褒美と頼み
今日ブルーアーカイブというスマホゲームをプレイしました! キャラがかわいくて最高でした!
9700pvを突破しました! ほんとに明日までに10000pvになるのでは? と期待している私がいます。
第五十七部、第三章第三話『褒美と頼み』です。どうぞ!
「では、今回のお礼をさせてもらおう。ただ、こちらで決めてしまうのも忍びない。現金、貴重品、情報。私にできることならば死力を尽くすと約束しよう」
貴族街の屋敷についた翌日の朝、俺たちはさっそく領主に呼び出されていた。
領主の話を直接聞いたほうが楽だろうと思い、今回は半人半魔状態だ。それで今は俺が屋敷の応接室で領主と対面している。机を挟んで反対側にいる領主は目元に隈ができていてかなり疲れているようだ。昨晩は寝ずに報告書をまとめたりしていたらしい。
それなのに俺たちの対応もしようと思えるのだから本当にすごい。こんな優秀な人材を失うというのは国家としても痛手なのではないだろうか。いや、今この領主にどれくらいの権威が与えられているのかはわからないが、もしかすると力を弱らせるだけで雇用し続けるかもしれない。
むしろ、領主としてでなく王都で働くのなら国にとっては好都合かもしれない。そう言う卑怯っぽいことを考えるのが偉い人だという認識がある俺だと、そんなことを疑わずにはいられない。まあ、別に卑怯でも何でもないと思うが。
さて、そんな領主に俺たちは褒美の選択肢を与えられた。かなり感謝しているらしく、言っていることは正直言ってやばいだろう。オリィの領主の死力を尽くした褒美など普通に生きていれば一生涯与えられないほどの名誉だろう。
そんな重要なことを俺が決められるわけもなく――
(リル、どうする?)
(我としては情報だけ受け取ろうと思うがどうだ? 多くの資源や金銭は魅力的だが受け取ってしまえば変に目立つかもしれない。情報をもらい、我達のことは他言無用としてもらう、というのはどうだろう)
リルの言う通り大金やら貴重品やらを受け取ってしまうと変に目を付けられてしまう可能性がある。それは困るので情報だけを頂く、というのは良案だろう。だが、それはそれで問題があるような気がした。
(いや、それもそれでやばそうだぞ? 情報をもらうってことはこちらから欲しい情報を提示するってことだろう? 問う内容によっては怪しまれないか?)
(む、それは考えていなかった。いや、考慮しなかったわけではないぞ? だからあまり踏み込んだ情報は聞かないようにしようと思っていたが、内容によってはこちらに前提知識があるように捉えられてしまいかねないと思っただけだ。この国の常識がよくわかっていない我らが不躾に質問すると問題があるようなものもあるかもしれないからな。では、どうすればいいだろうか)
(うーん)
俺もとりあえず助言しただけでほかにいい案があるわけではない。何がいいか、一人、というか一人と一匹で考えていると、領主が声をかけてきた。
「悩まれているようですね。では、こういうのはどうでしょうか。これからこの王都で行われる武闘会に私の推薦で参加する、というのは」
「武闘会?」
「はい」
武闘会というと闘技場のような場所で自分の強さを示すために誰かと戦う、みたいなものだろうか。俺たちがそれに出るとどんな良いことがあるのだろうか。
俺が考えていたようなことをリルが聞くと、領主はこう答えた。
「その武闘会には国が援助を行っていて、優勝賞品はかなり豪華なのだとか。その代わり有名な戦士や国の兵士、もしくは貴族の推薦をもらった方々しか参加できないのです。私は出たことがありませんし、推薦を出したこともありませんが、あなたならば実力的には問題ないでしょう。武闘会には王族の方々もいらっしゃいますし、実力を示せばこの国の王族との間に関係を築くことも可能でしょう」
長々と説明してもらったが、要するに武闘会に参加すればいいことばかりだぞ、ということだろう。まあ、王族との関係を築いて悪いことはない。ありえないとは思うが王城にでも招かれればリルの情報収集もやりやすくなるだろうし、国についていろいろと学べるかもしれない。
怪しまれたら終わりだが、大貴族の推薦で参加した武闘会で結果を示せばある程度の信用を得られるかもしれない。
