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採用試験

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早速ですが、カレラの戦闘回です。

 第六十部、第三章第六話『採用試験』です。どうぞ!

「それでは、採用試験をはじめます」


 受付で俺たちの対応をしたお姉さんがそういうと、カレラは槍を構えた。せめてもの選別として領主から預けられたものだ。星銀の剣ほどではないがかなり強力で、俺が持っている鈍らの四倍以上の攻撃力を誇る。まあ、これはこの鈍らが弱いだけだと思うがな。


 試験を担当する教官はガタイの良い四十代半ばの男だ。ガタイがいいと言ってもムキムキとかではなく、程よく筋肉がついている感じである。身長は百九十くらいだろうか。百六十五くらいのカレラと比べるとかなり開きがある。

 そんな教官は見た目通りパワー型であるようで、体験を地面に突き刺して佇んでいる。

 名をキーレ。この冒険者ギルドを中心に活動している熟練冒険者だそうだ。


 冒険者には等級があるらしい。下からE、D、C、B、A、Sという順だ。彼はそのAで、かなりの実力者らしい。なんと、その手でドラゴンを葬った経験があるんだとか。うん、人間にしてはすごいな。

 で、実は魔獣にも等級があるらしい。冒険者の等級は単独で同じ等級の魔獣を倒せる、という指標らしい。ちなみにドラゴンの等級はSらしい。……そう考えるとすごい、のか? まあ、相性というものもあるだろうが、だったらSにしてやっていいのではないだろうか。

 さらにちなみに、ブラックファングはB級上位らしく、一匹倒すだけでもなかなか骨が折れるらしい。そうなると俺はAくらいか? Sでもおかしくないか。


 相手のステータスを確認したらかなり高かった。

 攻撃力などは500に達しているし、スキルの数も練度も高い。固有能力は投擲する者と言って自分のこぶしに収まる大きさのものを投げた時の飛距離が伸びるとかいう大剣使いと相性の悪いものだったが、逆に言えば固有能力を使わないでこれだけの強さなのだからすごいな。


「キーレ様、よろしくお願いします」

「ああ。……いや、それにしてもカレラ様と手合わせできるとは、光栄だ」

「え? ……私をご存じなのですか?」


 キーレはどうやら彼らを知っていたようだ。


「それはもう。その年で、それも女性で騎士の称号を与えられた天才剣士。そう呼ばれるあなたの噂はかねがね。お父様の件に関しては同情を禁じえませんが、元気そうで安心しました」


 そんな風に呼ばれているのか……。というか、情報が速いな。領主さんを襲った悲劇を知っているらしい。さすがは優秀な冒険者だな。


「どうしてですか?」

「簡単な話だ」


 カレラの問いに、キーレは薄く笑みを浮かべてこう返す。


「お父様の件であなたが元気をなくして、その才を無駄にしてしまうことがなくて、私は嬉しい。それだけだ」

「そう、ですか。……いえ、そうですね。私ような天に才を与えられたものが使命を放り出すなど言語道断。私も、あなたのような腕のいい冒険者と手合わせできて光栄ですよ」

「ははは、そう言ってもらえて何よりだ。……さて、早速ですが後が詰まっているようなので早く始めてしまいましょうか」


 キーレは一度ギルドの壁にもたれかかって様子を眺めていたリルたちを見ていった。


「そうですね。改めて、よろしくお願いします」

「こちらこそ」


 場所はギルドの裏側、公園のように整備された演習場の一角。それはまるでポケットなモンスターを戦わせるコートのような広さのフィールド。

 白色に淡く輝く魔法陣のようなもので囲まれたそのフィールドを出たら負け。戦闘不能状態となったら負け。勝てないと判断した場合降参も許されるものとする。

 それだけがルールで、他には決め事などない。相手を必要以上に痛めつけてはいけないなどのルール説明もされなかったのでやろうと思えば相手を殺してしまうことも可能っぽい。まあ、やらないが。


 そんなフィールドの端と端。そこでカレラとキーレが対面していた。お互い戦闘準備は万端で、合図を待つのみとなった。


「これより採用試験の模擬戦をはじめます。では――」


 よく通る声でそういった後、受付嬢は腕を掲げた。そして――


「始め」


 カレラとキーレの戦いが始まった。


 最初に仕掛けたのはカレラ。得意のリーチを生かして柔軟に立ち回ることで大剣使いのキーレをかく乱することもできるだろうが、相手の力量がはっきりと読めていないうちに行う定跡は安定行動となりえない。そのことをよく理解しているらしいカレラは、槍の刃の先端のぎりぎりで突くようにして攻撃をする。

 狙いは胸元だろうか。踏み込みすぎず真っすぐに突けるため狙いとしては良いと思ったが、そこは熟練冒険者のキーレ、瞬時に地面に差していた大剣を引き抜いてはじく。槍は弾かれるままに弧を描くが、カレラはしっかりと柄を握り手元に引き寄せて再び構える。

