双子の勇者
どうもシファニーです。最近は不規則な気温や気候で風邪を引きやすくなっています。私ですか? もちろん寝込んでます、風邪で。
第二百二十九部、第七章第二十話『双子の勇者』です。どうぞ!
ヘイルの叫びで一瞬動きが止まったのもつかの間、壁を上ってきている邪人たちはなおも進行中で、もうすぐこちらまでたどり着こうとしていた。
「ちょ、ちょっと何よこれ!」
「さあね、俺も困ってるところだよ」
「……何かの実験場か? あの人間たちは明らかに理性を失っている。国家機密じゃないのか?」
「う、嘘でしょ!? 亜人と戦うって言うから協力してるのに、こんなの聞いてないよ!?」
と言った風な反応からして、こいつらはやはり知らないのだろう。
「こいつらはもう人間じゃない。邪人、って存在だ」
「邪人? なにそれ」
「簡単に言えば邪気を浴びて力を得た代わりに理性を失った生き物だ。そして、そいつを操ってるやつが、あそこにいる」
俺が指さす先、フードで顔を隠すそいつを見た途端、ヘイルは再び叫び出す。
「ああ! あいつヘリンとか言う司祭だよ! まさか、ここを隠すために私たちを呼び寄せたの!?」
「……国王からの紹介だったから、怪しいと思いつつついて来てみれば……。これは、国王もグルだったっぽいな」
「国王って、サキュラのか?」
スーラが興味深いぼやきを漏らしてくれたのでダメもとで聞いてみると、案外あっさり答えてくれた。
「いや、リセリアルのだ。ったく、面倒なことをさせてくれる」
「なるほどな。やっぱり邪神教とリセリアルは繋がってたか」
「……聞きたいことは山ほどあるが、お前はこの数の相手が出来るのか? 最悪、応援を呼ぶって手立てもある」
「いや、大丈夫だ。それに、俺の仲間が複雑な状況でな。ここを離れるわけにはいかない」
さっきは渋っていたスーラも、状況を見た途端俺に話を合わせてきた。勇者、って存在を俺はなめていたかもしれない。
少なからず、一部か大部分かは分からないが黒江と同じように邪悪な気配を見分けることが出来るらしい。要するに、欲に負けたやつらではないということだ。
「それじゃあ、一掃しちゃおうっか! 邪人になっちゃった人には申し訳ないけど!」
「躊躇している暇はない。この数がどこであれ暴れ出したら罪無き命が危ういだろう。それに、あの司祭には罰が必要だ」
「そう言う覚悟なら、協力してもらうぞ。ヘイルっての、大規模魔法で焼き払えないか?」
「指図されてるみたいで、癪に障るけど……そんなことも言ってられないよね! 行くよ! 《アトモスフィア・ブラスト》ッ!」
俺の言葉を受けて、ヘイルは一瞬嫌そうな顔を浮かべるも大気を震わす大技で壁を上ってきている邪人たちを薙ぎ払った。
「さ、スーラ行くよ!」
「おう」
と、その時点で俺がどうこう言う前に二人は大穴の中に飛び込んで行ってしまった。
「……まあ、仲間なわけじゃないからな。好きにやらせるか」
それに、あの二人は顔も体格も似てもないのに双子なんて名前使ってるくらいだ。それに、勇者が多いリセリアルの王都でも有名だったという話だ。二人そろって戦ったら、その戦闘力はとんでもないものになるのだろう。
そして、ちょうどいいタイミングでヘイルがフードを脱ぎ去った。
「こんなもの、もういらないわよ!」
「ふっ、そっちの方がまだましだな」
桃色の髪が揺れるなか、邪人たちの中心へと飛び込んだヘイルは炎の剣を振り回す。
「丸焦げになっちゃえ!」
「俺に当てるなよ」
「分かってるって!」
暴れてるところ申し訳ないが、そのステータス見させてもらうぞ。
種族:人間・勇者
名前:ヘイル:固有能力《双子:同じ能力を持つ者と共にいる時、不規則にステータスが上昇する》
レベル:78
生命力:8013/8013 攻撃力:9298 防御力:7019 魔力:12891/13209
状態:正常
スキル:魔術・自然Ⅶ、魔術・空間Ⅵ、剣術Ⅶ、魔力妨害、魔法耐性Ⅷ、物理攻撃耐性Ⅸ、精神攻撃耐性Ⅵ、即死耐性Ⅲ
権利:基本的生物権、魔術使用の権利、自己防衛の権利
称号:双子の勇者
ほうほう、結構なステータスだな。ん? と言うか今までスーラのステータスを覗けなかったのがヘイルの魔力妨害何だったとして、ヘイルのが見れてるってことはもしや?
種族:人間・勇者
名前:スーラ:固有能力《双子:同じ能力を持つ者と共にいる時、不規則にステータスが上昇する》
レベル72
生命力:9019/9019 攻撃力:10923 防御力:8019 魔力:8091/8091
状態:正常
スキル:属性剣術Ⅲ、属性槍術Ⅲ、属性弓術Ⅲ、肉体変革、魔法耐性Ⅵ、物理攻撃耐性Ⅳ、精神攻撃耐性Ⅵ、即死耐性Ⅵ
権利:基本的生物権、魔術使用の権利、自己防衛の権利
称号:双子の勇者
おお、覗けた。ステータスは似たり寄ったりか。でも、スキルはかなり偏ってるな。
「魔法使いと白兵。極端だけど、確かに二人一緒なら相性はいいだろうし普通に強そうだけど。秘密はそこじゃないよな。固有能力の双子、あれが力の元だろうな」
二人一緒にいると不規則に不規則に強くなる、か。一人じゃ何の意味もない固有能力だが、二人一緒なら化ける可能性がある、なんてありがちな能力だが。
「さて、双子の勇者のお手並み拝見と行こうか」
どうせ混じっても邪魔になるだけだ。ここは、ちょっとばかり見守らせてもらおうか。
今日は公開済みの『この素晴らしい世界に爆焔を!』を一気見していました。もとよりこのすばは大好きな作品だったので楽しみにしていたのですが、今まで見れずにいたところ、やっと見れて良かったと思う今日この頃。楽しい時間を過ごせましたとさ、おしまい()
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