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武田慎二さんの悔い

 おや? 真夜中の公園に1人の男性の影があるようですね。

 こんな時間に何しているのでしょう? ちょっと覗いてみましょう。


 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

「ぷはぁぁ〜酒はいつでも美味い!」


 今日はめでたい日だ! 俺の頑張りが認められて課長に昇進したいい日だ! たまにはと思って外で飲んでるけどなかなか乙なものですな〜

 これで嫁さんとかいたら家で楽しく飲めるんだろうけど、そんな人もいないから今日も1人で飲みまーす!

 今まで大変なことも沢山あったけど、全部がいい思い出だったなぁ〜! 大学受験も就活もなんだかんだ大変だったけどいい経験だ!

 そういえば社会人になってから初めての飲み会でトイレで吐いたんだよな〜あれも経験経験。

 それから〜


 ・・・・・・・・・


 あ、やばいこの感じはやばい、思い出さないようにしているのに逆に意識して昔を思い出してしまう感じ。最近は仕事が上手くいってたから思い出さないでいられたのに。思い出したくない記憶。


『ねぇ助けてよ、もうあんたしかいないの・・・』

『・・・ごめん』


 そう震え声で言いながら俺に助けを求める少女。中学当時俺が好きになった初恋の少女。

 そしていじめによって自殺してしまった少女。

 少女が自殺してから、俺のせいでは無いと言い聞かせてきたがたまにこうして思い浮かべてしまう。


 もしあの時手を差し伸べることが出来たら、もしあの時今の俺の知恵と力があれば・・・あの子を救えたのだろうか。


 こんな事考えても妄想だと分かっている、けどどうしても考えてしまう。

 自分には何かできたのではないか・・・対抗策を一緒に考えることが出来たのではないかと。


 こんな悔いを残してもしょうがないと頭では分かっている。けどもしあの時に戻れたのならあの子を救えるのかな。


 な〜んてねこんなの考えても無駄無駄、この先俺はこの後悔を一生抱えながら生きていくんだ。

 あっちで会ったならその時は謝りたい。あの子はあっちで幸せになってるのかな〜

 もう一度会いたいな〜


「もう一度会いに行きますか?」

「は?」


 視線をあげるとそこには黒スーツに矢の刺さったハートの面を被った男が俺の前に立っていた。


「なんて?」

「もう一度その時に戻りたいですか?」

「あー宗教勧誘なら結構で〜す」


 何だこの人、こんな深夜に怖いやつだな。こういう奴は関わらない方が良いと社会に揉まれ学んだ。


「もしもう一度中学校からやり直せるとしたらどうしますか?」

「あ〜そうだな・・・不甲斐ない自分をやり直すかな? でこんな事聞いてなんになんの?」


 人が気持ちよく酒飲んでる時になんだこいつ。早くどっか行ってくんないかな。


「ではもう一度その時へ戻して差し上げましょう」

「おうやってくれやってくれ! 出来るならやってみろ!」




 では行ってらっしゃい

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