 それを見届けてから、キーレも大剣を構える。


「《ストレートストライク》」


 ここで、カレラが槍術を発動する。槍術Ⅰで使える技、ストレートストライク。直線的な突きを放つだけの技ではあるが、その一撃は早く、そして重い。

 先程と同じようにリーチの差を生かすため、最大射程の先端で攻撃する。キーレは慌てることもなく大剣の腹の部分で受け止めた。

 かなり鋭い突きに見えたが、キーレからしてみれば見切るのは容易だったようだ。そして、ついにキーレが反撃に動く。


 一歩踏み込み、こちらも剣先がギリギリ届くくらいに大降りで攻撃をする。

 今のキーレは全身隙だらけだが、一歩の踏み込みによってカレラを間合いにとらえている。カレラの腕ならばこの隙だらけの攻撃に対してキーレを突くこともできる。だが、それをすればカレラは手痛い一撃を受けることになるだろう。

 カレラは冷静に判断を下す。相手の間合いの外側に出るために、一歩外にステップを踏む。これで大振りな攻撃をかわすことはできた、が。そんなことを読めないキーレではなかった。突如、大ぶりな攻撃を変化させたのだ。


「《ライナーカット》」


 剣術Ⅳで使える突き技。その名の通り、と言ったらおかしいかもしれないが変化球として使うことができる。どんな行動よりも優先される突き技で、体の骨が折れようが絶対に真っすぐ突く。戦闘の心得がないものが使っても強みにはならないが、使うタイミングと用法、特性を理解している強者が使うとその凶悪性はものすごい。

 いつ、どんな角度で突きが放たれてくるか分からない。そんな恐怖を常に感じていなければならないからだ。相手がライナーカットを使えるのだとわかった時点で、警戒せずにはいられないからな。しかし、警戒しすぎると動きが鈍る。そのすきを突かれれば終わりだ。だからと言って自分のペースを貫いていたらいつから正面から突き刺される。

 その技が使えるだけで、使い方を知っているだけで好きなどないに等しい。どんな最悪な状況からでも無理やり相打ち以上に持っていく、という性能上、使い方によっては剣術上最も凶悪な技となる。


 だが、先ほど述べたようにこの技は大抵の人間が使いこなすことができない。俺も使い方はなんとなくわかるけど使いこなせるわけではない程度なのでよくわからないが、実際に使われたら驚くだろう。ライナーカットの存在を知らなければ、なおさら。

 カレラはきっと、ライナーカットなど見たことがないはずだ。というか、知らなくてもおかしくない。だって誰も使わないのだから。その扱いの難しさからして、誰かに教わることもないはずだ。


 だからだろうな。反応が遅れた。

 バックステップを踏んだ直後だったため身動きが取れず、躱すことなど不可能。体を無理やり捻っても、下に流れたところで大剣を叩きつけられれば終わりだ。

 確実に首を狙った大剣は、何の抵抗を受けることもなく、カレラの喉元に突き付けられる。


「っ! ……こ、降参です……」


 それで自分に勝ち目がないことを悟ったのだろう。カレラは潔く負けを認めた。それを聞いたキーレは大剣を下ろし、それを確認したカレラは小さく息を吐く。


「さすがですね、キーレ様」

「っふ、私も伊達に年を重ねていないのでね。いくら才女と言っても君のような少女に負けるわけにはいかないのだよ」

「そうですよね。お手合わせ、ありがとうございました。……それで、その――」


 カレラが口ごもっているのは試験の結果について、だろう。負けてしまったが、合格はもらえるのか。そう聞きたいのだろう。

 それを察したらしいキーレは、満足げな笑顔で告げた。


「もちろん合格だ。動きは洗練されていたし、判断力も申し分ない。あとは実戦を積めば絶対に優秀な戦士になれるだろう。いや、もう騎士だったのだな」

「いえいえ、私なんてまだまだ未熟です。騎士拍はもらっていますが、実際に戦場に出ることは許されていませんし……。訓練兵みたいなところなのでいつ収集がかかってもいいように、日々精進していく所存です」

「ああ、頑張れよ。……ってことで、頼みますよ」

「はい、かしこまりましたキーレさん」


 キーレの言葉に一つ頷いた受付の人は、高らかに宣言した。


「ここに、カレラさんが冒険者として活動することを許可することを宣言します」

「ありがとうございます!」


 こうして、カレラが冒険者になることが決まった。

 さて、じゃんけんの結果無事勝利を収めたカレラが最初に試験を受けたわけだが……次は俺の番だ。と言っても、相手をするのはリルだがな。


「よろしく頼むぞ」

「ああ、よろしく」


 これは大変見ものである。

 戦闘回、と言ってもこんなもん。本格的に書こうとするとどうしても文字数がかさんでしまう……。悪いことではないと思いますが、私みたいに文章を書くのが下手だとくどいだけでつまらないものになってしまいそうで……。そんなわけで、これから戦闘は簡潔に終わらせようと思います。(この作品の趣旨と真反対)

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