゃんってどこ出身だっけ?」


 猫都ちゃんがそう聞いてきたので「イングランドのロンドン!」って答えたら。


「あ! イギリスか!」


 蛇之がそう答えた同時に「イギリスって言うな!」と答えてしまった。 他の皆はクスクスと笑った。このひと時がとても幸せだった――


 *


「エメちゃん起きて!」


 青龍がエメラルドを必死に起こす。 すると、 エメラルドは脂汗をかきながら青龍に抱き着いた。


「過去の夢を見ていたの……」


 エメラルドはふらついていた。


「へぇー」


「”へぇー”じゃない!!」


 エメラルドは青龍の背中を強く叩いた。 すると、 青龍は子供をあやす様にエメラルドの頭を撫でた。


「龍さん大変です!」


 スーツを着たベリンが緊迫した様子で青龍の部屋に入って来た。 この時、 まさかな事態が起きていた。


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