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ケルベロス

 昨日の夜は着せ恋を楽しんだシファニーです。ヒロインがめっちゃ可愛いんで見てください。

 昨日は1400PVを達成しました! ありがとうございます! 今月も後一週間ちょっと、頑張っていきます!

 第二十二部、第一章第二十一話『ケルベロス』です。どうぞ!

 パッと弾けた赤い光が、ケルベロスの頭の一つを包む。その場で球状に膨らんでいく。こうしてみるとそこまで範囲は広くないようだが、ケルベロスの頭一つを燃やし尽くすことなど容易のようだ。

 やがて炎が消えた時、先ほどまであった首は、消えていた。


「――――――」


 苦痛からなのか怒りからなのか、またもケルベロスが咆哮を上げる。そして我を失ったかのように牙をむき出し、突撃してくる。その巨体が走るだけで地響きが走り、正直ビビってしまった。

 しかしそんなことでやられるような俺達ではなく、左右に分かれる形で突撃を交わす。その際ケルベロスの首の一つがかなに噛みつこうとしていたが、空中後ろ回し蹴りを食らっていた。しかし首がもげないだけでもケルベロスの防御力の高さが分かるな。攻撃力1000越えの攻撃をまともに食らって部位欠損しなかったやつなど初めてだ。


 しかし、ここで分かったことがある。魔法の威力はこちらの攻撃力、相手の防御力に依存しない、ということ。かなの魔法は確かに強力だが正直直接殴ったほうが威力は高いはずだ。

 しかしそんな攻撃は耐えられ、逆に魔法は効果を発揮した。そこから導き出すに、魔法の威力はステータスに依存しないのであろう、という仮説が立てられる。


 まあ、そんな仮説は攻撃力が低いリリアが強力な魔法を使っている時点で立てられるものなのだが、これで確証が得られた、という話だ。つまり、防御力が高い相手であろうと魔法を使っていればいつかは勝てるということだ。

 自然回復を持っているものの、回復速度は一分に生命力が210回復する程度。先ほどのエレメンタルフォース・フレアバーストで生命力が150減ったので、一分間に二回当てればそのうち倒せるということになる。これは、任せきりでもいいのかもしれない。


―――――――――(エレメンタルフォース)――――――――(・アトミックフレア)


 かなの両手に、光が灯る。またも物騒な名前の魔法だが、威力のほどはいかほどか。かなの両手から光が放たれる。その光は弧を描き、ケルベロスの残った頭に向かっていく。しかし魔法がいかに強力か学んだのか、ケルベロスは一気に距離を取る。

 ケルベロスがその巨体を大きく動かし光を交わすと、もともとケルベロスがいたところで光が爆ぜる。


 ものすごい轟音と共に大量の炎があふれ出し、あたりを赤く染める。

 俺はというと遠距離からかなが使っているエレメンタルフォース・ヒートブロックに守られている。うーん、情けない限りである。


 肝心のケルベロスはこの部屋の端っこで顔を壁のほうに向けていた。体の表面はえぐれ、火傷し、かなりひどい状態だ。苦痛に苦しんでいるのか、まともに動くこともできていないようだ。

 頭は守ったようだがかなりの重傷だ。このまま畳みかければ余裕なのでは? そんなことを考えたのがいけなかったのだろうか。


 かなの体が揺れたと思ったら、膝を着いた。頭を押さえ、息も絶え絶えだ。


(ど、どうした!?)

(な、なんだか……力が入らない……それに、頭もいたい……)

(な、何が……)


 ケルベロスは怪しいスキルなど持っていなかったのが……。そ、そうだ、状態を確認しよう。


状態:魔力枯渇


 かなの状態が、魔力枯渇になっていた。これはどういう状態なんだ?


《『状態:魔力枯渇』は魔力が全体量の一割未満になった者に発生する。『状態:魔力枯渇』になったものは身体能力の大幅な低下、激しい頭痛に襲われます》


「っ!」


 無理をさせ過ぎたってことか!? 頼りきりだったのがいけなかったか!?


(かな、壁際で安静にしてろ! あとは俺がやる!)

(で、でも……)

(これ以上戦ったらどっちにしたってお前はやばい。時間くらいなら稼いでやるから、元気になってくれ!)