「優勝しなくても上位になればなるほど商品は良くなります。きっと、今の私ができる全力よりも良いものを、あなたの実力ならば得ることができるでしょう。……どうしますか?」
「そうだな。領主殿も急がしいのだろうし、あまり考え込んで時間を無駄にするのも忍びない。そのお誘い、喜んで受けさせてもらう。武闘会参加への推薦状を、我は褒美として要求する」
「はい、心得ました。すぐにでも発行させましょう。そうは言っても今日中に、とはいかないと思いますのでもう一晩、この屋敷で過ごされてはどうでしょうか。もちろん、私たちは心より歓迎します」
「では、お言葉に甘えさせてもらおう。発行が終わるのは明日、ということか?」
「恐らくは。そうしたら、あなたはどうするのですか? 当てがなければ、よい宿屋を調べさせておきましょう」
「そんな、何から何まで。……と言っても、我らにいい案があるわけではないのは事実だ。頼んでもよろしいか?」
「もちろんです」
領主は柔和な笑みを浮かべると、背後の昨日会った執事の男性に声をかける。すぐに執事は動き出して部屋をです。きっと、早速仕事に取り掛かってくれるのだろう。忙しいだろうに、ありがたいことだ。
「では、先日の悪魔の件についての話は、終わりにしましょう。本当にありがとうございました」
「いや、我の力不足で何千もの兵士を死なせてしまった。そんな我でも丁重にもてなしてくれたことにこそ、我は感謝を言いたい。心より、感謝している」
「ははは、謙遜を。あなたがいなければ私はもちろん、街に残っていた領民も、他の兵士たちも、私の使用人たちもすべてが悪魔に蹂躙されていたでしょう。あなたのおかげで、最小限の被害で悪魔の侵攻を免れられたこと、本当に幸運だったとしか言いようがありませんでした」
あれだけの死者が出て、最小限。違和感よりも、納得が先に来たのはどうしてだろうか。普通なら兵士の九割以上も死なせれば大戦犯だ。許されることではない。でも、この悪魔の侵攻に対してはしっくり来てしまった。
ただ強大な敵が一体いるよりも、ある程度強い敵が多数で攻めてくるほうが、守る側では厄介だということを俺は知らなかった。守る立場で、多くの人を守らなくてはいけないとき、敵が何人もいると手に負えなくなる。そうなると、助ける人を選ばなければならなくなる。目を逸らしていた、というか考えないようにしていたことを再認識してしまった。
もし、俺に守りたいと思える人が何人もいた時。そして敵が何十という数で攻めてきたとき、俺は正しい判断ができるだろうか。守りたい人たちを、守れるだろうか。と言っても、今守りたい相手筆頭格であるかなは、俺よりもはるかに強いんだがな。
「そうか。そこまで言うのなら、その感謝は素直に受け取っておくとしよう。して? 悪魔の件についての話は終わりといったが、他に何かあるのか?」
「ええ。少しだけお願いがありまして……」
「願い? 我にできることならば、構わぬが……」
「では、私の個人的なお願いです。娘を、頼まれてはくれませんか?」
領主がその言葉を言った途端、俺は何だか波乱の幕開け的な予感を覚えた。
「娘?」
「はい。私の実の娘を、あなたに任せたいのです。私が降格処分以上の罪状を受けるのはすでに決まったようなもの。ですが、私の妻と共にこの王都の別荘で暮らしていた娘には何の罪もありません。私が降格処分を受けることで彼女の幸せを奪うなんて、到底耐えられない。齢十七の娘で、礼儀作法は完璧。知性も優れています。王立魔術学校を次席として卒業しているだけの魔法の実力もあります。あなたには到底及ばないかもしれませんが、旅路の役には立つと思います。物分かりが良く、飲み込みも早いので荷物持ちや家事もすぐにできるようになるはずです」
「はぁ……」
「難しいことなのは、重々承知です。ですが、オリィをすくった大英雄にしか、命の恩人にしかあの子を任せることはできないのです。どうか、ご検討ください。今日一日じっくり考えてくれると幸いです」
「なるほど……」
「よい答えを、期待しています。」
領主は深々と頭を下げて、そう頼み込んできた。
やりたいことを昨日決めたばかりなのに厄介ごとに巻き込まれそうになるのだった。
新キャラ登場!?な次回をお楽しみに。
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