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双子

 どうもシファニーです。私の一日のpvは多くて1000くらいなのですが、先日は投稿すらしてないのにpvが大きく伸びて嬉しかったです。それだけです。


 第二百二十一部、第七章第十二話『双子』です。どうぞ!

 進行方向を女に塞がれ、背後からも気配が迫ってくる。相変わらず尋常じゃない速度だ。


「追い付いた」

「結局、二対二か」

「ん……準備は出来てる」

「それじゃあ、覚悟してね!」


 王都の城下町の家の屋根の上。俺たちは追われる側として戦っていた。


「かな、男の方は任せた」

「ん、楽勝」

「……舐められたもんだ」

「私たち二人に勝てるって言うの?」


 俺とかなは息ピッタリにその場を飛び、それぞれの獲物に飛び掛かる。しかし二人は余裕の佇まいでそんな煽り文句を言ってくる。

 ただ、相手がいくら強かろうとこちらも強者、簡単には負けてやらん。


「当然だろ、勇者!」

「ん? 分かるんだ?」


 言いながら殴り掛かったが、女は簡単に躱してきた。と言うか、今の眼で追えなかったぞ。


「ふふっ、そこそこ腕に覚えがあるみたいだけどね、私たちには勝てないよ」


 気配を消すマントと言えど、あくまで隠す程度らしい。視界の端にでも移れば認識は出来た。どうやら、俺の攻撃を躱して俺よりもさらに高い屋根の上に立っていたらしい。

 女はそう言って、追う業に名乗りを上げた。


「私たちはヘイルとスーラ。リセリアルではそこそこ有名だったと思うけど、こっちだとどうだろうね。勇者双子(ペアレンツ)とは、私たちの事だよ!」

「黙れ、ヘイル。余計なこと喋るなよ」

「うっさいわね、大丈夫よ。どうせこれから捕まえるんだし」


 勇者双子(ペアレンツ)? なんとも恥ずかしい二つ名をお持ちの様だ。それに、口ぶりからして肩書が二人で一つ。よく喧嘩にならなかったな。

 でも、ペアレンツと言うからには息ピッタリだとか二人の連携が凄いとか、そう言うのだろうか。だったら、二対一ならともかく二対二の実力は高いとは言えなそうなものだが……さて、急ぐたびでもないし、リセリアルでは有名だったらしい勇者の実力でも拝見させていただきますかね。


「《アイサファイヤロングソード》」

「おやおや? 何やら格好いい武器を取り出したね? 魔法は使えなくしたはずだけど……」

「やっぱりお前たちの仕業だったか。まあ、無駄だぞ? 俺にその手の妨害は聞かないからな」


 スキル《万全の期》は簡単に言えば最強の防衛スキルの一つだ。無崩の幕が物理的な防衛だとしたら、こちらは精神的、そして肉体的な防御だ。物理的と肉体的の違いだが、無崩の幕は確かに基本的にあらゆる攻撃を防ぐが、それはあくまで外敵からであり、元より肉体に存在する傷害は防げない。

 しかし万全の期は尋常じゃない治癒能力だけでなく精神攻撃無効、状態異常無効、その他妨害の一切を防ぐことが出来る。


 要するに、俺の防御は完璧だった。


「ふむふむ、やっぱりただ者じゃないみたいだね! スーラ、気を抜かないでね!」

「そっちこそ」

「よそ見、ダメ」


 ヘイルと俺は互いの情報を探りたい、と言う意図が合致してか会話を続けているが、実は背後ではかなとスーラと呼ばれる男との激しい戦いが繰り広げられていた。

 一応、かなには奥の手である精神完全支配だけでなく、その他精霊に関するいろいろな能力とかは封印してもらっているのだが、その状態だとしても十分強い。に対してスーラは剣一本、重たい鎧を着ているにもかかわらずかなの動きについて行き、そして互角の勝負を繰り広げていた。


「と言うかスーラ、何手こずってるの? 早く終わらせてくれないと、私困るんですけど」

「静かにしてろ、この鎧重たいんだよ、ったく」

「文句ばっかりうるさいわね、早くして頂戴」


 ヘイル、と名乗った女はかなとスーラとの戦闘に注意を割いていて、不意打ちしようと思えばできそうなのだが、いまいちヘイルの能力が分からない。

 少なくとも魔法を妨害するスキルを持っているのは確かだとして、それだけなら俺と一対一になってここまで落ち着いていられるはずがない。なぜって、どう見ても俺が近接戦闘を主体にするスタイルだってのは分かるだろうからだ。


 ただの魔法使いだとしたら、少なくとも距離を取ろうとするだろう。でも、目の前のヘイルは一歩踏み込めば届く距離にいる。

 それとも、先程も使っていた魔力を感知できない転移、と言うか瞬間移動のようなスキルがそれほどまでに優秀、と言うことなのだろうか。


「で? 結局あなたたちは何が目的でお城に侵入してきたの? なんだか宝物庫だけじゃなくて書物も漁ってたみたいだけど?」

「答えなきゃいけないのか? まあ、強いて言うなら得た力試すついでに金儲け、ってところかな」

「ふーん、あるあるね。と言っても三下なら、ってとこだけど」

「そう言うあんたたちは? ここの人間じゃないみたいだけど」


 かなには悪いが、もう少し会話を続けさせてもらおう。いざとなれば負けることはないだろうし、戦い続けてくれれば実は分割思考で観察を続けているスーラの能力も分かるかもしれないし。


 それにこのヘイルはさっきから色々と喋ってくれている。情報が貰えるかもしれない。


「そうよ、リセリアルから来たの。知ってる? リセリアル。私たちみたいな勇者がたくさんいるんだけど、そんなリセリアルでも私たちは特に優秀だったのよ? 王都じゃ私たちを知らない人なんていなかったんだから! ……で、そんな実績を見込まれて派遣されたってわけ」

「何に派遣されたんだ? そんな凄腕勇者様が」

「おっと、これ以上は言えないわね。あなた、さっきから色々探ってたみたいだけど、私の口がそんな軽そうに見えたかしら!?」

「ま、そりゃそうだよな」


 とは言ったものの実はすでに聞きたいことは聞けている。リセリアルで有名な勇者が、派遣されたのだという。つまり、自分の意志でこちらに来ているのだ。攫われたり、強制的に働かされているわけではない。


 ならば、いよいよ容赦はいらないだろうな。

 最近『死亡遊戯で飯を食う』と言うMF文庫の新人コンテストの優秀賞を受賞した作品を読んでみたんですが、トラウマ級のストーリーにドはまりしてしまいました。第二巻も出ているらしいので、また今度買いに行こうと思います。皆さまも、読んでみてください。

 

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