(……わかった……せめて――)

―――――――――(サモンエレメンタル)―――――(・ブレイカー)


 数十メートル離れた場所にいるかなと念話で話していると、かなの隣から光が沸きだし大柄の男が現れる。男かどうかはわからないが。かなが最後の力を振り絞ってブレイカーを召喚したようだ。


 ブレイカーはかなを抱えて壁際に連れて行き、魔法を発動する。かなのステータスに加算されていたブレイカーの魔力もぎりぎりだったが、無防備なかなを放置するわけにもいかないので発動したのだろう。


――――――――――(エレメンタルフォース)―――――――――(・グラントステルス)


 不可視を付与する魔法である。これにより、ケルベロスからかなの位置を把握することは不可能となっただろう。ナイスだぞ、ブレイカー。さて、こうなったら


「いっちょ頑張りますか」


 相手の残り体力は400強。一分で210生命力が回復するとのことで、その回復速度はかなり早いと言える。俺から使える有効手段は少なく、その有効手段も決定打となるようなものではない。だったらどうするか。そんなことは簡単だ。


「ブレイカー、攻撃は任せたぞ!」


 火力お化けに任せればいい。


 苦痛にゆがめた顔を、ついにこちらに向けたケルベロス。どうやら随分とお怒りのようだ。すごい形相をしている。そのおかげか、ブレイカーの存在には気づいていないようだがな。

 ちなみに、ブレイカーは圧する者の効果を受けるのだろうか。


《『闘気』により無効化されます》


 なるほど。使えないな、圧する者。ここまで来るともはや可哀想だが、そんなことはどうだっていいのだ。あの巨体の攻撃をどうやってかわすのか。それこそが俺が今考えるべきことだ。まあ、一つしかないのだが。


「――――――」


 ケルベロスが咆哮をあげるとともに突撃してくる。何の考えもなさそうな突撃だが、あの巨体と攻撃力だとそれだけで脅威となる。俺が潰される未来が容易に想像できるな。

 まあ、問題はない。


 ケルベロスが一歩進むごとに俺との間合いがぐんと縮まる。速度が速すぎて大型トラックが正面から向かってくるよりも恐ろしいと思われるが、俺には恐怖心などなかった。

 ぎりぎりまで引き付けて、発動する。


―――――――(フェイドアウト)


 それは剣術Ⅶで使用可能になる、剣術唯一の回避技。相手の攻撃が当たる瞬間に発動しなくてはならない上に、使った後数秒間は体が動かない硬直がある。

そのうえ魔力の消費量が多く俺では一度しか使えないため切り札的なものだったわけだが、無事に成功した。


 ケルベロスの足に踏みつけられる瞬間、俺の体がぶれる。効果としてはただ相手の攻撃の射程外ぎりぎりまで移動する、というものだが恐らく人間の反射神経では追いつけない動きをしている。

 視界がぐらついたと思ったらすでに攻撃を回避していたのだから驚きだ。そして、ケルベロスは俺に攻撃をよけられたことに気づいたのだろう、視界の端で方向を急転換しているのが見えた。

 俺はいま硬直で動けない。再び突撃されたら避ける手段はない。だが、もう勝負はついている。


 闘気Ⅶ、狂戦士化、魔拳Ⅶを発動したブレイカーが、すでにケルベロスの足元に潜り込んでいた。俺に気を取られていたケルベロスは、その接近に気づかない。

 そして――


―――――――(ハードブレイク)


 ――魔拳において最大威力を誇る技、ハードブレイクがケルベロスの溝に叩き込まれる。


 ずん、と鈍い音がして、ケルベロスが力なく崩れ落ちる。ブレイカーはすでにその場を去っており、気づいたときには不可視化が解除されたかなの隣にいた。相変わらずものすごい運動神経をしているようだ。


《報告:個体名かなのレベルが上昇しました。個体名かなのレベルが21となります》

《報告:個体名かなの『魔爪Ⅶ』のレベルが上昇。『魔爪Ⅷ』になります》

《報告:個体名かながスキル『魔牙Ⅴ』を獲得しました》

《報告:個体名かなの『状態:魔力枯渇』が解除されました》


 これまた一気に来たな。かなのレベルアップ、魔爪の強化、魔牙の獲得、魔力枯渇の解除。朗報が重なりすぎて俺は嬉しいよ。


 結局頼りきりだったことに罪悪感を覚えながら、俺はかなに駆け寄るのだった。

 結局司は碌なことができません。これは仕方ないんです設定です。それに比べてかなちゃんはすごいですよね。疲れ果てても戦果を挙げるんですから。

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