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合流

 どうもシファニーです。お久しぶりですね。最近は短編書きまくって気分転換してます。気が向いたら投稿します。


 第二百八十四部、第八章第三十七話『合流』です。どうぞ!

 長々と続く残党狩り。亜人国に攻めて来た邪神教の連中の亡骸の山を見下ろしながらため息を吐く。その息で、飛び掛かって来た邪人を骨も残さず蒸発させた。その背後では、城すらも超える大柄な燃えカスが倒壊し、散り散りになって風に舞った。


「ったく、妨害魔法が立派なだけで実力の方は大したことないわね」

「ど、どうしてこのようなことに……っ!」


 フードでその表情は見えないが、明らかに激昂しているのが分かる。肩を震わせ、言葉には怒気が籠っている。


「このヘルン、御神のお導きに従って参ったというのに、この、邪魔者めが! この狼藉、我らが御神はお見逃しになりませ――」

「うっさい」


 司祭、と言ったか。所詮は人の子。多少の力は持っているみたいだけど、雑魚中の雑魚だ。聖人にすら至っていない人っ子一人に私が負けるわけはない。

 もぎ取った頭の破片を手の内で蒸発させながら、私は辺りを見渡す。黒く染まった空にひびが入り、明かりが漏れ出している。僅かに覗く青空の破片が降り注ぐように照らされた地面の上で、私は一人空を見上げる。


「真っ暗闇の中……ルナの方がお似合いだったのに」


 ほんの少しだけ残念に思う。あの子の探し求めた真の暗闇を、どうやらあの邪神は実現できるらしいから。


「ネルは、一旦放っておきますか。今は一先ず、司の所に行きましょうか」


 徐々に大きくなっていく空の隙間から感じる幾つかの気配の中に覚えがあるものがある。知らない勇者の気配もするけど、敵ってわけじゃなさそう。一番気になるのは、リリアの気配。なるほど、やっぱり生きてたか。

 どういう経緯で司と同行することになったのかは分からないけど、話を聞かないといけない相手が出来たわね。でもそれもこれも後回しだ。今は国家間の争いの火種になりかねない存在を、私の炎で燃やし尽くさなくてはいけない。


「まあ、多少は面白くなってきたわね」


 やがて崩壊した暗がりを抜けて、私は亜人国と獣人国を跨ぐ国境の戦場へ向けて空を駆けた。


「で、今に至るってわけね」

「あらまし解説ありがとう。求めた覚えはないけどな」


 ソルが合流した。

 合流するとともに大爆発した火力によって邪神教連中の戦力の九割が消し飛んだことを除外すれば起こった出来事はそれだけだ。

 まあ、どういう理屈かソルが焦がした大地の上には次々に魔人が復活しているのだが。邪神の力も増しているってことなのかね。今の俺には分かりかねる。それでも、厄介だってことくらいは分かる。


「しかし、ソルでも破れない結界だったのか?」

「以前邪神教の教会でやられたのと同じような結界だったわね。破ることは出来ない。と言うより、結界内が別世界に隔離されているから破る、と言う概念が存在しないらしいわ。どれだけの魔力をぶつけても虚空に消えて行った」

「それは何とも、厄介極まりないことで。スキルとか権利で何とかなりそうか?」

「無理ね。でも今回はまだましよ。邪神一匹で解除できる」

「おお、それは朗報だ」


 迫りくる魔人の軍勢を眼前に、俺たちは呑気にそんな会話を続けているわけだが。俺の背後でリリがうずうずとしていた。伸ばしかけた手を引き戻し、伸ばしてを繰り返した。まあ予想は付くな、ソルに話し掛けたくて仕方ないのだろう。

 ソルもその様子に気付いてか目配せし、俺もそれに応えて一つ頷く。


 確か、初代リリアとソルは旧知の仲だったか。


「それで、リリアは何をしているのかしら。てっきり死んだと思ってたわよ」

「そ、ソル様……覚えていてくれたのですね」

「長命種の記憶力を舐めないことね。千年くらいなんてことはないわ」


 振り返って笑ったソルに、リリアは嬉しそうに笑みを浮かべながら涙すら流しそうなほどに瞳を震わせていた。


「お目覚めになられていたのですね。本当に良かった」

「お互い様よ。まあ、まだまだ安心は出来そうにないけどね。ネル、大変なことになってるんだから」

「大変なこと、ですか?」

「俺も気になるな。俺にはまだ亜人国の状況がいまいち分からないんだが」

「そうねぇ……まあ、一先ずこの場を収めましょう。殲滅するわよ、たった一欠けらの灰も残さず」


 顎に手を置いて悩む仕草を魅せたソルは、それだけ言って前を見据える。


「神殺し、何度目かしらね」


 本当に愉快そうに笑うソルの笑みを見て、やっぱり安心している俺がいて。それよりなにより、その美しすぎる笑みに隠れた殺意を前に、どうしても怯える俺もいた。

 まあ、いつものことなんだけど。

 葬送のフリーレン、やはり話題になるまくり、そして面白いですね。私は大好きです。


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